2025.05.02 チャンピオンズリーグ2024-25チャンピオンズリーグ
マンチェスター・ユナイテッドは14位、スパーズは16位…「絶不調同士の欧州頂上決戦」は実現するのか?

いや、正直にいいましょう。起こってほしくないことを、嫌な順番に並べます。「ビルバオがアウェイで0‐4で奇跡的な決勝進出」「スパーズが敗れて、これはいけると思ったら決勝でボデ/グリムトに敗戦」「スパーズにシーズン4敗めでCL出場権を持っていかれる」。優勝ならスパーズに勝ちたい、負けるならスパーズのほうがマシ、でもスパーズとはやりたくない…。
プレミアリーグを愛するファンとしては、マンチェスター・ユナイテッドの利害が絡まなければ、ボデ/グリムトとの準決勝は迷わずスパーズを応援します。しかし今や、われわれにとって彼らは天敵のような存在です。複雑な思いを抱えつつ、「何かが起こるかも?」と淡い期待をもってキックオフを迎えたのですが、1分も経たないうちに苦しいファイナルを覚悟しました。
ペドロ・ポロがファーにクロスを上げたのは34秒。リシャルリソンが頭で右のポスト際に折り返すと、ノーマークのブレナン・ジョンソンのヘッドが左隅に決まりました。その後も容赦なくシュートを浴びせていたスパーズは、34分に追加点をゲットします。ペドロ・ポロの自陣からのロングフィードがラインの裏へ。GKの目の前でトラップしたのはジェームズ・マディソンです。
巧みなタッチで右に流れた10番は、腰をまわして右足を振り抜き、左のサイドネットに収めました。2‐0で終わった前半のシュートは13対2。61分の3点めは、PKでした。クロスのクリアが高く浮き、落下点に先着したロメロがトラップすると、シェヴォルが足を蹴ってしまいました。GKの動きをぎりぎりまで見極め、左に転がしたソランケは、今季のELで4ゴールめです。
83分にイェッペ・ケアの短いラストパスを受けたサルトネスが右隅に決めるも、シュート数24対3と圧倒したスパーズが3‐1で快勝しました。ファイナル進出に向けて視界良好といいたいところですが、ボデ/グリムトはホームでむやみに強く、今季のELでは7勝1敗。ノックアウトフェーズではトゥエンテに5-2、オリンピアコスに3‐0、ラツィオに2‐0とすべて2点差以上で勝っています。
極寒のアスプミラ・スタジアムは、8270人しか入らない異空間。プレミアリーグの情熱的なサポーターのチャントが当たり前になっているスパーズにとっては、普段とは違うスタジアムの雰囲気に加えて、人工芝も克服しなければなりません。リーグフェーズの5節でマンチェスター・ユナイテッドに3-2の惜敗だったチームは、リスクを取って攻めてくるはずです。
とはいえファイナルの大方の予想は、マンチェスター・ユナイテッドVSスパーズでしょう。プレミアリーグのクラブは「カップ戦で大健闘のボトム10」が多く、2005-06シーズンには国内で14位だったミドルズブラがUEFAカップで決勝進出。2009-10シーズンに12位だったフラムは、ラウンド16でユーヴェを撃破し、アトレティコ・マドリードとの決勝は延長戦で2-1で敗れています。
そういえばスパーズも、最後のタイトルとなるリーグカップ制覇の2007-08シーズンは、プレミアリーグでは11位でした。ルーベン・アモリムとアンジェ・ポステコグルーがセカンドレグで反撃を許さなければ、国内14位VS16位という亜空間の決戦。プレミアリーグ創設以来、最悪のポジションに転落したチーム同士のサバイバルマッチともいえます。
両者の直近の戦績を見ると、スパーズは3月以降のプレミアリーグで1勝1分5敗で、唯一の勝利は最下位セインツ。マンチェスター・ユナイテッドは1勝3分3敗で、勝ったのは19位のレスター戦だけです。降格チームにしか勝てない底辺同士が欧州の頂点を争う極上のホラームービーが実現したら、どんな結末が待っているのでしょうか。
「勝てば欧州王者、負けたら国内で下位に沈むOne of them」は、高低差が激しすぎます。「スパーズの17年ぶりのタイトルに貢献」「欧州ルートからCL出場権獲得という鮮やかな復活劇をお膳立てした名脇役」などといわれることを想像すると、リードされただけで失神しそうです。「負けてしまえ」とはいいませんが、心身の健康を考慮すると決勝はノルウェー王者のほうが…。(ジェームズ・マディソン 写真著作者/KrispyKrumpets)
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