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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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モウリーニョの大博打と選手たちの執念!チェルシー、ラスト3分の大逆転でCLベスト4進出!

いよいよ、チャンピオンズリーグ準々決勝セカンドレグがスタートです。プレミアリーグ勢2チームは、逆転でベスト4に食い込むことができるのでしょうか。本日登場するのは、緒戦を3-1で落とし、何としても2点が必要なチェルシー。この日のスタメンには、大試合で頼れるストライカー、エトーが帰ってきました。オスカル、アザール、ウィリアンを並べた攻撃陣の後ろにランパード、ダヴィド・ルイスが構える、今の彼らにとって最も攻撃的な布陣。ベンチのモウリーニョ監督は、いつもにも増して緊張感の高い表情です。イヴラヒモヴィッチのいないパリ・サンジェルマンは、ワントップにカバーニ、両翼にラベッシ、ルーカスを配してカウンター狙い。試合開始から、さっそくホームのチェルシーがゲームの主導権を握ります。

5分、ランパードのFKはゴール前に敷いたDFラインの壁に阻まれます。8分には、オスカルが左から仕掛けて折り返し、エトーが左足シュート。これは足元でブロックされ、ゴールはなりませんが、チェルシーはプレミアリーグで下位クラブと戦うときより前への意識が高く、パリ・サンジェルマンの反撃に対しては、外では持たせつつもテリーとケーヒルが中央を固めてカットします。18分、チェルシーに厳しいアクシデント!アザールが足を痛めてリタイアです。交代でシュールレが入りますが、絶対的なチャンスメーカーの無念の退場は、点がほしいチェルシーにとっては最悪の事件でしょう。

24分のカバーニのFKを壁が防ぐと、27分にオスカルが左サイドで倒され、今度はチェルシーのFK。ランパードの強いキックが壁に当たって角度が変わり、ゴール左隅を襲いますが、これはパリSGの守護神シリグがビッグセーブ!直後のダヴィド・ルイスのシュートもゴールには遠く、チェルシーに先制の気配はありませんが、ウィリアン、オスカルに焦りは感じられず、冷静にアタックを続けます。

サッカーは、何が起こるかわからないとはまさにこのこと。31分、チェルシーが先制!決めたのは、何と交代出場のシュールレです。右SBイヴァノヴィッチのロングスローを、ダヴィド・ルイスがヘッドで後ろにそらすと、中でフリーになったドイツ人若手MFの足元にボールが入り、フィニッシュは冷静な右足インサイド。この1点で弾みがついたチェルシーは、直後にランパードが再度左からのFKを中に入れると、こぼれ球をCBケーヒルがシュート。これは当たり損ねで右に切れていったものの、2点めへの期待感が高まります。ずっと守り続けてきたパリ・サンジェルマンの攻撃に脅威はありません。前半は1-0。モウリーニョ監督は、アザールのリタイア以外はゲームプラン通り。ブラン監督は、相当ストレスをためているはずです。ラスト45分は、今日のチェルシーが追加点を奪うためには充分な長さでしょう。

後半もチェルシーが攻め、受けるパリ・サンジェルマンという構図は変わらず。タメを創れるイヴラヒモヴィッチの不在が、想像以上にパリを劣勢に追い込んでいます。51分、ハーフライン付近でボールをカットしたチェルシーが速攻。左から中に出たボールを、オスカルが右のウィリアンに展開。サイドでボールをキープしたウィリアンが中に落とすと、走り込んだシュールレのシュートはバーを直撃!直後のFKで、オスカルが狙ったシュートも、またもやクロスバー!ただ見送るしかなかった2発の決定的なシュートが枠に入らず、パリ・サンジェルマンは命拾いします。

ピンチをバーに助けられたパリ・サンジェルマンは、ここから反撃。55分のラベッシのFKはチェフに阻まれますが、サイドからSBの背後を突こうとします。中盤の攻防は互角。次の1点を奪ったほうが、ベスト4のチケットを手に入れることになりそうです。60分過ぎ、CKからのチェルシーの波状攻撃はシュートを枠に飛ばせず。モウリーニョ監督の2枚めのカードは、ランパードに代えてデンバ・バです。とにかく、2点め。67分、後ろからのロングパスに反応し、右から真ん中に飛び出したシュールレが放った左足ボレーもGKシリグにキャッチされ、チェルシーはビハインドを埋められません。

