デンマークに押されてドロー!評論家が語る「イングランド代表に足りないもの、変えるべきこと」
ユーロ2024のグループステージは、各国とも2戦めに突入しています。フランクフルト・アレーナでイングランドがデンマークに勝てば、グループステージ突破決定。1-0の辛勝だったセルビア戦の低調を非難されたガレス・サウスゲート監督は、初戦と同じメンバーをピッチに送り出しています。最注目は、初戦は機能しなかったフィル・フォーデンです。
GKピックフォード、DFカイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズ、グエイ、トリッピアー。2センターはデクラン・ライスとアレクサンダー=アーノルド、2列めにサカ、ベリンガム、フォーデン、トップはハリー・ケイン。立ち上がりからテンポよくパスをつなぐデンマークに対して、イングランドは前線にボールをつなげません。
8分にピッチに座り込んだのはカイル・ウォーカー。捻った足は大事には至らず、スパイクを履き替えて戻っています。デンマークのプレスを嫌がるイングランドの最終ラインは、SBと対峙するサカやフォーデンに預けるだけで、攻撃陣のスピードを一気に上げる縦のボールは出てきません。13分にカイル・ウォーカーのパスを受けたフォーデンのミドルは、左に逸れていきました。
シュマイケルのパスからのビルドアップを、デクラン・ライスがボックス手前でカットした16分のチャンスは、ハリー・ケインのシュートをヨアヒム・アンデルセンがブロック。18分にベリンガムが右に展開すると、カイル・ウォーカーがヴィクトル・クリスティアンセンを抜き去り、モックス右に躍り出ました。
折り返しがクリステンセンの足に当たり、ハリー・ケインの間にこぼれると、左足のイージーなフィニッシュがネットを揺らして0-1。ここまで冴えなかったチームは、幸先いい先制ゴールをきっかけに変われるでしょうか。23分に右から上がったエリクセンのシュートは、トリッピアーが足に当てています。31分にドリブルで仕掛けたサカは、あっさり止められてしまいました。
デンマークが追いついたのは34分。敵陣で奪ったヴィクトル・クリスティアンセンが中央のヒュルマンドに預けると、左のポスト際に吸い込まれるスーパーショットに、ピックフォードは触れませんでした。38分に右から打ったヒュルマンドのミドルは、ベリンガムがブロックしてCK。41分、中央から3人をかわしたフォーデンの左足ミドルは力が入らず、シュマイケルの正面です。
相変わらずサカとフォーデンは単独での打開を強いられており、ハリー・ケインは消えています。44分、縦のボールをボックス右で受けたホイルンドが後ろに落とすと、ホイビュルグのシュートはピックフォードがキャッチ。1-1の前半は、完全なるデンマークペースでした。この出来なら、戦術の確認ができるハーフタイムに交代カードを切る監督のほうが多いでしょう。
後半の立ち上がりは、イングランドペース。51分のデクラン・ライスのミドルは、ホイルンドの足をかすめてシュマイケルの守備範囲に飛んでいます。54分、アーノルドに代わってコナー・ギャラガー。ロングフィード成功6本、チャンスクリエイト3本を記録したセントラルMFは、中盤で優位を築けない原因とジャッジされたようです。
56分、サカのパスをボックス右手前で受けたのは、逆サイドから流れてきていたフォーデン。ニアポストに当てるきわどいミドルは、得意なサイドでやらせてくれとアピールしているような一撃でした。59分にハリー・ケインのパスがサカに入ると、メーレとクリステンセンをかわして放ったシュートは、左に逸れていきました。
67分のCKから、ダムスゴーアが放ったミドルはピックフォードがキャッチ。サウスゲート監督が69分にサカ、ハリー・ケイン、フォーデンを下げたのは、勝ちにいったわけではなく、3試合めで起用したかったからに見えました。前線に入ったのはエゼ、オリー・ワトキンス、ボーウェン。71分、ボックス右に素晴らしい縦のスルーパスを通したのは、ベリンガムです。
ラインの裏に抜けたオリー・ワトキンスは、シュマイケルと1対1。右足のフィニッシュは、GKの腿に当たってしまいました。イングランドのシュートはこれが最後。レポートのまとめは、「攻撃は低調。守備陣の奮闘で敗戦を回避」というような表現が妥当でしょう。73分と77分にホイビュルクが打ったきわどいミドルは、いずれもピックフォードが冷静に対応しました。
