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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ドルトムントが攻守で圧倒した予想外のワンサイドゲーム。アーセナルは戦い方を間違えた!?

香川真司は、足のハリが引かずにベンチスタート。マルコ・ロイスもギュントガンもフンメルスもいないドルトムントは、ホームでのアーセナル戦を苦手としており、ここ4シーズンで3回も顔を合わせているにもかかわらず、2002年の2-1を最後に12年も勝利がありません。直前のプレミアリーグで右SBドビュッシーが負傷で長期離脱となり、チャンバースが病気で調子を崩したアーセナルの右は若手のベジェリン。両者とも弱点を抱えているものの、主力の不在の痛手はドルトムントのほうが大きく、アウェイに強いアーセナルは簡単には負けないものと思っていました。しかし、ふたを開けてみれば、ドルトムントのワンサイドゲーム。シュート数は23対5で、ガナーズが枠に打ったシュートはわずかに1本。コシールニーとメルテザッカーをはじめ、守備陣はインモービレとオーバメヤンをまったく止められず、エジルとラムジーは消えたまま。ウェルベックは好機をことごとく外し、2-0で済んだのは、むしろ幸運でした。

10分にムヒタリアンがアルテタと接触したかに見えたプレイは、PKではなくムヒタリアンにイエローカード。前半は、ドルトムントの敵陣からの厳しいプレスにアーセナルが攻め手を欠き、それでもホームチームがシュートの精度を欠いたこともあって、0-0のまま時間が経過します。13分にCKからパパスタソプーロス、15分にはインモービレがゴールを脅かし、アーセナルに巡ってきた17分の最初のチャンスは、ウェルベックがシュートに持ち込めず。26分には、右サイドから短いパスをつないで左を崩したドルトムントが、グラウンダーのクロスをオーバメヤンに合わせますが、シュートはGKシュチェスニーがナイスセーブ。28分には左からのクロスにシュチェスニーとコシールニーが交錯。こぼれ球にムヒタリアンが触れば確実に1点でしたが、ジャック・ウィルシャーのスライディングで事なきをえます。アーセナルのベジェリンは、グロスクロイツが強烈な攻め上がりを見せる自分のサイドを守りきることができません。

アーセナルにとって、ターニングポイントだったのは、40分にラムジーのパスを受けて、ウェルベックがGKと1対1となったシーン。これが決まっていれば、チームは勢いづいたかもしれませんが、新加入のストライカーのシュートはゴール左へあっさりアウト。直後、いちばんやってはいけない時間に、アーセナルは先制点を奪われてしまいました。44分、ボールカットから自陣でパスを受けたインモービレにドリブルでひとり旅を許し、マークについたコシールニーは何もできずに振り切られます。右からフリーになり、クロスに放ったシュートにシュチェスニーは反応できず、ついにドルトムントがリード。エジルとラムジーが精彩を欠き、ウィルシャーのドリブルを狙われているアーセナルは、後半何らかの手を打たないと、同点に追いつくことはできないでしょう。

アーセナルの巻き返しに期待した後半は、最初の45分と力関係は変わらず、わずか3分で終わってしまいました。48分、カウンターからグロスクロイツが絶妙なラストパスをDFラインの裏に落とすと、オーバメヤンが一瞬でフリー。追いすがるGKシュチェスニーもかわされ2-0となり、アーセナルは完全に出鼻をくじかれます。ここからは、ドルトムントのフリーのシュートをただ見送る一方的な展開。この試合で、ホームチームが5点が必要だったとしたら、彼らはそのミッションを達成していたでしょう。2-0となってから明らかに集中力を欠いたムヒタリアン、オーバメヤン、インモービレが何度もシュートを打ち上げてくれたおかげで、ガナーズは致命的な得失点差をつけられることだけは回避しました。チェンバレン、カソルラ、ポドルスキの投入も効果なく、75分にウェルベックがDFを完全にかわしながらもシュートを上に外した瞬間、アーセナルの初戦完敗が決まりました。

