ユーヴェとチェルシーが合意…「BBC」の記者が語る「サッリが1年でクラブを離れる理由」
評価されてしかるべきだったサッリは、なぜイタリアに帰らなくてはならなくなったのか。プレミアリーグは異空間にいた2強の次で着地し、ヨーロッパリーグ王者となった監督が1年でいなくなる異例の展開に、「BBC」のフィル・マクナルティ氏は鋭い目線を向けています。両者が関係を継続するための精力的な努力を払わなかった「愛のない結婚」という言いまわしは、彼らの別れ方を的確に表現しているように感じられます。ご本人は、帰国の理由を家族の問題と説明しておりましたが、記事が指摘しているのはサポーターの評価です。
プレミアリーグ24節のボーンマス戦で4-0、マンチェスター・シティには6-0で惨敗したサッリボールは、FAカップ5回戦のマンチェスター・ユナイテッドとのホームゲームで怒声と嘲笑の的となりました。「何をやっているかわからない」…スタンフォード・ブリッジに響き渡る容赦ないチャント。カラバオカップ決勝では、PK戦の直前に交代を告げられたケパが指揮官の決定を拒否するという事件が起こります。
「コンテはユーヴェとインテルで成功したトップクラスであり、彼の言葉は法律だった。サッリは元銀行マンで、その歴史には実績もトロフィーもなかった」。マクナルティ氏は、チェルシーのスカッドに指揮官の権威が浸透しなかった理由について、監督としての実績が影響していたと述べています。
サポーターが嫌ったのは、柔軟性のない選手起用でした。マテオ・コヴァチッチとロス・バークリーのスイッチという習慣化した交代策、ジョルジーニョが抑えられてもカンテをインサイドで使い続ける頑固さ、ハドソン=オドイとロフタス=チークが調子がよくても抜擢したがらないレギュラー至上主義。クリステンセンやエメルソンの出番の少なさについても、疑念を抱いたファンは少なくなかったのではないでしょうか。ジョルジーニョがパスを封じられ、攻め手を失う展開となったときに、スタンフォード・ブリッジの苛立ちは頂点に達しました。コンテの下でプレミアリーグMVPに輝いたカンテは、インサイドでワールドクラスと称される選手には見えませんでした。
クラブを愛するサポーターたちの声を一定尊重しつつも、アブラモヴィッチ政権で5人めのイタリア人監督は悪くなかったと思います。サッリボールはコンセプチュアルであり、ライバルが終盤戦で崩れていくなかで最後まで耐え抜きました。レギュラー固定で戦い、若手の抜擢が少なかったのはモウリーニョやコンテも同じです。選手起用は時間が経つにつれて柔軟になり、子飼いのジョルジーニョへのこだわりを除けば納得感のある戦い方でした。問題は、1月のビッグロンドンダービーからのクラッシュ連発だったのでしょう。目も当てられない惨敗はショッキングで、指揮官も選手も経営ボードもサポーターも、1度切れた糸をつなぐ術を見出せなかったのだと思われます。
アザールが去り、補強ができないクラブにフランク・ランパードは乗り込むのでしょうか。母国出身でクラブのレジェンドでもある若き指揮官なら、厳しい状況に陥っても赦されるのでしょうか。よくも悪くも計算できるサッリをこの状況で手離したのは、勝ち目が薄いギャンブルに映ります。新戦力を得られないときは、「チームとしての継続性」「トップクラブで実績がある監督」「若手育成の手腕」のいずれかは必須ではないかと思いますが…。サッリ退任が正式に発表され、後任人事が固まった後、チェルシーの未来についてはあらためて考察してみることにしましょう。
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まさに何をやりたいかわからない監督人事
コンテの時みたいによそよそしい公式メッセージになるのかな