84分にグエイから奪ったバーは、ボックス右に入ってスローダウンし、ラストパスを出すのが遅れてグエイの戻りを許してしまいました。タイムアップの笛が鳴った瞬間、フランクフルト・アレーナは盛大なブーイング。トリッピアーはピッチに倒れ込み、敗退したチームのような雰囲気でした。
プレスの高さと奪うタイミングを共有できていたデンマークは、直線的なアタックも印象的で、勝てなかったのが悔やまれる一戦。イングランドは凡庸で、持てる力を発揮したといえるのは、ボックス内で戦い続けたグエイとプレー選択のミスがなかった守護神ぐらいです。サウスゲート監督の4-2-3-1は機能しておらず、見直しが必要でしょう。
デクラン・ライスをアンカーに配してインサイドにベリンガムとフォーデン、3トップにサカ、ハリー・ケイン、エゼを並べる4-3-3なら、サイドからの崩しのバリ―ションと中央の厚みという2つの課題を同時にクリアできるのではないでしょうか。コール・パルマーを活用という手もあるのですが、サカを外せず左に入れたら、今のフォーデンと同様の仕事しかできないでしょう。
「戦術的にはデンマークのほうが上。気が抜けた貧弱なチームだった。デンマークはよく訓練されており、素晴らしいプレスで終始イングランドを押し込んだ。われわれのベストプレーヤーはピッチのトップでプレーするはずなのに、守備を固めさせられた。数多くの優秀な選手がいるのに、座ったまま突破するのを待つのはもったいない」(リオ・ファーディナンド)
「彼(フォーデン)は左サイドで先発した。私たちはワイドな展開を期待したが、彼は10番を背負っているかのように中央に入り、重要なパスを出し始めた。こうなると、中盤を見直したほうがよさそうだ。ベリンガムは、ライスや10番のフォーデンとともにプレイする必要がある。そうすれば、チームに風穴を開けることができるだろう」(マイカ・リチャーズ)
「ユーロ2024の優勝候補のオーディションとしては、残念な失敗だった。イングランド代表の選手たちが、ピッチの表面の状態に不満を漏らす姿がしばしば見られた、 しかし、これほどひどい出来で、安っぽい言い訳はできない。またしても失点はイングランドを奮い立たせず、萎縮させてしまった」(フィル・マクナルティ/BBC)
ジャーナリストたちは、戦術、フォーメーション、マインドのすべてに問題があるといっています。サウスゲート監督が自らのスタイルを過信したら、多くのファンが想像し始めた残念な結果で終わってしまうのではないでしょうか。次戦はスロベニア。何かを変えなければ、7月を待たずに大会を去ることになりそうですが…。
GKピックフォード、DFカイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズ、グエイ、トリッピアー。2センターはデクラン・ライスとアレクサンダー=アーノルド、2列めにサカ、ベリンガム、フォーデン、トップはハリー・ケイン。立ち上がりからテンポよくパスをつなぐデンマークに対して、イングランドは前線にボールをつなげません。
8分にピッチに座り込んだのはカイル・ウォーカー。捻った足は大事には至らず、スパイクを履き替えて戻っています。デンマークのプレスを嫌がるイングランドの最終ラインは、SBと対峙するサカやフォーデンに預けるだけで、攻撃陣のスピードを一気に上げる縦のボールは出てきません。13分にカイル・ウォーカーのパスを受けたフォーデンのミドルは、左に逸れていきました。
シュマイケルのパスからのビルドアップを、デクラン・ライスがボックス手前でカットした16分のチャンスは、ハリー・ケインのシュートをヨアヒム・アンデルセンがブロック。18分にベリンガムが右に展開すると、カイル・ウォーカーがヴィクトル・クリスティアンセンを抜き去り、モックス右に躍り出ました。
折り返しがクリステンセンの足に当たり、ハリー・ケインの間にこぼれると、左足のイージーなフィニッシュがネットを揺らして0-1。ここまで冴えなかったチームは、幸先いい先制ゴールをきっかけに変われるでしょうか。23分に右から上がったエリクセンのシュートは、トリッピアーが足に当てています。31分にドリブルで仕掛けたサカは、あっさり止められてしまいました。
デンマークが追いついたのは34分。敵陣で奪ったヴィクトル・クリスティアンセンが中央のヒュルマンドに預けると、左のポスト際に吸い込まれるスーパーショットに、ピックフォードは触れませんでした。38分に右から打ったヒュルマンドのミドルは、ベリンガムがブロックしてCK。41分、中央から3人をかわしたフォーデンの左足ミドルは力が入らず、シュマイケルの正面です。
