勝ち試合を落としたセインツ…ワンチャンスを活かしたインテルがホームで1-0辛勝!
長友佑都と吉田麻也が欧州で対峙する最初の試合として、興味をお持ちの方も多かったかもしれません。インテルのSBは右サイド、セインツのCBはプレミアリーグでトップクラスという評価まであるファン・ダイクとコンビを組んでいます。最初のチャンスはインテル。4分にクコ・マルティナの吉田麻也へのパスが乱れ、カットしたイカルディがヒールで落とそうとすると、フレイザー・フォースターがクリアして事なきをえます。12分にタディッチが直接狙ったFKは壁がブロック。左さから右へサイドチェンジした二次攻撃は、タディッチのクロスが最前線に残っていた吉田麻也の頭上を越えていきます。選手間の距離が離れているインテルの攻撃は単調で、1対1で勝てなければ決定的な形にはならないでしょう。サイドを広く使い、細かくポジションを変えながらパスコースを創出しているセインツが、試合を優位に進めています。
28分、セインツのカウンター。前線に入っているジェイ・ロドリゲスが左のマックイーンにパスを通すと、折り返しのアーリークロスはGKハンダノヴィッチが先着するも、弾いたボールが飛び込んだジェイ・ロドリゲスに当たってゴールへ。ゴールラインに戻ってこれをクリアしたのは長友でした。直後、ファン・ダイクが右にサイドチェンジのボールを通すと、タディッチとのコンビで右サイドでフリーになったクコ・マルティナがグラウンダーのラストパス。走り込んだウォード=プラウズのシュートは浮いてしまい、クロスバーすれすれで上を抜けていきます。31分、イカルディをつぶした後の速攻で、中に斬り込んだタディッチが残したボールをクコ・マルティナが持ち込んでシュート。左に切れてしまい、決まらなかったものの、前半は完全なるセインツペースです。45分を終えたところでのスタッツは、ポゼッション55対45、シュートは6対2、パスが217対203ですべてセインツが上。ホームのインテルは、イカルディとエデルの個人技頼みの攻撃に変化を加えなければなりません。
後半開始から3分もしないうちに、シェーン・ロングがハムストリングを痛めたようです。代わって入ったのは、今季プレミアリーグで4ゴールを決めている好調チャーリー・オースティン。後半もセインツのサイド崩しは徹底されており、長友とサントンの両SBが上がれない時間が続きます。51分に縦に抜け出しかけたジェイ・ロドリゲスにはミランダがついてCKに逃れ、タディッチのキックをヘッドで押し込んだジェイ・ロドリゲスは、ファールの判定に不満そうです。54分、インテルに初めての決定機。左から斜めに入ったボールを最前線でニュクリがエデルに落とすと、エデルは自分で狙わず左にいたイカルディへ。左足の一撃は枠を外れますが、前の選手が近い距離で連携したのは初めてです。直後、ジェイ・ロドリゲスの後ろからのパスを振り向きざまに打ったチャーリー・オースティンのシュートは、わずかに左。セインツが押していたゲームは、67分にインテルがワンチャンスを活かして均衡が崩れました。
なかなか上がれなかったサントンが、左サイドから出したグラウンダー。ファン・ダイクは背後のカンドレーヴァを視野に入れておらず、シュートを打たれた瞬間には距離が開きすぎていました。とはいえ、この1点はゴール左上ぎりぎりに突き刺した87番の見事なボレーをほめるべきでしょう。名手フレーザー・フォースターもどうしようもなかったゴールで、ヨーロッパリーグ2連敗だったチームが今大会初めてリードを奪いました。ここから勢いに乗ったインテルがようやくホームチームらしくボールを支配しますが、78分に状況は一変します。ホイビュルグを後ろから削ったブロドヴィッチが、2枚めのイエローで退場。セインツには、10分以上の時間が残されています。
相手が10人になった直後に、ピュエル監督はジェイ・ロドリゲスを諦めてスティーブン・デイヴィス。今季プレミアリーグで全試合出場のMFは、チャーリー・オースティンや途中出場のプファルにシュートを打たせる役割を求められています。82分、右からのウォード=プラウズのFK。いち早く反応してフリーでボレーを放ったファン・ダイクは、コースが甘くなってしまいハンダノヴィッチの素晴らしい反応に阻まれます。カントレーヴァをアンサルディに代えて5バックでゴール前にこもったインテルの守備は、決して堅いとはいえません。88分、右からのCKを完璧なタイミングで合わせたファン・ダイクのヘディングシュートは、ゴールライン上にいた長友がクリア。さらにこのCKのこぼれ球をチャーリー・オースティンがプッシュすると、コースをよく見ていたハンダノヴィッチが両手で遮るビッグセーブ!デル・アリやアレクシス・サンチェスなら相手を欺いてネットを揺らしていたかもしれないビッグチャンスを、正直すぎるシュートで逃し続けたセインツは、一歩及ばずタイムアップの笛を聞きました。
セインツの攻撃を封じることに徹していた長友は、28分のピンチではジェイ・ロドリゲスに置いていかれましたが、総じて堅実に役割を果たしていたのではないかと思います。吉田麻也もまた、持ち場を崩されることなく及第点をあげられる出来でした。ボールをより支配し、相手の倍となる14本のシュートを放ったセインツにとっては、悔いの残る敗戦でした。とはいえ、下を向かなくてもいいでしょう。残り3試合のうち、ホームの2戦に勝てばグループリーグ突破決定です。まずは折り返しのインテル戦で、倍返しとまいりましょう。イカルディとエデルを抑え、今日のようなサイド攻撃を徹底できれば、次こそは不振の名門に勝てるはずです。
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