退屈だったイングランド…サウスゲート監督は、フォーデンとアーノルドを起用し続けるのか?
かつてカテナチオという言葉がよく使われていた頃、退屈という形容詞はイタリアに関する表現でした。アリゴ・サッキがゾーンプレスという画期的な戦術を開発し、中央に選手を密集させてオフサイドトラップを駆使してからも、イタリアの攻撃を称賛する声は増えなかったと記憶しています。
サッキが代表チームに別れを告げたのは1996年。その後はチェーザレ・マルディーニ、ゾフ、トラパットーニと、クラシックな戦い方をベースにする監督が続きました。「カテナチオから脱却する」と宣言したマルチェロ・リッピが、2006年にワールドカップドイツ大会を制したときも、イタリアは7戦2失点の堅守で、バロンドールはCBのファビオ・カンナバーロでした。
あれから18年。今や「退屈なフットボール」「つまらない勝ち方」という言葉は、イングランドの看板になった感があります。「アスレティック」のリアム・ターム記者が、興味深い2つのデータを紹介しています。1980年以来のユーロで、両チームのトータルのシュートが少なかったワースト5のうち、3試合がイングランドのゲームです。
5位はユーロ2020のラウンド16、イングランドが2-0で勝ったドイツ戦の14本。グリーリッシュが絶賛されたあの試合です。2位は3試合が12本で並んでおり、すべて1-0。ユーロ2016のイタリアVSスウェーデンとウェールズVS北アイルランド、もうひとつはユーロ2020のチェコVSイングランドです。スターリングの頭に合わせたグリーリッシュのクロスは完璧でした。
そして1位は…そう、2024年6月16日のセルビアVSイングランド。敗者が6本、勝者が5本のトータル11本は過去44年で最低です。イングランドあるあるのひとつとして、「出オチ」があります。序盤から攻勢でゴールを決めた後、相手に対応されて空回りし始め、後半はグダグダという流れです。チェコ戦のスターリングの1発は12分、セルビア戦のベリンガムは13分でした。
いや、これはイングランドではなく、「サウスゲートあるある」というべきでしょう。「アスレティック」の記者は、現指揮官の下で戦ったワールドカップとユーロの開幕戦は4戦全勝」というデータも添えています。チュニジアに2-1、クロアチアに1-0、イランに6-2、セルビアに1-0。サウスゲート以前のスリーライオンズは、1986年からの30年で2勝7分5敗だったそうです。
緊張感漂う緒戦を慎重に戦い、勝ち続けていると称賛すべきか。戦術の引き出しが少ないため、対策されると個人力頼みになると咎めるべきか。セルビア戦は、最初の30分はポゼッション71%でシュート3本。その後の60分はアーノルドのミドルと、バーにヒットしたハリー・ケインのヘッダーしかなく、ポゼッションは44%に留まっています。
出場した選手たちを、ポジティブ・ネガティブ・微妙に分けてみましょう。対応を間違えなかった守護神と、シュートレンジで打たせなかった4バックは全員ポジでしょう。唯一のボックス内からのシュートは20分。アーノルドのトラップミスをジヴコヴィッチにカットされたシーンで、ミトロヴィッチに着いたジョン・ストーンズは左のコースを切っていました。
許したオンターゲットは、81分のヴラホヴィッチのミドルのみ。カイル・ウォーカーとトリッピアーの対応も的確で、相手に先に触られたクロスは2本だけでした。パス成功率96%で、ファイナルサードに5本通したグエイが信頼感を高めたのが最大の収穫でしょう。中盤を仕切ったデクラン・ライスと、豊富な運動量で攻守ともに貢献度が高かったベリンガムもポジティブです。
アシストは付かなかったものの、ベリンガムのゴールをお膳立てしたサカも及第点。デンマーク戦では、得意のカットインからのシュートを見せてもらえればと思います。途中出場でハリー・ケインにクロスを送ったボーウェンも、今後に期待。シュート3本とロングフィード5本のアーノルドは、自陣での複数のミスを非難されており、微妙と評するのが妥当でしょう。
このポジションの前任は、カルヴァン・フィリップスでした。守備の安定を求める指揮官がリスクを重視し、ウォートンやコナー・ギャラガーを起用してアーノルドはスーパーサブとなってしまう可能性もあります。次戦の最注目ポイントは、中盤センターと左ウイングのスターターです。ハリー・ケインとフォーデンは、ネガティブといわざるをえない出来でした。
前半は完全に消えていたストライカーの見せ場は、ボーウェンのクロスを叩いたヘディング1発のみ。ドリブル成功もシュートもゼロ、ボックス内でのタッチ1回のフォーデンは、批判をはね返す材料がありません。絶対的エースは簡単には外さないとしても、左サイドはエゼとアンソニー・ゴードンが試されるかもしれません。
昨季プレミアリーグのMVPは、右サイドやトップ下に配すれば真価を発揮してくれる可能性があります。しかし、初戦でゴールを生み出したサカとベリンガムは代えられないでしょう。ベリンガムが下がり始めてから、前の3人が孤立するシーンが増えたチームは、戦術のチューニングで改善するのか、あるいは強みが異なる選手を抜擢するのか。指揮官の打ち手に注目しましょう。
