総勢38人!ユース最強のチェルシーからローンで出された選手たちに希望はあるか?
ユースチームがここ2年、欧州を席巻しているにも関わらず、コンテ監督のチェルシーにはユース上がりのレギュラー選手はひとりもいません。2015-16シーズンはプレミアリーグで13試合に出場し、成長が感じられたロフタス=チークは、今季のプレミアリーグは出場ゼロ。昨季は公式戦16試合4ゴール、プレミアリーグ10試合2ゴールで新シーズンの躍進が期待されたベルトラン・トラオレは、アヤックスに出されてしまいました。7節のハル・シティ戦の後半に、ナサニエル・チャロバーがプレミアリーグデビューを飾りましたが、彼の出番が格段に増えることはないでしょう。
ベジェリン、コクラン、イオビらが活躍しているアーセナル、ラシュフォード、リンガード、フォス=メンサーがトップチームにいるマンチェスター・ユナイテッドと比べると明らかに若手が定着していないチェルシーは、「最強ユースから出てきた選手をプレミアリーグや海外の他クラブで修業させ、やがてはトップチームに合流させる」というプランが機能していないように見えます。実際は、どうなのでしょうか。まずは、現在ローンに出されている38人のリストをチェックしてみましょう。
【プレミアリーグ】
ロイク・レミー(29歳/クリスタル・パレス) 、 ケネディ(20歳/ワトフォード)
パトリック・バンフォード(22歳/バーンリー) 、ナタン・アケ(21歳/ボーンマス)
【イングランド下部リーグ】
トマス・カラシュ(23歳/フラム) 、ルーカス・ピアゾン(22歳/フラム)
ジャマール・ブラックマン(22歳、ウィコム) 、アレックス・デイビー(21歳/クローリー)
ミッチェル・ビーニー(20歳/クローリー)、ディオン・コンロイ(20歳/アルダーショット)
アレックス・キウォミャ(20歳/クルー・アレクサンドラ) 、クリスティアン・アツ(24歳/ニューカッスル)
ジョーダン・ヒュートン(20歳/ドンカスター)、ケイシー・パーマー(19歳/ハダースフィールド)
チャーリー・コルケット(19歳/ブリストル・ローヴァーズ)、イジー・ブラウン(19歳/ロザラム)
ジェイク・クラーク=サルター(18歳/ブリストル・ローヴァーズ)
タミー・アブラハム(18歳/ブリストル・シティ) 、ネイサン・バクスター(17歳/メトロポリタン・ポリス)
【海外】
フアン・クアドラード(28歳/ユヴェントス)、マテイ・デラク(24歳/ロイヤル・エクセル・ムスクロン)
マイケル・エクトル(24歳/フランクフルト)、ケネス・オメルオ(22歳/アランヤスポル)
アブドゥル・ラーマン・ババ(22歳/シャルケ)、ワラシ(22歳/グレミオ)
ルイス・ベイカー(21歳/フィテッセ) 、マット・ミアズガ(21歳/フィテッセ)
アンドレアス・クリステンセン(20歳/ボルシアMG) 、イスラム・フェルス(20歳/ムスクロン)
ジョアン・ロドリゲス(20歳/インディペンディエンテ) 、ナタン(20歳/フィテッセ)
ベルトラン・トラオレ(20歳/アヤックス)、ダニーロ・パンティッチ(19歳/エクセルシオール)
ベカンティ・ヴィクトリエン・アンバン(19歳/グラナダ) 、ジャーメイン・ボガ(19歳/グラナダ)
チャーリー・ムソンダ(19歳/ベティス)
いやー、大変なことになっていますね。38人のうち、完全移籍が成立せずに、とりあえず今季はローンで移って次のシーズンには正式に…という選手が10人弱ぐらいはいそうですが、その他の30人は修業中の面々です。これだけ多ければ、チェルシーでトップチームをめざせるのかと不安を抱く選手もいるでしょう。現在はフラムに所属するルーカス・ピアソンは「もう充分だ。いつもローン、ローンでは意味がない。ポジティブに考えることはできないね。毎年異なるクラブでプレイするのは、どんな選手にとってもいいことではないだろう」とこぼしています。ロメウ・ルカクやファン・アーンホルト、バートランドなど、完全移籍でチェルシーを離れた選手が活躍しているのを見れば、退団を決意する選手は増えるかもしれません。