週末のプレミアリーグ、マンチェスター・シティ戦ではチームの調子が上向いてきた感触があったものの、この日のアーセナルは悪いところばかりが目立つ試合となってしまいました。攻撃が機能しなかった原因は、運動量の少なさと連動性のなさでしょう。ボールをもらいにいく動きとスペースを創る動きがないため、中盤でボールを持ったエジルやラムジーは簡単につぶされ、孤立しがちだったウィルシャーのドリブルは、ドルトムントにカウンターのスイッチを押させる格好の餌食となってしまいました。

元を質せば、ヴェンゲル監督の戦略に疑問があったのだと思います。ドルトムントの厳しいプレスに押し込まれることを想定するなら、ボールを支配して勝つことは諦め、シンプルで直線的な攻撃に徹するという割り切りをしてもよかったのではないでしょうか。その場合のスタメンは、細かい動きでスペースを創れて、裏に抜けるのがうまいアレクシス・サンチェスがトップ。中盤には、シュート力と突破力が期待できるポドルスキとチェンバレン、あるいはカソルラ。彼らにパスを供給する役割は、プレミアリーグでコンディションが悪そうだったエジルより、より運動量とボールへの関与が期待できるロシツキではないでしょうか。スタメンと手持ちのカードが逆であれば、クロップ監督は、後半に香川真司を投入するという苦しいカードを切らなくてはいけなくなったかもしれません。

ベジェリンは、いきなりドルトムント戦は「家賃が高かった」ですね。プレミアリーグで下位相手に相応の経験を積んで、周囲との連携を高めたうえでの登場なら、もう少し持ち味を出せたのではないかと思います。スタメン、戦略・戦術といい、鳴り物入りで入ったウェルベックの決定力のなさといい、グーナーのみなさんにとってはがっかりポイントだらけのゲームでした。とはいえ、来週のアストン・ヴィラ戦を勝ち切り、ドルトムントにはエミレーツできっちりお返しをすれば、この試合はなかったことにできます。なかなか調子が上がらないガナーズを観ていると、チームが苦しい時にこそ力を発揮してくれる、頼れるベテラン・ロシツキを早く観たいなと思いますが、グーナーのみなさんのなかにも、同感という方がいらっしゃるのではないでしょうか。

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“ドルトムントが攻守で圧倒した予想外のワンサイドゲーム。アーセナルは戦い方を間違えた!?” への10件のフィードバック

  1. 爪楊枝 より:

    さすがはドルトムントでしたね。
    チームの哲学がサブにも浸透していました。
    いくらなんでも走行距離が11kmも負けていたら、どうしようもありませんね。
    群がるミツバチの大群に手も足も出ないという感じでした。
    両者がベストメンバーの状態で見れたらもっと面白かったと思います。
    とにかくアーセナルは、もっと守備を整備しないとベスト8以上はキツイ気がしました。
    プレスばかり語られるドルトムントですが、シームレスな守備への切り替えと守備組織の統制も欧州屈指だなぁと思いました。

  2. londres nord より:

    全く持って同感です。ベンゲルさんは、本当にローテーションが出来ない監督です。
    調子の悪いエジルより、オランダ戦で調子がよさそうだったロシツキを使わないのがミステリーです。彼は今季リーグ戦出場0です。

  3. グーナーですが。 より:

    試合は見ていないのですが、主さんのレポートを見て、グタグダぷりがよくわかりました。ベンゲルの采配はいつもこう、疑問符が残ります。自分達のサッカーを貫こうとしすぎるあまり(何処かの代表チームのようですが)、相手の戦術、自分達の現状戦力に合わせたサッカーをやろうとしない、または出来ない?のか分かりませんが、不満です。こんなにも経験がある監督なのに。現地でも批判はかなり多いのではないでしょうか?

