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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

欧州、全滅!プレミアリーグの急激な凋落・4つの仮説(3)やっぱりタイトなスケジュール

前稿「欧州、全滅!プレミアリーグの急激な凋落・4つの仮説(2)欧州に本気ではないプレミアリーグ勢」より続きます。

(3)やっぱりタイトなスケジュール
このところのプレミアリーグを観ていて気になっているのは、「プレミアリーグ移籍1年めの選手の後半戦失速」です。落ちやすいのは、来て早々にフィットして活躍し、連日ゲームに出ている選手。昨季の代表はメスト・エジル。今季はセインツのコンビ、グラツィアーノ・ペッレとタディッチ、アレクシス・サンチェス、そしてチェルシーのジエゴ・コスタと久しぶりに復帰したセスクです。

今季プレミアリーグで22試合18ゴールと得点王レースのトップを走るジエゴ・コスタは、3試合の出場停止から戻った2月以降は、5試合で1ゴールのみとペースダウンしています。1ヵ月を超えるような負傷があった選手や、休み休み使われている選手はともかく、大半の試合に出ている1年めの選手が年が明けてからトップフォームを取り戻せないケースが散見され、ウインターブレークがなく逆に試合数が増える年末年始の過酷なスケジュールが、身体的な疲労と精神的なストレスにつながっているのではないかと心配になります。

この傾向は1年めの選手だけでなく、長年プレミアリーグで働いている選手、ひいてはチームも影響を受けるケースがあるように思います。復帰した負傷者が多く、コンディションが上がっている選手もいるアーセナルはひとまず置いておいて、チェルシーとマンチェスター・シティにおける今回のチャンピオンズリーグ前後の戦績を確認してみましょう。

チェルシー
2月11日(H)エヴァートン 1-0
2月17日(A)パリSG    1-1
2月21日(H)バーンリー  1-1
3月1日 (N)トッテナム   2-0
3月4日 (A)ウェストハム  1-0
3月11日(H)パリSG    2-2
3月17日(H)サウサンプトン1-1
※スコアはすべてチェルシーから見た数字です

マンチェスター・シティ
2月21日(H)ニューカッスル5-0
2月24日(H)バルセロナ  1-2
2月27日(A)リヴァプール 1-2
3月4日 (H)レスター   2-0
3月14日(A)バーンリー  0-1
3月17日(A)バルセロナ  0-1
※スコアはすべてマンチェスター・シティから見た数字です 

チェルシーは明らかに得点力に翳りが見え、1試合消化が少ないながらプレミアリーグ最多ゴールの座をマンチェスター・シティに奪われており、1月には1ヵ月勝利なしという停滞期間があったマン・シティは、未だ取りこぼしが止まっていません。バイエルン・ミュンヘンとローマを連破して逆転でチャンピオンズリーグのグループステージ突破を決めた頃のマンチェスター・シティは、前後のプレミアリーグでも5連勝。昨季王者と今季首位は、今年に入って明らかにコンディションを落としていました。休みを増やせばシワ寄せもあるので「ウインターブレイクがあればすべてが好転する」という単純な問題ではないのは確かですが、2週間でも休みがあれば、トップチームが実力を発揮してサポーターを湧かせられるケースは増えるのではないでしょうか。

ウインターブレーク以外では、以下のような改善も検討の余地があるでしょう。
・FAカップの再試合廃止、プレミアリーグ勢の12月合流(現在は1月に2試合)
・FAカップの前年ベスト8はシードで4回戦から、ベスト4は5回戦から登場
・キャピタルワンカップ再試合と準決勝ホーム&アウェイの廃止、準決勝&決勝の時期見直し
・キャピタルワンカップの前年ベスト4は4回戦から登場
・(キャピタルワンカップの廃止)

キャピタルワンカップの廃止については、一時期私も賛成派だったのですが、最近は悩ましいと思うようになりました。近年、プレミアリーグのトップクラブが使えるお金が増えたため、外国人選手獲得と育成強化により投資するようになり、イングランドの下部リーグに所属するクラブの選手が売れなくなって、育成予算を縮小するという話が続出しているそうです。プレミアリーグのクラブが街に来ることが下部リーグの大事な収入源となっているのであれば、キャピタルワンカップを一気にたたむのはマイナスのほうが大きいかもしれません。元より、伝統を重んじるイギリス人(行くとわかりますが、この感覚は強烈です)が、大胆な変革をするとも思えません。スケジュール改善でしばらく様子見というのが現実的でしょう。

他国と比較して云々ではなく、現状の問題をひとつひとつ解決しなければ、アドバンテージを失い戦略・戦術的にも欧州トップから後れをとっているプレミアリーグのクラブはさらに厳しくなる、という危機感です。最低限、実現してほしいのは、参加するクラブが限りなくベストな状態で欧州のステージに向かうことです。

そういえば、リヴァプールのロジャース監督は、ヨーロッパリーグのラウンド16でヘンダーソンを休ませたのに、前週のFAカップ、クリスタル・パレス戦では堂々のベストメンバーで戦っておりました。ELがマンチェスター・シティ戦の3日前だったというのはわかるものの、チャンピオンズリーグの際も直前の国内カップでメンバーを揃えていたので、ロジャースさんの「欧州の優先順位が国内カップよりも低い感」が拭えません。暴論ですが、本気で欧州勝ちたいなら、国内カップは思いっきりメンバー落として、「勝ったらラッキー、運よくベスト4まで行けたらそこから本気でやります」でもいいんですよね。サポーターは怒りそうですが。何といってもFAカップは世界最古のサッカー大会、イングランドが誇る伝統ですから。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。次稿が最後です。「欧州、全滅!プレミアリーグの急激な凋落・4つの仮説(4)単一の戦術、国内選手の伸び悩み」に続きます。

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