ただし一方で、ローンに出されたなかから、近い将来プレミアリーグに戻ってブレイクするかもしれない選手が出てきているのも事実です。冒頭で触れた「スカイスポーツ」の記事は好意的で、「ローニーズ」のなかから活躍組をピックアップ。エールディヴィジ8試合4ゴールといいスタートを切ったルイス・ベイカー、アヤックスの右サイドでプレイするベルトラン・トラオレ、先日のロザラム戦でニューカッスルデビューを果たし、決勝ゴールを挙げたクリスティアン・アツ、チャンピオンシップ首位のハダースフィールドで中心選手となっているケイシー・パルマーらを今後有望として紹介しています。最も期待されるのは、ボルシアMGでブンデスリーガ全試合フル出場のクリステンセンでしょう。来季のチェルシーは、ダヴィド・ルイス、ズマ、クリステンセンというフレッシュな3バックでプレミアリーグを戦っているかもしれません。
コンテ監督の課題のひとつは、「最強ユースのパワーをどうトップチームにつなげていくか」です。「ケーヒルよりもクリステンセン」「ロフタス=チークが成長すればセスクとオスカルのいずれかを放出」「国内カップでは最前線にソランケ起用」など、どこかで腹をくくって若手に経験を積ませることができれば、ハリー・ケインやラシュフォード、ベジェリンのようなトッププレイヤーが出てくるのではないでしょうか。ルカクを買い戻そうか…と出ていった選手に目を向けるのではなく、今いる選手をいかに活かすかを考えたほうが、数年先のチームは強くなるのではないかと思います。ベイカー、アブラハム、パーマー、トラオレ、イジー・ブラウン、クリステンセン、あるいはピアソン?上記のリストのなかに、この先のプレミアリーグ得点王やアシスト王、最強DFと呼ばれる原石がいるはずです。何しろUEFAユースリーグ覇者です。絶対に、います。(ルイス・ベイカー 写真著作者/Conceited_2)
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チェルシーファンとしてはアブラハムが大活躍してくれているのはとても嬉しいことですね。
来季はトラオレ、アブラハム、ベイカーなどファーストチームで定着してほしいところです。ただ安定した出場時間を得るのはなかなか厳しいところでしょうね…特にワントップである限りフォワードは厳しいと思います
ちなみにどのような対策が有効だと思いますか?
ホームグラウンドルール機能しているように見えないのですが…
トマトさん>
出場時間をキープしているラシュフォードもサイド起用が多いので、ストライカーは難しいですが、欧州への出場権を確保できれば出られる試合は増えますよね。私が楽しみにしているのはアブラハムとソランケ、パーマーです。
porさん>
あくまでもチェルシー目線ですが、短期的には個々の選手に合ったレンタル先をひたすら用意して、出先で控え選手になることがないようにすることと、監督がカップ戦等も含めて積極的に若手を起用するしかないでしょう。見本となるのは、ポチェッティーノ監督だと思います。
長期的な視点でいえば、「長期政権を前提として監督を招聘し、トップチームのコンセプトを安定させたうえで、そこに適した選手育成をしていく」ことが重要なのではないかと思います。監督がコロコロ変わり、サッカーが変わるとユースから上がってくる選手を一貫性をもって育成するのが難しくなります。アーセナルが下から上がってくる選手(16~18歳で獲得した選手も含む)が多いのは、ヴェンゲルさんのコンセプトが浸透し、継続的に見ているので監督自身が若手を把握していることが大きいのだと思います。ポチェッティーノ監督も今季から権限が拡大しており、クロップ監督も補強を仕切っているようなので、この2チームも「若手を育てて抜擢するポジションと、外から選手を入れて強化するポジションの仕分け」がよりうまく進んでいくのではないでしょうか。チェルシーは、モウリーニョさんの3年めが最大のチャンスだったはずですが、彼がメンデスさんに近いことがマドリードで非難され、アブラモヴィッチさんがそれを警戒して補強にタッチさせなかった節があるので、現実的には難しかったのかもしれません。今のオーナーになってから、唯一長期政権化する可能性があった監督が、不振でチームを去ることになったのは若手育成の面でもマイナスが大きかったのではないでしょうか。
ニューカッスルがプレミアリーグ…
早くそんな時が戻ってきて欲しいです
YVGさん>
すみません。手が滑りまして。訂正させていただきました。