相変わらずサカとフォーデンは単独での打開を強いられており、ハリー・ケインは消えています。44分、縦のボールをボックス右で受けたホイルンドが後ろに落とすと、ホイビュルグのシュートはピックフォードがキャッチ。1-1の前半は、完全なるデンマークペースでした。この出来なら、戦術の確認ができるハーフタイムに交代カードを切る監督のほうが多いでしょう。
後半の立ち上がりは、イングランドペース。51分のデクラン・ライスのミドルは、ホイルンドの足をかすめてシュマイケルの守備範囲に飛んでいます。54分、アーノルドに代わってコナー・ギャラガー。ロングフィード成功6本、チャンスクリエイト3本を記録したセントラルMFは、中盤で優位を築けない原因とジャッジされたようです。
56分、サカのパスをボックス右手前で受けたのは、逆サイドから流れてきていたフォーデン。ニアポストに当てるきわどいミドルは、得意なサイドでやらせてくれとアピールしているような一撃でした。59分にハリー・ケインのパスがサカに入ると、メーレとクリステンセンをかわして放ったシュートは、左に逸れていきました。
67分のCKから、ダムスゴーアが放ったミドルはピックフォードがキャッチ。サウスゲート監督が69分にサカ、ハリー・ケイン、フォーデンを下げたのは、勝ちにいったわけではなく、3試合めで起用したかったからに見えました。前線に入ったのはエゼ、オリー・ワトキンス、ボーウェン。71分、ボックス右に素晴らしい縦のスルーパスを通したのは、ベリンガムです。
ラインの裏に抜けたオリー・ワトキンスは、シュマイケルと1対1。右足のフィニッシュは、GKの腿に当たってしまいました。イングランドのシュートはこれが最後。レポートのまとめは、「攻撃は低調。守備陣の奮闘で敗戦を回避」というような表現が妥当でしょう。73分と77分にホイビュルクが打ったきわどいミドルは、いずれもピックフォードが冷静に対応しました。
84分にグエイから奪ったバーは、ボックス右に入ってスローダウンし、ラストパスを出すのが遅れてグエイの戻りを許してしまいました。タイムアップの笛が鳴った瞬間、フランクフルト・アレーナは盛大なブーイング。トリッピアーはピッチに倒れ込み、敗退したチームのような雰囲気でした。
プレスの高さと奪うタイミングを共有できていたデンマークは、直線的なアタックも印象的で、勝てなかったのが悔やまれる一戦。イングランドは凡庸で、持てる力を発揮したといえるのは、ボックス内で戦い続けたグエイとプレー選択のミスがなかった守護神ぐらいです。サウスゲート監督の4-2-3-1は機能しておらず、見直しが必要でしょう。
デクラン・ライスをアンカーに配してインサイドにベリンガムとフォーデン、3トップにサカ、ハリー・ケイン、エゼを並べる4-3-3なら、サイドからの崩しのバリ―ションと中央の厚みという2つの課題を同時にクリアできるのではないでしょうか。コール・パルマーを活用という手もあるのですが、サカを外せず左に入れたら、今のフォーデンと同様の仕事しかできないでしょう。
「戦術的にはデンマークのほうが上。気が抜けた貧弱なチームだった。デンマークはよく訓練されており、素晴らしいプレスで終始イングランドを押し込んだ。われわれのベストプレーヤーはピッチのトップでプレーするはずなのに、守備を固めさせられた。数多くの優秀な選手がいるのに、座ったまま突破するのを待つのはもったいない」(リオ・ファーディナンド)
「彼(フォーデン)は左サイドで先発した。私たちはワイドな展開を期待したが、彼は10番を背負っているかのように中央に入り、重要なパスを出し始めた。こうなると、中盤を見直したほうがよさそうだ。ベリンガムは、ライスや10番のフォーデンとともにプレイする必要がある。そうすれば、チームに風穴を開けることができるだろう」(マイカ・リチャーズ)
「ユーロ2024の優勝候補のオーディションとしては、残念な失敗だった。イングランド代表の選手たちが、ピッチの表面の状態に不満を漏らす姿がしばしば見られた、 しかし、これほどひどい出来で、安っぽい言い訳はできない。またしても失点はイングランドを奮い立たせず、萎縮させてしまった」(フィル・マクナルティ/BBC)
ジャーナリストたちは、戦術、フォーメーション、マインドのすべてに問題があるといっています。サウスゲート監督が自らのスタイルを過信したら、多くのファンが想像し始めた残念な結果で終わってしまうのではないでしょうか。次戦はスロベニア。何かを変えなければ、7月を待たずに大会を去ることになりそうですが…。
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