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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

圧倒的な実力差!攻め続けたドルトムントがトッテナムに3発完勝!

ベスト8を賭けた戦いで早くもぶつかってしまった両者は、それぞれに大事な選手を欠いたゲームとなりました。ヨーロッパリーグ・ラウンド16、ドルトムントVSトッテナム。ギュンドアンが不在で、香川真司はベンチスタートのホームチームに対して、スパーズはプレミアリーグ17ゴールの絶対的エース、ハリー・ケインとデンベレ、ラメラがベンチ。デル・アリは出場停止で、エリック・ダイアーもいません。ヴェストファーレン・シュタディオンに乗り込んだプレミアリーグ最少失点チームは、マルコ・ロイス、ムヒタリアン、オーバメアンが繰り出す強力な攻撃を止めることができるでしょうか。

GKロリス、SBにはヨーロッパリーグのレギュラー、トリッピアーとベン・デイヴィス、CBにアルデルヴァイレルトとヴィマー。エリクセン、ライアン・メイソン、トム・キャロル、シャドリの中盤に、ワントップはソン・フンミンか、オノマーか。主力を5人欠いたポチェッティーノ監督がほしいのは、まずはアウェイゴール。さらにドローか勝利でロンドンに帰れれば大満足でしょう。

開始39秒、中央突破を仕掛けたトッテナムは、エリクセンが強烈なシュート。どうやら最前線はシャドリで、右にオノマー、ソン・フンミンは左のようです。運動量豊富なチーム同士のゲームらしく、全力疾走する選手が目立つスピーディーな展開。5分を過ぎると、ドルトムントにエンジンがかかってきました。6分、右からのクロスをマルコ・ロイスがヘッドで落とすと、カストロのボレーはライアン・メイソンがコースをカット。その直後、オーバメアンのスルーパスで抜け出したドゥルムは、GKロリスの飛び出しを気にして枠におさめられず、ボールは右に流れていきます。11分、左から上がったシュメルツァーがふわりと浮かしたクロスは、オーバメアンのボレーがバーの上。さらに3分後、ムヒタリアンの強烈なミドルをロリスが体を伸ばしてセーブすると、フォローしたオーバメアンが軽く流し込みますが、ラインズマンの旗が上がっています。ドルトムントの猛攻に、防戦一方のスパーズ。アルデルヴァイレルトの的確なカバーリングがなければ、既に先制を許していたでしょう。

ドルトムントはボールを失った後にプレスに入るのが速く、スパーズはプレミアリーグで見せるような速攻を仕掛けられず、手数をかけてボールを失うシーンが目立ちます。24分、フンメルスのスルーパスからマルコ・ロイスが抜け出そうとしたシーンは、ロリスがよく読んで素晴らしい出足でキャッチしました。27分のピスチェクのミドルはヴィマーが頭でカットしたものの、30分、ついにドルトムントがゴールを奪います。トッテナム守備陣がクリアすら満足にできず、3回、4回と続いた波状攻撃にピリオドを打ったのはシュメルツァー。左からのきれいなクロスに、オーバメアンのへディングは右のポスト際に落ちる完璧な一撃でした。

リードされたスパーズは一瞬、反撃の姿勢を見せますが、左からうまく抜けたエリクセンのパスを中央で受けたソン・フンミンは、ここというタイミングを逸してシュートが打てません。40分、ホームチームにはカウンターもあります。マルコ・ロイスが左から持ち込み、中のムヒタリアンが狙ったミドルはヴィマーがブロック。右のピスチェクからドゥルムに決定的なグラウンダーが入ったチャンスは、ライアン・メイソンが体を投げ出して止めました。ようやく、怖ろしい前半が終了。ペナルティエリア内で一度もボールを触れないという一方的な内容を考えれば、1-0の折り返しなら、アウェイチームにとっては上々です。