  4. グーナー16 より:

    ロシツキーは今時珍しい試合を変えられる選手だと思ってます
    途中出場でも投入する価値は十分にあったと思います
    ウェルベックはいつになったら枠に飛ばしてくれるんでしょうか・・・

  5. makoto より:

    爪楊枝さん>
    そうですね。攻めも守りも連動がないと厳しいですね。

    londres nordさん>
    今回は、ホントにミステリーです。どういうことなのでしょうね…。

    グーナーですが。さん>
    プレミアリーグでは何とかなったりもしますが、ドルトムントのような戦略・戦術浸透度の高いクラブと当たると粗さが目立ちます。

    グーナー16さん>
    ロシツキ、早く観たいですね。それはそうと、すみません。ウェルベックは、マンチェスター・ユナイテッドでも結構枠を外す男だったのです。獲る前に、ヴェンゲル監督とグーナーのみなさんには気をつけてくださいといっておけばよかったですね(苦笑)

  6. パックン より:

    更新ご苦労様です。

    チームとしての完成度に雲泥の差がありそれが結果に直結してしまいましたね。悔しさより
    私にはむなしさと悲しさが残っています。

    ロシツキを起用しないのは本当に謎ですね。そして機能しているとは言えない現システムを
    頑なに採用しているのも謎です。私ならすぐ4-2-3-1に戻します。トップ下はエジルに任せ
    ロシツキとローテーションすれば問題ありません。サイドはサンチェスを筆頭にカソルラや
    チェンバレンに加えてポドルスキ・キャンベルがいます。来月にウォルコットが復帰すれば
    さすがのベンゲルでもローテーション出来るはずですが・・・

    それでもベンゲルが現在のシステムに拘るのならばアルテタやフラミニの位置にロシツキを
    起用してみて欲しいです。ロシツキなら・・・難なくこなしそうな気がします。

    —–
    ゲーゲンプレス対策としてもっとロングボールを使っていくべきでしたね。
    スピードのある選手が前線に揃っているだけに非常にもったいなく感じました。
    選手起用にも言える事ですがもう少し柔軟な対応も必要なんじゃないかなと。
    今に始まった事じゃないですが少々策が無さすぎましたかね。

  7. ガナユ より:

    いつも楽しく見させて頂いております

    ロシツキーは自分は勝手に怪我だと思っていたのですがそう言うわけではないんですね(*_*)何故出さないのか理解に苦しみますな

  8. リッキー より:

    ほんとに書かれている通りだと思います。
    というかヴェンゲルの柔軟性のなさは筆者様も以前から書かれていますが、一向に変化の兆しがないですね…
    モウリーニョのように!とは言いませんが、それでもホームゲームとアウェイゲームは別物。試合への臨み方、戦術の柔軟性は今のままだと厳しいですね。。
    システムが変わってからはまだ見られませんが、カウンターで力を発揮する選手も多いだけに堅守速攻で戦うのもありだと思うのですが。

    今の4141だとハイプレスが機能しなければDFラインの前の広大なスペースを使われますし、肝となるプレスも先日のシティ戦くらいしか見ることが出来てないことを考えると昨季のフォーメーションに戻すのもありかと思ってしまいます。

    しかしロシツキ使いませんね。。。
    謎すぎます(´`:)

  9. 福岡 より:

    ヴェンゲルがロシツキを起用するのは4位が危なくなってからです。

  10. makoto より:

    パックンさん>
    そうですね。ドルトムントを下げる工夫があれば、彼らにあれだけのチャンスは創られなかったと思います。

    ガナユさん 福岡さん>
    ロシツキを使わないのは理解に苦しみます。

    tomoさん リッキーさん>
    今のメンバリングが「4-2-3-1用」なんですよね。4-1-4-1にすると、エジルやロシツキ、カソルラなど、真ん中で力を発揮できる選手を窮屈にさせ、層が厚くないセントラルMFタイプを酷使することになります。クロースやケディラのような選手を獲得したならともかく、顔ぶれと戦略が合っていませんね。

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