2025.05.01 チャンピオンズリーグ2024-25チャンピオンズリーグ
苦戦の最大の要因はプレスの空転。パリで必勝のアーセナルの課題と対応策を考える。

キックオフから押し込まれたアーセナルは、4分にウスマン・デンベレに決められ、追う展開を強いられました。そこからの苦戦の要因は、プレスの空転です。パリのキーマンは、前線にポジションを取ったハキミと、引いてもらいに来るウスマン・デンベレ。偽SBというより、ウイング兼SBと表現するほうがぴったりだったハキミによって、ガナーズの布陣は分断されました。
ヌーノ・メンデス、パチョ、マルキーニョスにはサカ、ウーデゴーア、トロサールが着いたのですが、ハキミが上がったためにマルティネッリのポジションが中途半端になり、中盤で数的優位を築いたパリが主導権を握りました。最終ラインからのパスコースをうまく切っても、自陣に戻ってきたウスマン・デンベレがフリーでもらい、ドリブルで仕掛けてきます。
キヴィオルとデクラン・ライスは、近くにいるジョアン・ネヴェスとファビアン・ルイスが気になり、あそこまで下がる偽9番…いや、フリーパスのアタッカーを追いかけるわけにはいきません。ライン間の距離が空いてしまったアーセナルは、ハキミ、クヴァラツヘリア、ドゥエの仕掛けに対応するのが精一杯で、35分まで何もできませんでした。
ビルドアップからうまくつながれたホームチームは、マイボールでは前線へのコースをカットされ、綱渡りのようなパスワークが続きました。パルク・デ・プランスでのセカンドレグでは、4‐4‐2で自陣に呼び込んで速攻を仕掛けるか、マルティネッリとデクラン・ライス、ルイス=スケリーでハキミとドゥエを自陣に封じ込めるか、何らかの策が必要でしょう。
流動性とバランスを両立させながら、スペースを創らせずに戦っていたパリに対して、自らの弱点を修正したアーセナルはチャンスを生み出せるようになりました。前半終了間際から後半の立ち上がりにかけて、決定的なシーンが3つありましたが、マルティネッリとトロサールのシュートはドンナルンマがビッグセーブ。ミケル・メリノのヘッドはVARにオフサイドを取られました。
後半は攻撃が活性化し、惜しいシーンが増えたのですが、右からのシュートはゼロ。ウーデゴーアのパスが機能せず、サカの個人力頼みのアタックとなってしまいました。最終盤に創られた2つのビッグチャンスは、いずれもキヴィオルの裏を狙われており、サリバとの間に走り込んでくるアタッカーへの対応も課題のひとつです。
2点めを決められずに終えたことで、アウェイでは90分で勝てばとりあえずOKとなりました。初戦で見えてきた課題を整理すると、守備時は3枚でDFをチェイスせず、ハーフラインまで引く4‐4‐2でもいいのではないかと思います。デクラン・ライスがトーマスの脇でキヴィオルをサポートし、奪ったらすかさずサカとマルティネッリを走らせる戦い方でもゴールに迫れるでしょう。
70分に負傷リタイアとなったウスマン・デンベレは、次戦に間に合うのか。絶好調の10番がいなければ、デクラン・ライスとトーマスは攻撃にシフトしやすくなります。女子のCLで準決勝に進出したアーセナル・ウイメンは、ホームでリヨンに1‐2で敗れた後、1‐4で快勝してバルセロナ・フェメニと戦うことになりました。男女同一カードを実現すべく、彼女たちに続きましょう。
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