偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグ9節のリヴァプールVSレスターは、首位と3位が戦うシックスポインターでしたが、今週末のチェルシーVSトッテナムも首位と3位の直接対決。プレミアリーグ2020-21シーズンが、いかに混戦模様かがよくわかります。スタンフォード・ブリッジでジョゼ・モウリーニョの帰還を待つチェルシーは、火曜日のチャンピオンズリーグでレンヌを1-2で下しており、日曜日の決戦まで中4日。ヨーロッパリーグでルドゴレツに4-0で勝ったスパーズは、中2日です。

「ブルーズがあまりにも有利」とツッコミを入れたくなる方もいるかもしれませんが、現実的にはスパーズの主力のほうが休養充分です。敵地でのゲームをプレミアリーグ仕様のメンバーで戦ったランパード監督に対して、木曜日のルドゴレツ戦のモウリーニョ監督は、総入れ替えに近いターンオーバーを敢行。トッテナムホットスパースタジアムに、ブルガリアで9連覇のクラブを迎えたゲームは圧巻でした。シュート数は24対0！ヴィニシウス、ガレス・ベイル、デル・アリ、ルーカス・モウラという錚々たるメンバーが、直前のマンチェスター・シティ戦で全員サブというぜいたくなチームは、疲れを残さず決勝トーナメント進出に近づいています。

16分の先制ゴールは、エンドンベレ、デル・アリ、ヴィニシウスと縦につながったスパーズならではのシンプルなアタック。34分には自陣からドリブルを始めたエンドンベレが3人を次々と抜き去り、ミドルシュートをGKが弾くと、こぼれ球を拾ったデル・アリが中央にいたヴィニシウスに2点めを決めさせました。3点めは63分、プレミアリーグで4試合しか出番がなかったハリー・ウィンクスが左サイドから蹴った驚愕の超ロングシュート。73分には右サイドに出たデル・アリのクロスをヴィニシウスが左につなぎ、ルーカス・モウラが冷静に右隅に収めました。

ダヴィンソン・サンチェスとタンガンガという控えCBコンビは危なげなく、大活躍だった2センターとともにジョー・ハートから仕事を奪いました。それぞれのポジションに実力差が小さい2人の選手が揃っているうえに、公式戦14試合11ゴール5アシストのソン・フンミンと15試合13ゴール11アシストのハリー・ケインというプレミアリーグNo.1コンビがいます。エンドンベレ、シソコ、ホイビュルクがハイパフォーマンスを続けているため、デル・アリ、ロ・チェルソ、ハリー・ウィンクスがなかなか出られないチームは、簡単には崩れないでしょう。

「スカイスポーツ」のポッドキャストは、マイケル・ブリッジとシャーロット・マーシュの両氏によるチェルシー対トッテナムのプレビューを配信。「チーム内にいい競争がある」と指摘したマイケル・ブリッジさんは、ハリー・ケインについて、「創造性、原動力、驚異的、説明できない」と最上級の賛辞を連発しています。

首位スパーズを迎え撃つチェルシーもまた、夏の補強で全ポジション2人以上を実現したチームです。シャーロット・マーシュさんは、「最大の変化はハキム・ツィエク」と主張。プレミアリーグ5試合1ゴール3アシスト、10回のチャンスクリエイトを記録したモロッコ代表のウインガーを激賞しています。

守備の補強についても、ランパード監督のヴィジョンと人選を評価しており、「エドゥアール・メンディの仕事を過小評価できない」「チアゴ・シウヴァはリーグにフィットし、何ができるかを示し始めた」「チルウェルは、チェルシーの左SBとして10年プレイしているように見える」と主力を称賛。新しい守備陣にとって、日曜日の試合は「ハリー・ケインとソン・フンミンによるテストである」と結んでいます。

モウリーニョ監督がキャリアを通じてシーズンダブルを喰らったのは、昨季のランパード監督のチームが初めて。同一のチームに、リーグ戦3連敗を喫した経験はありません。チェルシーで「MFランパード」とともに戦っていたときは、スタンフォード・ブリッジで79勝22分5敗という無類の強さを誇っていたのですが、マンチェスター・ユナイテッドとトッテナムの指揮官として乗り込んだゲームは1分4敗と未勝利です。プレミアリーグで8戦連続無敗のスパーズか、7戦連続のブルーズか。私の予想は、「ソン・フンミンがズマのエリアを切り裂いて…」。