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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

戦績を見ると納得…!チェルシーのカンファレンスリーグ参加は、負担ではなくプラスだった説。

8月のセルヴェットとのプレーオフは、ロンドンで2‐0、ジュネーヴで1‐2。リーグフェーズは圧勝ばかりの6連勝で当然の首位通過となり、ノックアウトフェーズではアウェイのファーストレグを3連勝です。カンファレンスリーグという場違いな大会に出場したチェルシーは、ポーランドのヴロツワフで開催されるファイナル進出にあと一歩に迫っています。

優勝賞金は600万ポンド、リーグフェーズを全勝しても獲得賞金総額は1600万ポンド。夏のトランスファーマーケットで投じた額の1/10にも満たないインセンティブで、シーズンの半分以上の木曜日を差し出す大会は、罰ゲームと揶揄されても致し方ないでしょう。しかし今季のチェルシーにとって、カンファレンスリーグ参加はプラスだったといえるのかもしれません。

フツーの優勝候補なら、プレミアリーグとの両立で苦しいやりくりを強いられそうですが、あまりにも実力差が大きければ、サブの選手のガス抜きや不振の選手の自信回復に活用できます。「アスレティック」のサイモン・ジョンソン記者が、興味深いデータを紹介しています。マレスカ監督の初年度は、木曜日の大会がある時期のほうが戦績がよかったようです。

プレーオフからリーグフェーズ終了までの4ヵ月は、プレミアリーグ16試合で10勝5分1敗。唯一の敗戦はアンフィールドのリヴァプール戦ですが、ポゼッション42%のホームチームはシュート数9対12と押し込まれていました。リーグフェーズが終わってからノックアウトフェーズが始まるまでの2ヵ月半は、10試合で3勝2分5敗。2位だったチームは、5位に転落しています。

コペンハーゲンとのアウェイゲームを1-2で勝ち切ったのは3月6日。ここからの7試合は4勝2分1敗で、アーセナル戦はCKからミケル・メリノが決めたバックヘッドのみの惜敗でした。カンファレンスリーグで8試合以上出場した選手のリストを見ると、プレミアリーグへの悪影響がなかったのは一目瞭然です。

デューズバリー=ホール、ヨルゲンセン、トシン、バディアシル、エンクンク、ディサシ、レナト・ヴェイガ、タイリーク・ジョージ、マルク・ギウ。3ゴール以上をゲットしたのはエンクンク、マルク・ギウ、ノニ・マドゥエケ、ジョアン・フェリックス、デューズバリー=ホール、ムドリクで、主力といえるのは11番だけです。

木曜日の準決勝ファーストレグ、1-4で快勝したユールゴーデン戦も有意義なゲームでした。先制は12分、右から上がったエンソ・フェルナンデスが逆サイドにクロスを通すと、トラップでもたついたサンチョのノーステップのフィニッシュがダニエルソンに当たってゴールへ。43分の2点めのアシストも、デューズバリー=ホールのパスを中央で受けた8番でした。

外からボックス右に走り込んできたノニ・マドゥエケに優しいボールが転がり、左足のダイレクトショットがニアに決まって0-2。後半の収穫は、プレミアリーグでゴールを量産してほしいエースが2発ゲットでテンションを高めたことです。59分に左サイドから上がったのはコール・パルマー。縦パスを追ったニコラス・ジャクソンは、ダニエルソンに体を入れられてしまいました。

ストライカーをガードしたDFがGKに捕らせようとすると、グローブがボールに触れる寸前に右足の裏が届きました。足を引いて奪い、無人のゴールに流し込んで0-3。65分の4点めは、敵陣ボックス手前でパスをカットしたカイセドに拍手です。こぼれ球を拾ったエースは、右足で左に流したボールを左足で引っかけて右隅に決めたのですが、余裕がなければできないプレイです。

いい雰囲気でウェストロンドンに戻ってきた選手たちは、日曜日のスタンフォード・ブリッジで優勝を決めたチームに勝ち切ってしまうかもしれません。ユールゴーデンとのセカンドレグは、週末のニューカッスルとの決戦を見据えたコンディショニングに活用できます。しかし…。マレスカ監督の悩みは、ECLでの戦い方をサポーターに理解してもらえていないことでしょう。

元凶はスパーズです。チェルシーがラウンド16から3つ連続でファーストレグがアウェイなのは、ヨーロッパリーグの準々決勝と準決勝で初戦がホームとなったスパーズと同じ日に、ロンドン開催にならないよう調整が入ったからです。敵地で完勝したら、セカンドレグのクルージングは常套手段ですが、サポーターにしてみれば「ECLのホームゲームはいつも苦戦」となります。

準々決勝のレギア・ワルシャワ戦を1-2で落としたときは、スタンフォード・ブリッジは大ブーイングでした。直前のイプスウィッチ戦が2-2のドローでなければ、叩かれなかったのかもしれませんが、現場としては「0-3で勝った後だし」といいたくなるところです。リヴァプールに勝った後なら、負けても気持ちよくセント・ジェームズ・パークに送り出してもらえるのでしょうか。

プレミアリーグでTOP5をめざすマレスカ監督としては、次のECLは僅差の負けならOKで、前後の2試合を万力込めて勝ちにいかなければなりません。欧州のファイナルは、リーグの最終節が終わった後です。来季CLの出場権を確保したうえで、ポーランドでタイトルを獲得できれば、悪くないシーズンといえるでしょう。指揮官の起用法と采配に、最後まで注目しましょう。


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