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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

欧州激闘レポート~完勝が少ないプレミアリーグ勢。ベスト8以上が期待できるのは?

チャンピオンズリーグ&ヨーロッパリーグのグループステージ第4節。プレミアリーグ勢は5勝1敗とようやく結果がついてきており、スペインとイタリアの4勝をしのいで、はじめて欧州主要国の最多勝となりました。マンチェスター・シティは「死のグループ」の混戦予想を吹き飛ばし、3連勝でグループステージ突破一番乗り。CLのマンチェスター・ユナイテッドとELのリヴァプール、トッテナムは、次戦を勝てば決勝トーナメント進出が決まります。マン・ユナイテッドはPSV、リヴァプールはボルドーと当たりますが、PSVはエールディビジ3位、ボルドーはリーグアン14位と好調とはいえない状態。いずれもホームゲームであることを考えれば、順当に勝てるのではないでしょうか。トッテナムはアウェイではありながら、相手は与しやすいアゼルバイジャンのグラバグ・アグダム。モナコとアンデルレヒトがつぶし合いとなるので、ドローでも突破が決まる可能性があります。

チェルシーは、ポルトとキエフの結果次第で次節決定。ここまで勝ち点ゼロのテルアビブには勝つとして、スタンフォード・ブリッジにポルトを迎える最終戦に負けなければOKです。最近のプレミアリーグで降格候補にしか勝っていないチェルシーに、「負けなければ」という条件がどれだけ厳しいのかは計りかねますが、キエフ戦を観る限りでは、いけるのではないかと思います。唯一厳しいのはアーセナル。ザグレブに勝ったとしても、バイエルンがオリンピアコスと引き分けてしまえばジ・エンド。最終戦に持ち込んだとしても、苦手のギリシャ遠征でオリンピアコスに2点差以上の勝利か、3点以上を奪っての1点差勝ちという難しい条件が待っています。「わずかなチャンスだが、現実的なもの」というヴェンゲル監督の微妙な言い回しどおりのチャレンジで、アーセナルはポテンシャルのすべてを出し切らなければなりません。

チャンピオンズリーグが4か3かはわからないものの、年明けに6チームすべてが欧州戦線に残っている可能性は高いでしょう。しかし、苦戦続きだったプレミアリーグ勢で、ベスト8以上を充分めざせるといえるチームがどれだけあるでしょうか。私が推せるのは、マンチェスター・シティのみ。これについては、残る5チームに二の足を踏んでしまう理由を記したほうが早いと思われます。マンチェスター・ユナイテッドは「セーフティ重視」の戦い方、チェルシーは立て直すための時間がないこと、リヴァプールは選手層の薄さ、トッテナムはクリーンシートが1回もないこと。アーセナルは、そもそも突破は他力本願、可能性は五分五分以下なので、ここでは外さざるをえません。ただし、負傷者が年内に多数戻ってくる見通しの彼らは、CL・ELどちらでもベスト8は充分可能だとも思います。

それぞれについて、簡単に触れたいと思います。マンチェスター・ユナイテッドのメンバーを冷静に見れば、最終ラインで計算できるのはデ・ヘアとスモーリングのみ。タレントが揃っているのは、中盤より前です。ファン・ハール監督のセーフティなサッカーは、セントラルMFの2人の攻め上がりが極端に少なく、1試合に2~3本しかミドルシュートがありません。直近は4戦連続でクリーンシートではありますが、プレミアリーグのクリスタル・パレス戦ではボラシェにクロスバーを直撃されており、1-0で何とか勝ったCSKAモスクワ戦でもドゥンビアの突破をデ・ヘアとスモーリングが一世一代のブロックで止めなければ、結果は逆になっていたでしょう。欧州で勝ち進むためには、「ホームでは現状の延長で失点回避重視、しかしアウェイでは攻撃的な布陣でゴールを奪い、アウェイゴールの差で勝つ」といった戦略にシフトしたほうがいいのではないでしょうか。ポイントは、中盤中央の2人のどちらかがゴール前に入る形を増やすこと、マタの自由度を上げて中に入る頻度を増やすこと、マルシアルとルーニーが近い位置でプレイできるようにすることだと思います。

チェルシーはシンプルです。昨秋のプレミアリーグ最強状態に戻れればベスト4も可能、今のままではラウンド16で敗退濃厚。アスピリクエタがケガをしただけで崩れてしまいそうな現状から立て直すには、2月という締め切りは時間がなさすぎるように思います。リヴァプールは、クロップ監督就任でボール奪取力と攻撃の厚みは改善されているものの、とにかく選手層の薄さが気になります。このままでは、プレミアリーグとヨーロッパリーグの両立かなわず、欧州でメンバーを落として敗退となってしまうのではないでしょうか。ダニー・イングスとジョー・ゴメスを失った今となっては、マルコヴィッチやイロリをレンタルに出してしまったのが悔やまれます。チェルシーはCBとSB補強、リヴァプールはスタリッジとヘンダーソンの復帰に加えてアタッカーと最終ラインを1月に獲れれば、ベスト8を狙えるほうに名前を移すことができるかもしれません。