ポチェッティーノ監督の視界には、週末のプレミアリーグ、アストン・ヴィラ戦が入っているのでしょうか。勝ちにいくなら後半頭からハリー・ケインと期待したのですが、メンバー変更はありません。後半のトッテナムは、ソン・フンミンが最前線にポジションを変え、高い位置から追いかけまわすのをやめています。50分、ムヒタリアンの素晴らしいスルーパスが右のオーバメヤンに通り、ロリスの出鼻を左に流すと、ファーから走り込んだカストロのシュートはポスト直撃。57分には右からのロングボールがマルコ・ロイスに一発で通るも、切り返しからのシュートをヴィマーが読んでクリアしました。

57分、シャドリに代わってデンベレ登場。ドルトムントは、スヴェン・ベンダーを下げてスボティッチです。すると61分、ドルトムントの交代選手がショートコーナーを活かして追加点を奪います。カストロのクロスをスボティッチが右のポスト際にヘッドで送ると、2メートルもない至近距離から容赦ないボレーをゴールの天井に突き刺したのはマルコ・ロイス!2-0のままホワイト・ハート・レーンに帰るわけにはいきません。ポチェッティーノ監督の2枚めはエリクセンをラメラ。しかし70分、この試合だけでなくベスト8にふさわしいチームを決める3点めが入ります。オーバメアンが左に流したパスをダイレクトでゴール前に浮かしたカストロがお手柄でした。ゴールの真ん前でマルコ・ロイスをどフリーにしてはいけません。右足のボレーにロリスはノーチャンス。76分にハリー・ケインが顔を見せたときには、既に勝負は決まっていました。

スパーズサポーターとプレミアリーグファンにとっての希望は、ソン・フンミンに代わったエースがアウェイゴールを決めて次戦につないでくれること。79分、ラメラのFKにアルデルヴァイレルトの頭はわずかに届きません。勝利を確信したトゥヘル監督は、82分にオーバメヤンとマルコ・ロイスをねぎらい、香川真司とアドリアン・ラモスを投入します。87分、前線でボール奪取したオノマーがハリー・ケインに縦パスを通した最大のチャンスは、わずかにボールが長く、ヴァイデンフェラーがキャッチします。3-0、タイムアップ。これはロンドンでどうにかなるスコアではありません。

3-0以上の実力差があったリーグ2位同士のワンサイドゲームにあったのは、バイエルン・ミュンヘンに勝つためのサッカーを追求しているクラブと、レスターに首位を許しているリーグの2位チームというギャップなのではないでしょうか。ぞれぞれのリーグのレベルは、頂点に立つチームが決めるのだと思います。今季のポチェッティーノ監督のチームづくりは素晴らしいと思うものの、ライバルクラブたちが発展途上のトッテナムやレスターに優勝を許すのならば、プレミアリーグのクラブがバイエルンやドルトムントに勝つシーンはしばらくは望めないでしょう。ポチェッティーノ監督がベストメンバーで戦ってくれていれば…などという悔いが残らない、晴れ晴れとした完敗でした。(ピエール=エメリク・オーバメヤン:写真著作者/Tim Reckmann マルコ・ロイス:写真著作者/Lahvacek11)

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“圧倒的な実力差!攻め続けたドルトムントがトッテナムに3発完勝!” への8件のフィードバック

  1. あすえこと より:

    スパーズサポとしては「主力半分くらい居なかったから」なんてとても言えないくらい一方的な内容でした。
    そもそもあの面子はフィオレンティーナに買ったのとそう変わらないチームなわけですし、ドルトムントの強さが際立ってました。

    勝てない試合が続いてるのも心配です。

  2. グローリーグローリー より:

    世界は広いですね
    プレミアリーグ頑張らねば

  3. makoto より:

