偏愛的プレミアリーグ見聞録

トッテナムはアーセナルの勝利を願い、マンチェスター・ユナイテッドはペップを応援しなければなりません。いや、正確にいいましょう。スパーズとレッド・デヴィルズは、「自らのCL出場権獲得のためにライバルが勝つか、CLに出られなくても憎きライバルの敗退を望むか」の微妙な二択を強いられています。

2024-25シーズンより、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、ヨーロッパリーグの大会フォーマットが大幅に変更されることが決まっており、チャンピオンズリーグの出場枠は32から36に拡大されます。そのうちの2つは、今季の欧州における戦績が上位だった2国に与えられるという話になっています。

マンチェスター・シティとウェストハムがトロフィーを手にした昨シーズンなら、悠々と5つめの出場権をゲットできたプレミアリーグは、今季は大苦戦。マンチェスター・ユナイテッドとニューカッスルがCLのグループステージで最下位だったため、7つのクラブがすべて勝ち抜けのイタリアと、ウニオン・ベルリンのみが敗退のドイツの後塵を拝しています。

ただしポイントを見ると、首位イタリアは17.714と独走しているものの、2位ドイツは16.357でインングランドは16.250。2つめの椅子を争うバトルは僅差で、プレミアリーグ勢にもチャンスがある状況です。ラウンド16の結果を見ると、脱落したのはブライトンのみで、マン・シティ、アーセナル、リヴァプール、ウェストハム、アストン・ヴィラが勝ち上がりました。

CLのナポリ、インテル、ラツィオが全滅したイタリアは、ELでミラン、ローマ、アタランタが残り、ECLのフィオレンティーナと併せて残り4クラブ。バイエルンとドルトムントがCLのベスト8に進んだブンデスリーガは、EL勝ち抜けはレヴァークーゼンのみで、ライプツィヒ、フライブルク、ECLのプレーオフで敗れたフランクフルトがアウトです。

ベスト8の対戦を見ると、CLはアーセナルVSバイエルンが最注目カード。ペップとアルテタが終わり、ドルトムントがアトレティコ・マドリードに勝利というのが最悪の着地です。ELでフライブルクを倒したウェストハムが、レヴァークーゼンまで食ったらヒーローです。ミランとローマが直接対決なので、リヴァプールがアタランタに勝てば、セリエAとの形勢逆転もありえます。

ブンデスリーガ勢が不在のECLは、アストン・ヴィラがリーグアン4位のリールと戦い、フィオレンティーナはチェコのプルゼニ。彼らの勝負はセミファイナルに持ち越しとなるのではないでしょうか。やはり重要なのはCLで、マン・シティとアーセナルが抜ければセミファイナルは直接対決なので、ドイツをまくれる可能性が俄然高まるはずです。

「Manchester United cheering for Manchester City and Liverpool in Europe – this is why」。われわれがマン・シティとリヴァプールを応援しているという嫌らしい見出しを立てた「テレグラフ」のジェレミー・ウィルソン記者には、「現状5位のスパーズが、バイエルンと激突するアーセナルを応援」のほうが素直な見方だろうと抗議したくなりますが、マンチェスター・ユナイテッドのほうがアクセスが稼げるんでしょうね…。

それはさておき。記事によると、今回採用されている欧州の係数を過去5シーズンにあてはめると、プレミアリーグは4シーズンで5枠めをゲットできた計算になるそうです。スパーズサポーターには、「オマエらがCLで負けるからじゃ！」と、どつかれそうですが、今はとにかくガナーズ＆ハマーズの快挙やクロップ監督の有終の美を祈るしかありません。

いや、それはそうとして、こちらもスパーズとの6ポイント差を埋めるという大事なタスクがあります。どうなる欧州、そしてマンチェスター・ユナイテッド！FAカップでリヴァプールの4冠チャレンジを止めたのは、プレミアリーグとELに集中していただくためのファインプレーだったのだと信じて、素晴らしいシーズンを過ごしている5クラブを目いっぱい応援したいと思います。