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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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単調な放り込みの先に希望は見えず…策なきサウサンプトン、ELプレーオフは必然の敗退!

ヨーロッパリーグプレーオフを戦うのは、本大会出場が決まっているトッテナムとリヴァプールに続くプレミアリーグ第3のクラブ、サウサンプトン。デンマーク王者のミッティラン相手に本拠地セント・メアリーズで1-1のドローに終わってしまったクーマン監督は、先週行われたプレミアリーグのワトフォード戦同様、3バックでセカンドレグを戦うようです。CBは吉田麻也、フォンテ、コーカー。左右のサイドに新戦力のクコ・マルティナと若手の注目株マット・ターゲット。ワニャマが不在で、タディッチとマネがベンチとなった中盤の軸はウォード=プラウズとロメウ。スティーブン・デイヴィスには攻守のバランスが求められます。前線にはグラツィアーノ・ペッレとジェイ・ロドリゲスが入っています。

3分のCKでセインツはいきなりビッグチャンス。フォンテのヘッドは決まったかに思われましたがゴールライン上でDFがクリア。右からのクロスにゴール前でフリーとなった6分のジェイ・ロドリゲスは、なぜダイレクトで打たなかったのでしょうか。右に落としたパスはカットされ、セインツは2度めの決定機もモノにできません。プレミアリーグで失点が多く、守備を固めたいのは理解するものの、初戦でアウェイゴールを奪われているセインツにとっては、失点しないことよりもゴールを決めることのほうが重要です。ホームのミッティランは後ろを固めてカウンター狙い、前線のペッレをターゲットにして落としをフィニッシュにつなげようとするセインツ。22分、ペッレのヘッドを受けて右足を振り抜いたスティーブン・デイヴィスの強烈な一撃はGKミカエルがファインセーブ。こぼれ球をフォローしたジェイ・ロドリゲスのスライディングシュートは右に外れます。

27分、雨のMCHアレナに歓声が響き渡ります。先制はホームのミッティラン。自陣深い位置でのジェイ・ロドリゲスのミスパスに、セインツDF陣は後手を踏んでしまいます。右からのニールセンのクロスをDFを振り切ってニアから決めたのはエースのラスムッセン。2戦トータル2-1とリードされたものの、元々ゴールが必要だったセインツは焦る必要はありません。それにしても、ジェイ・ロドリゲスにポチェッティーノ監督時代に見せていた切れ味のよさがないのが気がかりです。ペッレが空中を制しても、後が続かなければセインツに希望はありません。40分、クコ・マルティナのクロスを体をひねって放ったジェイ・ロドリゲスのヘッドはGKが右に体を伸ばしてキャッチ。前半を1点ビハインドで終えたクーマン監督は、早いタイミングで攻撃的なカードを切ってくるはずです。

48分、FKを狙ったラスムッセンのヘッドはわずかに右。セインツはサイドからのクロスに精度がなく、ことごとくDFの餌食になります。56分、やはりきました、コーカーに代えてタディッチ。クーマン監督は、最終ラインの中央を吉田麻也とフォンテという並んだ経験が多いコンビに託しました。65分、ミッティランの速攻に手を焼いていたセインツに久しぶりのチャンス。しかしウォード=プラウズが直接狙ったFKは壁に当たり、その後のCKも活かせません。左サイドに出たタディッチが再三上げるクロスもいいときの正確性がなく、シュートを打てないまま残り時間は15分です。75分、ジェイ・ロドリゲスからバトンを渡されたシェーン・ロングは、フィニッシュという求められる役割を果たせるでしょうか。

80分、ポストプレイからフリーになったミッティランMFロイエルのシュートはバーすれすれ。セインツのシュートは、89分にペッレの落としを狙ったシェーン・ロングの左足ボレーしかありませんでした。今どきプレミアリーグの下位対決でも見られないクラシックなキック&ラッシュと左右からの放り込みだけでは、後ろに重心を置いたデンマーク王者を崩せるわけがありません。苛立ちが積もったグラツィアーノ・ペッレは、競り合いで手を出してファールを取られるばかりで、ポストとして機能しなくなってしまいました。

トータル1-2、サウサンプトン、必然の敗退。決して勝てない相手ではありませんでした。アルデルヴァイレルトやシュナイデルラン、ナサニエル・クラインがクラブを去ったことや、マネ、ワニャマ、フォースター、バートランドの不在を嘆く前に、ロングボールの行き先が100%ペッレの頭という単調な戦術を反省したほうがいいのではないかと思いました。ジェイ・ロドリゲスとこの日出番がなかったセドリック・ソアレスを左右からえぐらせ、ウォード=プラウズやタディッチが積極的にミドルレンジから狙うといったサッカーを展開すれば、よりシュートの多いゲームとなったはずです。

