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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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アモリムはなぜ、放置したのか?遅かった猛攻、ヨーロッパリーグを制したのは41年ぶりのスパーズ!

2025年5月21日、アスレティック・ビルバオの本拠地サン・マメス。プレミアリーグ16位と17位が激突する前代未聞のファイナルが、キックオフの時を迎えています。ルーベン・アモリム率いるマンチェスター・ユナイテッドと、アンジェ・ポステコグルーのスパーズ。今シーズンの対戦成績は、スパーズが3戦全勝です。

ただし今日のスパーズには、マン・ユナイテッド戦で素晴らしいパフォーマンスを披露していたクルゼフスキとジェームズ・マディソンが不在です。中盤はパペ・マタル・サール、イヴ・ビスマ、ベンタンクール、前線はリシャルリソン、ソランケ、ブレナン・ジョンソン。対するアモリムの3-4-2-1は、納得の顔ぶれです。

GKオナナ、DFレニー・ヨロ、マグワイア、ルーク・ショー、2センターはブルーノ・フェルナンデスとカゼミーロ。WBにマズラウィとドルグ、2列めはメイソン・マウントとアマド・ディアロで、最前線にホイルンドという並びです。リサンドロ・マルティネスとデ・リフトを欠いているものの、レニー・ヨロとルーク・ショーなら問題はないでしょう。

勝てば欧州王者で来季はCL、負ければ降格すれすれの下位チーム。立ち上がりのプレスの厳しさは、スパーズが上回っています。両者ともに、最初のCKは活かせず。ボックス右に出たボールをホイルンドがヴィカーリオの前でさらったチャンスは、ニアでパスを受けたブルーノのシュートが味方に当たってしまいました。

10分のペドロ・ポロのCKは、オリンピコを狙ったようなボールでしたが、オナナが冷静にパンチ。1分後、ブレナン・ジョンソンがゴールライン際に出てクロスを入れると、オナナが弾いたボールに走り込んだパペ・マタル・サールのシュートは、赤い壁に阻まれました。徹底的にサイドを突くスパーズに対して、マン・ユナイテッドの狙いは曖昧です。

16分のブルーノのCKはヴィカーリオがクリア。こぼれ球を拾ったマグワイアがアマド・ディアロに落とすと、縦に持って右足で放ったシュートはファーポストの外に抜けていきました。アマド・ディアロが右からカットインしたのは29分。右足のクロスは、ニアに入ったレニー・ヨロの前でブレナン・ジョンソンにカットされました。

40分のアマド・ディアロのミドルは、リシャルリソンに当たってヴィカーリオがキャッチ。42分に左サイドでベンタンクールのパスを受けたサールは、ゴールに向かうクロスをニアに入れました。ブレナン・ジョンソンが触ったボールがルーク・ショーに当たって左隅へ。22番の足をかすめたボールをオナナは弾き出せず、サン・マメスに白いサポーターの歓声が響き渡りました。

マン・ユナイテッドの反撃は実らず、前半は1‐0でスパーズがリード。ポゼッション37%対63%、シュート数は3対5、オンターゲットは1対2で、すべてアモリムのチームが上回っています。気になるのはメイソン・マウント。ボールタッチは14回で、パス成功は4本のみです。後半はメイヌーを投入し、ブルーノを前に出したほうがよさそうです。

後半開始からしばらくは、マンチェスター・ユナイテッドのポゼッション。48分にアマド・ディアロが速いクロスを入れると、ホイルンドのヘッドは浮いてしまいました。サイドでキープした後が続かないマン・ユナイテッド。58分の右からのFKをブルーノがニアに蹴ると、レニー・ヨロの右足は届かず、ヴィカーリオがクリアしました。

63分、カウンターを仕掛けたのはウドジェ。右から並走したソランケへのラストパスはずれてしまい、マグワイアが冷静に回収しました。必死に守っていたリシャルリソンが倒れ込んだのは65分。代わって入ったのは、やはりソン・フンミンです。68分、縦に上がったFKをヴィカーリオがファンブル。ホイルンドのヘッドは、ファン・デ・フェンがバイシクルでクリアしました。

71分にホイルンドとメイソン・マウントが下がり、ザークツィーとガルナチョがピッチへ。72分のマズラウィのクロスに走り込んだブルーノはフリーでしたが、ダイビングヘッドは右に外れています。74分に左からカットインしたガルナチョのシュートは、ヴィカーリオがセーブ。78分のブレナン・ジョンソンをダンソは、守り切ろうというメッセージでしょう。

85分にダロトに後を譲ったマズラウィは、疲れ切っているようです。マグワイアは最前線へ。92分にダロトのクロスを競ったCBは、左に外しました。ハイテンションの白、沈黙の赤。95分のレニー・ヨロのミドルはバーを越えていきました。97分のルーク・ショーのヘッドは守護神がビッグセーブ。最後のCKが左に流れると、カゼミーロのオーバーヘッドは枠にいきませんでした。

おめでとうスパーズ、17年ぶりのトロフィー!欧州制覇は1983-84シーズン(当時はUEFAカップ)以来、41年ぶり4回めです。アンジェ・ポステコグルーはモウリーニョやコンテが成しえなかった快挙を達成し、英雄になりました。対してルーベン・アモリムは、ディビジョン2に降格した1973-74シーズン以来、最悪のポジションでシーズンを終えた監督になります。

ブレナン・ジョンソンのゴールは幸運でしたが、最後までリードをキープした守備は素晴らしいのひとこと。後半のシュートゼロは、目標と成すべきことをチームで共有できた証ともいえるでしょう。ヴィカーリオのセービング、ファン・デ・フェンのバイシクルクリア、最も危険なアマド・ディアロを自由にさせなかったリシャルリソンとウドジェが目を引いた一戦でした。

マンチェスター・ユナイテッドは指揮官を筆頭に、これが限界だったということでしょう。前線と中盤に負傷者はおらず、エリクセンとウガルテ以外の主力は全員プレイしています。アマド・ディアロはパス36本でチャンスクリエイト2回、メイソン・マウントは8本。2列めの左右の働きがこれだけ違うのに、早い時間に手を打たなかった指揮官の責を問うべきでしょう。

71分の最初の交代カードまでシュート9本、その後の26本で7本。前半のシュート5本はすべて右からで、左からの3本はガルナチョが入ってからです。なぜ、左右の不均衡を放置したのか。後半のポゼッションは20%対80%、シュートは0対11、パス本数は43対271、パス成功率は51%対85%というハーフコートマッチだっただけに、遅すぎたカードが悔やまれます。

今日はひたすら悔しさをかみしめ、来季はよくなると信じるしかありません。最後に、もう一度。スパーズの関係者とサポーターのみなさん、おめでとうございます。ハリー・ケインが初めてトロフィーを手にした年に、ソン・フンミンも長きに渡る奮闘が報われました。夏に最終ラインを強化できれば、若手の成長が期待できる来季は変われるでしょう。CLが楽しみですね。


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