ドイツ対決は屈指の好勝負!欧州最強を証明したバイエルン、ロッベンの雪辱
イングランドのウェンブリー・スタジアムで行われた決勝だっただけに、プレミアリーグ勢の勇姿を観たいところでしたが、現在欧州最強のバイエルン・ミュンヘンと、今季のチャンピオンズリーグでわずか1敗と無類の強さを誇るドルトムントの対戦なら文句のつけようがありません。観客席には、UEFA会長のミシェル・プラティニ氏の横に、サッカーマニアで知られるドイツのメルケル首相の姿もあります。ドルトムントのファンという報道もありますが、実際どうなのでしょうか。サッカーの聖地・ウェンブリーでドイツ対決を観戦するのは最高の気分でしょうね。日本時間の5月26日3時45分、いよいよキックオフです。
ゲーム開始から20分は、完全なるドルトムントペース。バイエルンの最終ラインにまで高い位置からプレスをかけ、ボールを奪うとギュンドガンがハブになり、サイドに素早く展開します。最初のチャンスは14分、ブラスチコフスキが放ったミドルシュート。これが合図だったかのように、その後もスヴェン・ベンダー、マルコ・ロイスときわどいシュートをバイエルン・ゴールの枠内に確実に飛ばしますが、いずれもGKノイアーが落ち着いてクリア。この時間を冷静に耐え抜いたことで、バイエルンは自らのサッカースタイルを思いだし、ゲームのイニシアチブを奪い返します。ところが、そこに立ちはだかったのが、ドルトムントGKヴァイデンフェラー。マンジュキッチのきわどいヘッドを指先で弾き出し、ロッベンとの1対1も体を寄せてコーナーキックに。前半終了直前には、フンメルスのキックミスからまたもやロッベンがフリーになりますが、間合いを詰めて顎でクリア!クールなノイアーに対して、情熱的なセーヴで数々のピンチをクリアします。バイエルンは、ゲームのペースをつかんだものの、昨季のチェルシー戦でPKを外したロッベンが、チャンスでことごとく決められない嫌な展開。勝負の行方は、後半に持ち越されます。
後半に入っても、ゲームはバイエルンのペース。ドルトムントのハイプレスが効かなくなり、ロッベンやリベリーにドリブルを許すシーンが増えてきます。しかし、ドルトムントの最終ラインは、明らかに迫っている危機を打開するだけのアイデアがなく、60分、ついにゲームが動きます。リベリーが左サイドをドリブルで進み、カバーに入ったDFの裏にスルーパスを通すと、フリーで受けたロッベンにGKヴァイデンフェラーが体を寄せます。またしてもGKの勝ちかと思われた瞬間、ロッベンはわずかなすき間をピイポイントで通す絶妙なセンタリング。中央で待つマンジュキッチが難なくこれを決め、1-0。昨季に引き続き、バイエルンは最初の1点を手に入れました。
既に攻撃の糸口を失いつつあったドルトムントには、バイエルンの鉄壁の守りを崩すことはできないだろうと思った矢先、劣勢の昨季ドイツ王者に願ってもないチャンスが訪れます。68分、左からドリブルで突破しようとしたマルコ・ロイスを止めようとしたCBダンテの足が彼の腹部を直撃。これはさすがに、どこから見ても有罪判決、当然のPKの笛。蹴るのはギュンドガン。表情は落ち着いており、ノイアーが飛んだコースの逆に簡単に蹴り込み、同点。こうなると、ゲームの行方はまったくわかりません。
1-1になった後も、攻めるバイエルン、しのぐドルトムントの図式は変わりません。ミュラーがサイドを抜け出し、ヴァイデンフェラーをかわして無人のゴールに転がしたボールは、必死に戻ったスボティッチがロッベンより一瞬早く触ってコーナーキック。シュバインシュタイガーの強烈なミドルはヴァイデンフェラーが大きくセーヴ。85分を過ぎ、延長戦が頭にちらついてきます。昨季、ロッベンがPKを外した延長戦。一方的に攻めながら、ゴールが奪えなかった延長戦。スコアも同じ1-1。バイエルンの選手たちは、この状況に何を感じているのでしょうか。嫌なムードが高まってきます。
しかし89分、この不穏な空気は執念の一発で激変します。決めたのは、昨年の悔しさを胸に秘め雪辱を誓った男、前半から3本はチャンスを不意にしていたアルイェン・ロッベンです。89分、ロングボールを中央でリベリーが体を張ってキープし、落としたボールを受けた背番号10は、左足アウトでDFをかわし、この日4度めのヴァイデンフェラーとの1対1へ。またしても…と思う間もなく、この勝負は1秒にも満たない時間であっけなく決着します。ヴァイデンフェラーが詰めようとした瞬間、ロッベンは彼の動いた逆のサイドにシュートを転がし、2-1。今度こそ、決まりです。最後まで落ち着いてゲームを手中に収めたバイエルン・ミュンヘンが、この夜、欧州最強という”評判”を事実に書き換えました!
ドルトムントは「よくやった」の一言です。正攻法でバイエルンを慌てさせるとは、ユルゲン・クロップ監督は素晴らしいですね。ゲッツェがいれば…というのは、主力がいなくてもチームの力を最大限引き出すクロップ監督にも、トニ・クロースとバトシュトゥバーを欠いて戦ったハインケス監督にも失礼でしょう。今はただ、勝者も敗者も自らのポテンシャルを最高に発揮した素晴らしい決勝戦だったことを、記すだけにしましょう。
バイエルン・ミュンヘンのみなさん、サポーターのみなさん、おめでとうございます!
来年の春、リスボンにマンチェスター・ユナイテッドがカップをいただきにうかがいますので、
しばらく待っていてください。よろしくお願いします。
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