サッキが代表チームに別れを告げたのは1996年。その後はチェーザレ・マルディーニ、ゾフ、トラパットーニと、クラシックな戦い方をベースにする監督が続きました。「カテナチオから脱却する」と宣言したマルチェロ・リッピが、2006年にワールドカップドイツ大会を制したときも、イタリアは7戦2失点の堅守で、バロンドールはCBのファビオ・カンナバーロでした。
あれから18年。今や「退屈なフットボール」「つまらない勝ち方」という言葉は、イングランドの看板になった感があります。「アスレティック」のリアム・ターム記者が、興味深い2つのデータを紹介しています。1980年以来のユーロで、両チームのトータルのシュートが少なかったワースト5のうち、3試合がイングランドのゲームです。
5位はユーロ2020のラウンド16、イングランドが2-0で勝ったドイツ戦の14本。グリーリッシュが絶賛されたあの試合です。2位は3試合が12本で並んでおり、すべて1-0。ユーロ2016のイタリアVSスウェーデンとウェールズVS北アイルランド、もうひとつはユーロ2020のチェコVSイングランドです。スターリングの頭に合わせたグリーリッシュのクロスは完璧でした。
そして1位は…そう、2024年6月16日のセルビアVSイングランド。敗者が6本、勝者が5本のトータル11本は過去44年で最低です。イングランドあるあるのひとつとして、「出オチ」があります。序盤から攻勢でゴールを決めた後、相手に対応されて空回りし始め、後半はグダグダという流れです。チェコ戦のスターリングの1発は12分、セルビア戦のベリンガムは13分でした。
いや、これはイングランドではなく、「サウスゲートあるある」というべきでしょう。「アスレティック」の記者は、現指揮官の下で戦ったワールドカップとユーロの開幕戦は4戦全勝」というデータも添えています。チュニジアに2-1、クロアチアに1-0、イランに6-2、セルビアに1-0。サウスゲート以前のスリーライオンズは、1986年からの30年で2勝7分5敗だったそうです。
緊張感漂う緒戦を慎重に戦い、勝ち続けていると称賛すべきか。戦術の引き出しが少ないため、対策されると個人力頼みになると咎めるべきか。セルビア戦は、最初の30分はポゼッション71%でシュート3本。その後の60分はアーノルドのミドルと、バーにヒットしたハリー・ケインのヘッダーしかなく、ポゼッションは44%に留まっています。
出場した選手たちを、ポジティブ・ネガティブ・微妙に分けてみましょう。対応を間違えなかった守護神と、シュートレンジで打たせなかった4バックは全員ポジでしょう。唯一のボックス内からのシュートは20分。アーノルドのトラップミスをジヴコヴィッチにカットされたシーンで、ミトロヴィッチに着いたジョン・ストーンズは左のコースを切っていました。
許したオンターゲットは、81分のヴラホヴィッチのミドルのみ。カイル・ウォーカーとトリッピアーの対応も的確で、相手に先に触られたクロスは2本だけでした。パス成功率96%で、ファイナルサードに5本通したグエイが信頼感を高めたのが最大の収穫でしょう。中盤を仕切ったデクラン・ライスと、豊富な運動量で攻守ともに貢献度が高かったベリンガムもポジティブです。
アシストは付かなかったものの、ベリンガムのゴールをお膳立てしたサカも及第点。デンマーク戦では、得意のカットインからのシュートを見せてもらえればと思います。途中出場でハリー・ケインにクロスを送ったボーウェンも、今後に期待。シュート3本とロングフィード5本のアーノルドは、自陣での複数のミスを非難されており、微妙と評するのが妥当でしょう。
このポジションの前任は、カルヴァン・フィリップスでした。守備の安定を求める指揮官がリスクを重視し、ウォートンやコナー・ギャラガーを起用してアーノルドはスーパーサブとなってしまう可能性もあります。次戦の最注目ポイントは、中盤センターと左ウイングのスターターです。ハリー・ケインとフォーデンは、ネガティブといわざるをえない出来でした。
前半は完全に消えていたストライカーの見せ場は、ボーウェンのクロスを叩いたヘディング1発のみ。ドリブル成功もシュートもゼロ、ボックス内でのタッチ1回のフォーデンは、批判をはね返す材料がありません。絶対的エースは簡単には外さないとしても、左サイドはエゼとアンソニー・ゴードンが試されるかもしれません。
昨季プレミアリーグのMVPは、右サイドやトップ下に配すれば真価を発揮してくれる可能性があります。しかし、初戦でゴールを生み出したサカとベリンガムは代えられないでしょう。ベリンガムが下がり始めてから、前の3人が孤立するシーンが増えたチームは、戦術のチューニングで改善するのか、あるいは強みが異なる選手を抜擢するのか。指揮官の打ち手に注目しましょう。
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