    あすえことさん>
    昨季のマンチェスター・シティはバルサに負けた後のプレミアリーグを2勝4敗。今季のアーセナルは、バルサに負けた後1分2敗。それぞれ、厳しい負け方から自信を失う「バルサショック」があったのではないかと思います。トッテナムを「ドルトムントショック」が襲わないか、懸念しています。そのぐらい凄まじかったですね。

    グローリーグローリーさん>
    いやー、ホントです。ペップ効果で、全体が切磋琢磨するレベルが引き上げられるといいのですが。

  4. にわかスパーズファン より:

    更新おつかれさまです。
    いやはやドルトムントのプレスに完全にハマりました。こういう時デンベレがいたらなと。
    そしてサイドチェンジから素早い攻撃。スパーズの弱点をうまく突いてきました。こういう時ダイアーがいたらと。
    ガチンコでぶつかってほしかったというのもありますが、次節のヴィラ戦の方が大事なのは事実です。
    しかしながら管理者様の最後の一節はグサッと刺さるものがあります。おっしゃる通りです。

  5. クラニチャル好き より:

    まさかここまで差があるとは・・・
    「現在は」力の劣るリーグが金にものを言わせて選手を獲得するという点でプレミアも中国と同じなのではないか。

    そう思えるほどの完敗でした…

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    ポチェ監督は「状況に応じたベストなメンバー」を常に選んでいると言っていますから、あの陣容は昨夜時点でのベストメンバーです。それでコテンパンにされたのですからドルトムントを讃える他ありません。

    チームの完成度、個人の力量共に欧州随一ですね、ドルトムントは。3年後にはスパーズもあのようなレベルでプレーするクラブに進化できると信じています。

  7. スパーズ推し より:

    バイエルンを追うチームとレスターに追いつけないチーム
    おっしゃる通りだと思いました
    そして、これはそのままリーグ全体の実力を表しているのだと僕も思います

    もはや広がっていた差はメンツや戦術を変えたくらいの一朝一夕の差では埋まらないことは明白です
    来期、プレミアにやって来たペップがリーグ全体に及ぼすような影響を与えることを期待します

  8. makoto より:

    にわかスパーズファンさん>
    ベストメンバーで向かっていけば、もう少し押せた気もしますが、スコアは変わらなかったかもしれませんね。こちらが弱かったというより、ただでさえ強いドルトムントが状態、メンタル含めてベストだったという印象でした。

    クラニチャル好きさん>
    夏の補強総額TOP10クラブはイタリア3、スペイン3、プレミアリーグはマンチェスター勢とリヴァプールという「前年の補強が微妙だった3クラブ」で残るはパリなので、リーグ上位でいえば突出しているわけでもないんですよね。プレミアリーグの総額が多いのは、TOPクラブの数が多いことと、「19位に沈んでいるニューカッスルが夏の欧州TOP15に入っている」ように、中堅・下位クラブの投資規模が急激に大きくなっているからではないかと思います。チェルシーとトッテナムは15位に入っていますが、この両者は売るほうもしっかりお金をもらって売ってますし。「マンチェスター・ユナイテッドとチェルシーがうまく世代交代できずに沈んだ」「下位の補強が凄くてレベルが拮抗し、手を抜ける試合がない上位が内向きになっている」「スペイン人、ドイツ人、イングランド人のレベル差」といった面が強いのではないかと思います。

    戦術的に欧州の最先端ではないということと、そうはいってもマンチェスター勢は爆買い継続中、であることは間違いありませんが、何しろさまざまな理由が重なり合っての今、ですね。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    「状況に応じた」の中身に、優先順位も含まれているのだとすれば、本気、最高クオリティという意味でのベストではなかったかもしれません。ドルトムントを讃えるしかない、というのはまったく同感です。

    スパーズ推しさん>
    賛成です。昨季前半素晴らしかったチェルシーが、そこからさらにレベルを上げていれば、プレミアリーグもまた違ったのかもしれません。戦術ではなく、戦略・考え方に革命的なものを持ち込んでくれそうなペップには期待してます。

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