予選3回戦のフィテッセ戦がよかったので期待していたのですが、セインツらしくないサッカーに終始してしまったのが残念です。次戦のプレミアリーグはセント・メアリーズでのノリッジ戦ですが、前節、脳震盪で途中交代となった「頼れるサディオ・マネ」は戻ってこられるのでしょうか。セインツの苦しい夏が収穫の秋に移ろうまでには、もう少し時間がかかりそうです。

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“単調な放り込みの先に希望は見えず…策なきサウサンプトン、ELプレーオフは必然の敗退!” への2件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    うーんセインツどうしたのでしょうか?EL本線は大丈夫と思ってましたが、、、。うーん期待していただけに残念。こんな状態ではリーグ戦が心配になってしまいますね。

  2. makoto より:

    チームの柱であるワニャマの移籍する可能性が高まったのはチームにとってダメージが大きかったのでは?
    中盤の要がいない状況では攻撃が単調になるのは必然だと思います。(スパーズ見てると特にそう感じる)

    なんだかセインツに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

    —–
    Mackiさん クラニチャル好きさん>
    戦術的にいうと、こういうことだと理解しています。

    ワニャマとシュナイデルランという守備に長けたセンターを失い、ロメウが守備面で代役を果たしきれないため、クーマン監督は3バックを採用。

    サイドには攻撃力に長けた選手よりも、背後のスペースを守り切れるSBタイプを起用。(=ジェイ・ロドリゲスやタディッチをサイドにおかず、マルティナとターゲット)

    4-5-1や4-4-2と今回の3-5-2の違いはサイドの枚数。2トップにジェイ・ロドリゲスとペッレを置くとサイドがウイングバックのみの1枚となり(4バックならSBとSMFの2枚)、中央の3枚から誰かが応援にいくか、FWが脇に流れなければサイドに厚みが創れない。実質5-3-2になるシーンもあり、自陣でボールを奪ったときに相手の守備が整っていれば、最終ラインに5枚も入れていることもあり前に人数を増やすまで時間がかかる。

    ここまでの話では、非常によく似たチームがあります。奈良橋と相馬がウイングバックの3-5-2をやっていた、98年ワールドカップフランス大会の日本代表です。このときの2トップ、中山と城は個で突破する力がなかったため、日本はマイボールになると山口、名波、中田がエッチラオッチラゆっくりゆっくり慎重にボールを運び、FWも含めて誰かが空いた時だけペナルティエリアに侵入しました。ただし当然、マークが空く回数など多くはないので、日本代表はろくにファイナルサードに入れず、シュートを打てずで帰国しました。

    この日本代表と今のセインツの大きな違いは1点。「セインツにはポストに入れて空では滅法強いペッレがいる」ことです。彼らは慎重に運ぶのではなく、中盤で回しながらペッレが優位なポジションにいるとみるや長いボールを出し、落としをジェイ・ロドリゲスに拾わせます。

    しかし、何しろ前の人数が少ないので、ペッレが勝ってもジェイ・ロドリゲスが厳しい態勢でしかキープできないと、もう一度やり直しになります。セインツがポゼッション60%以上だったのは、後ろで回しながら前線の様子を窺う時間が長かったのと、やり直しが多かったからです。スティーブン・デイヴィス以外のMF、ウォード=プラウズ、タディッチ、ロメウにまるでシュートがなかったのは、ペッレへのロングボールの落としからいい展開にならなかったからです。

    この戦術では難しかったでしょう。効果的な攻撃を仕掛けるなら、前からプレスにいかずにボールを獲りにいく位置をハーフラインの手前まで下げてカウンターに徹するか、多少時間がかかってもサイドにウイングバックとFW、インサイドMFの3人がいって連携でゴールラインまでえぐるか、ですね。前者が得意なのはファーギー時代のマンチェスター・ユナイテッドとモウリーニョ監督のチェルシー、後者はマンチェスター・シティです。

    当初は「とにかくペッレに集める」でもよかったのですが、効果がないとわかったラスト30分からは、ペッレを諦めてカウンター狙い、ジェイ・ロドリゲス、ファンミ、シェーン・ロングの3枚、でもよかったかもしれません。軸がいないマイナスがあったのは確かですが、それとともに戦い方選びまで間違えてしまったのではないかと思います。言い方を換えれば、今日のメンバーでも勝ちようはあったのではないか?ということですね。

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