70分、オスカルが左サイドから入れたボールはシリグがキャッチ。71分、カウンターからのカバーニの左足ボレーはわずかに枠の上。55分にキャバイェ、73分にパストーレを投入したブラン監督の狙いは、中盤を固めての逃げ切りでしょう。デンバ・バは競り合いに勝てず、チェルシーは相変わらずシュートが打てません。77分、縦パス1本でカバーニがDFラインの裏に出て、フリーで左足を振り抜いた決定的なシーンも、ボールはチェフの頭の上。今度はチェルシーが胸をなでおろす番でした。

残り10分、明らかに運動量が落ちたチェルシー。80分にはルーカスにフリーでシュートを打たせてしまい、チェフが倒れながらキャッチしますが、自らの得点よりもパリの同点のほうが可能性が高そうです。モウリーニョ監督の最後の1枚は、驚きのF.トーレス!デンバ・バ、エトーと3枚並ぶのは初めてではないでしょうか。斬るか斬られるかのギャンブルは、どちらに吉と出るのか?ブラン監督も84分、ルーカスを下げてマルキーニョスを投入。攻めと守りはこれではっきりしました。あとは、入るか入らないか、それだけです。

青の歓喜の瞬間は、直後の87分に訪れました。ペナルティエリアに侵入したエトーのシュートの跳ね返りを、左から狙ったのはケーヒルでしょうか。シュートがDFに当たってコースが変わり、ゴール正面にこぼれると、そこに走り込んだのはデンバ・バ!倒れ込みながらの左足がGKシリグを破ると、コーナーフラッグ周辺で、デンバ・バに折り重なるチェルシーの選手たち。よく見ると、モウリーニョ監督がピッチに入ってデンバ・バと抱き合っています。こらこらこら、それは反則。監督がピッチに入っちゃダメでしょう。よっぽどうれしかったんですね…と思いきや、F.トーレスをはじめ、ちゃっかり数人の選手に直接指示を出す指揮官。真の目的はそっちでしたか。ギャンブラー・モウリーニョの目論見は大当たり。パリ・サンジェルマンにとっては悔やみきれない一瞬の空白でした。

追加タイムは4分。パリ・サンジェルマンが仕掛けた2本のCKと2本の決定的なシュートを、本日のMVP、ペトル・チェフが落ち着いてさばききった瞬間、本当の歓喜が訪れました。チェルシー、大逆転!プレミアリーグ勢としては、彼らが優勝した2011-12シーズン以来、2年ぶりのベスト4進出を決めました。勝負を分けたのは、監督の胆力の差と、イヴラヒモヴィッチの不在だったと思います。アザールのトラブルで後半、2枚しかカードがなかったモウリーニョ監督が手をいっぱいに広げる一方、ローラン・ブラン監督は、DFをつぎ込みながらも「とにかく守りきる」というメッセージを徹底できませんでした。そしてやはり、イヴラヒモヴィッチの穴は大きかったですね。カバーニは、裏に走ることはできても、中盤からのボールを収めて組立てに参加することはできません。背番号10がいれば、チェルシーの攻撃時間は3分の2ぐらいに減っていたのではないでしょうか。

チェルシーサポーターのみなさん、おめでとうございます!そして、プレミアリーグの強さを欧州じゅうにアピールしていただき、ありがとうございます。もう1チーム、プレミアリーグのチームがベスト4のチケットを手に入れる予定ですので、24時間ほど、お待ちください。…いやー、おもしろかった!感動しました。明日のゲームに向けて、モウリーニョ監督とチェルシーの選手たちから勇気をいただきました。彼らに続け!マンチェスター・ユナイテッド。

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“モウリーニョの大博打と選手たちの執念!チェルシー、ラスト3分の大逆転でCLベスト4進出!” への3件のフィードバック

  1. チェルシー より:

    更新お疲れさまです

    アザールが負傷で抜けたときはどうなるかと思いましたがやってくれましたね!
    最後なんかほんとに無理矢理でしたがチェルシーらしいと言えばそうですね(笑)
    モウリーニョがちゃっかり指示出してるのには笑いましたが次の試合ベンチ入り禁止とか大丈夫なのかな?

    アザールの怪我が気になりますがとりあえずベスト4進出できて良かったです
    いやー、これだからチェルシーファンはやめられない(笑)

  2. スパサポ より:

    さすがモウやね
    チェルシーがCL優勝すると思ってる自分としてはそんな驚きはしなかったけどやはりモウあってのチェルシーだわ

  3. makoto より:

    チェルシーさん スパサポさん>
    モウリーニョ監督、いろいろお見事でした。「監督の意図が伝わる選手交代」でしたね。ベンチ入り禁止は心配です。喜んで入っちゃった、ぐらいならまだしも、指示はいけません、指示は(笑)

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