偏愛的プレミアリーグ見聞録

昨季、プレミアリーグ王者に輝いたマンチェスター・シティのペジェグリーニ監督は、1年早くそうしてほしかったと思っているかもしれません。UEFAのジャンニ・インファンティーノ事務総長が、2015-16シーズンからチャンピオンズリーグのシードルールを変更する予定と語っています。イギリスメディア「スカイスポーツ」などの報道によると、変更される見通しなのは、ポット1に入る8チームの選出方法。現在は、過去のチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの成績などで決められるUEFAランキング上位のクラブが、ポット1にシードされるというルールとなっています。これが、来季からは、「前年のチャンピオンズリーグ優勝クラブと、UEFAリーグランキングの上位7ヵ国（現在は、スペイン、イングランド、ドイツ、ポルトガル、イタリア、フランス、ロシア）の国内チャンピオン」となります。

これによって何が変わるかといえば、UEFAランキングのポイントを持っていない新興クラブや急激に強化されたクラブでも、プレミアリーグやリーガ・エスパニョーラなどの国内リーグを優勝すれば、強豪クラブと同じグループに入れられる可能性が大きく減ることになります。今季でいえば、昨季リーグ王者のマンチェスター・シティやパリ・サンジェルマンは、同じくスペインやドイツを制覇したバイエルン・ミュンヘンやバルセロナと同組に入ることはなかった、ということ。直近の実力がグループ分けに反映され、国内リーグを勝ったチームへのインセンティブにもなるので、いいルール変更なのではないでしょうか。

マンチェスター・シティやパリは、これによって来季からは楽なグループに入れて、1位通過できる可能性が上がり…といいたいところですが、今季の彼らは、国内リーグで苦戦しています。マンチェスター・シティは、プレミアリーグ首位のチェルシーに5勝ち点差の2位。引き分けマシーンと化したパリとトップのマルセイユは、7勝ち点差まで離れています。それぞれ、地力のあるクラブなので、ここからの逆転は充分可能ではあるものの、ペジェグリーニ監督のほうは大変そうですね。彼らのチャンピオンズリーグは、ASローマやバルセロナとの「死のグループ」。ここで激戦を重ねている間にプレミアリーグで取りこぼしがあれば、モウリーニョ監督が手の届かないところにいってしまうという展開も考えられます。ライバルのチェルシーはターンオーバーで乗り切れそうなのに、自分たちは常に全力で勝ちにいかないと、年明けはヨーロッパリーグの優勝候補になってしまうかもしれないマンチェスター・シティにとっては、年末までが正念場です。