トッテナムは、ポチェッティーノ監督を含め、「欧州の経験値」の問題なのかもしれません。90分を通じて無失点に抑えた試合がなく、守勢にまわったときにカウンターが効かないのが気になります。ELで全勝のナポリはともかく、セリエA首位のフィオレンティーナと比べて個々の選手の質と量は大きく劣っているように見えないのですが、イタリア勢のほうが戦術の徹底度と押し引きのメリハリがあり、戦い方を自在に変えることができています。とはいえ、若手が多いこのチームは発展途上で、勢いがつけばベテラン中心のチームよりも大化けの可能性を感じます。シャドリ、ソン・フンミン、ヌジエらを活かした「もうひとつの戦い方」を開発して、速攻を狙って仕掛けられるようになれば、守備力が向上した彼らの躍進が観られるのではないかと期待しています。

失礼ながら、マンチェスター・シティの最大の成長株はペジェグリーニ監督なのかもしれません。アグエロ、ダヴィド・シルヴァを欠き、デブライネをベンチスタートにして完勝したセビージャ戦の4-1-4-1にはワクワクしました。オタメンディやスターリングなどの新戦力を早期にフィットさせたのも、フェルナンジーニョを活かして戦い方のバリエーションを増やしたのも監督のお手柄だと思います。無事に首位通過して、パリとアトレティコ・マドリードさえ回避できれば、ベスト8は堅いのではないでしょうか。プレミアリーグ首位の彼らの次にポテンシャルが高いのは、間違いなくアーセナルなのですが、ああ、ザグレブ、ピレウス…。彼らの欧州戦線について語るのは、クリスマス直前になってからにいたしましょう。

グーナーのみなさんには叱られるかもしれませんが、「オリンピアコス戦で1-2で勝ったものの1ゴール足りずにグループステージ敗退、しかしヨーロッパリーグでファイナルに進出し、同じくこちらにまわってきたセビージャに敗れて準優勝」などという結末は、アーセナルぽくて素敵だなと思ってしまいます。グループステージは残り2試合。ユーヴェと首位通過を賭けて戦うマン・シティも含め、プレミアリーグ勢は「次戦が勝負」です。

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“欧州激闘レポート~完勝が少ないプレミアリーグ勢。ベスト8以上が期待できるのは?” への3件のフィードバック

  1. 実はグーナー より:

    ELで準優勝
    自力でのCL進出が無くなった今UFFAのポイント稼げるんでそれでも全然いいですw
    あとはシティに期待ですね

  2. より:

    次シティはユーベ戦厳しいかもしれないですよ。
    ユーベはCLのホームはハインケスの優勝したバイエルン以外負けてない。
    あとシティは対セリエは昨年のアウェイのローマ戦の1勝しかない。
    ユーベも1位通過狙うでしょうから面白い試合になると思いますね。
    ユーベはシティ戦前にミランと戦うから見ものです。

  3. makoto より:

    亢進お疲れ様です。

    今週の結果はほっとしました。
    私は1アーセナルファンですが、欧州の舞台ではプレミアリーグファンです。
    プレミアのチームが1チームでも上位に進出してリーグポイントを稼ぎいい選手を補強してより魅力的なリーグにしてもらいたいですね。

    そのためにも年末年始の日程や金曜日開催、リーグカップの再試合の廃止などリーグ一体となって欧州カップ参加チームを後押しするような仕組みを作ってもらいたいです。

    —–
    実はグーナーさん>
    アーセナルにはCLで決勝トーナメントにいってほしいのですが、ELにいったら一躍優勝候補になるのではないかとも思い、どちらにしても興味深いです。マン・シティは相当期待できそうです。

    鬼さん>
    おっしゃるとおり、大変だと思いますが、勢いはマンチェスター・シティのほうにあるのではないかと思ってます。単純に、「イタリアに負けている場合ではない」という状況でもあり、完勝を祈っております。

    ぐーなーさん>
    5勝は気持ちよかったですね。私も、年始に2週間程度でもいいのでウインターブレイクを入れてほしいと思っております。FAカップ、キャピタルワンカップとも、90分で同点ならPKとすると、つまらなくなりますかね?スポンサーの絡みもあって試合数を減らせないなら、疲労を残さないレギュレーションを検討してもらいたいですね。

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