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2016.06.11 ユーロ2016

【ユーロ2016】スーパーパイェ!苦境の優勝候補を救った左足の完璧ミドル!

1982年のアルゼンチンVSベルギー、90年のアルゼンチンVSカメルーン。前回ワールドカップ優勝国の中心選手として大会に顔を見せたディエゴ・マラドーナは、大事な開幕戦で2回も0-1で足をすくわれています。ユーロで思い出す開幕戦のサプライズといえば、1996年にウェンブリーでスイスに引き分けてしまったイングランドと、2004年、後に優勝するとは誰も思わなかったギリシャが、これも開催国だったポルトガルに勝ってしまったゲームでしょうか。さて、ユーロ2016の初戦は、スタッド・ドゥ・フランスで行われるフランスVSルーマニアです。今回の開催国には、日韓ワールドカップの開幕戦に優勝候補として登場しながら、セネガルに敗れた史上最大の番狂わせの歴史があります。スイス、アルバニア、ルーマニアという楽なグループに入ったホームチームは、無事に初戦を通過できるでしょうか。

スタメンには、プレミアリーグ勢が6人。ロリス、コシールニー、ジルー、サニャといった常連に加えて、レスターでプレミアリーグ優勝の立役者となったエンゴロ・カンテと、ウェストハムの躍進を牽引したディミトリ・パイェもいます。前線にはグリーズマン、中盤にはポグバとマチュイディを配した開催国は、顔ぶれではルーマニアに負けるとは思えません。しかし、堅守のアウェイチームは健闘しました。前半、グリーズマンとジルーが惜しいシュートを連発するのを見ていたときは、時計の針が90分に届く寸前までイーブンのスコアのまま進むとは想像できませんでした。

この試合のMVPを複数選んでいいのなら、トッテナムのGKウーゴ・ロリスも入れるべきでしょう。4分、左からのCK。スタンチュがニアに入れた嫌らしいキックがジルーの頭に触れてファーに流れると、フリーで飛び込んだスタンクの至近距離からのボレーは決まると思われましたが、素晴らしい瞬発力を見せたロリスがライン上でセーブします。アグレッシブなルーマニア、どことなく堅いフランス。優勝候補が、それらしいサッカーを披露し始めるまでに10分が必要でした。今回のフランスは、ポグバとパイェが創るチームです。10分には左から上がったパイェのクロスをジルーが頭で合わせるも、わずかに左。14分、ポグバが右サイドのサニャを走らせたスルーパスは完璧でした。速いクロスにグリーズマンは合わせられなかったものの、DFに当たったボールが右に浮くとすかさずヘディング。これも決定的でしたが、ボールはポストを叩いて先制はなりません。

CBのコシールニーとラミが、一発で前の選手にチャンスボールを出せるのもフランスの強みでしょう。25分、ラミが最終ラインの裏を狙ったパスは、ジルーの手前で足を伸ばしたグリゴレがナイスディフェンスでした。ポグバの強烈なミドルは左のポストすれすれ。36分、右から上がったパイェの素晴らしいグラウンダーをグリーズマンがダイレクトで狙うと、エナールに当たったボールは右に外れてしまいます。昨季プレミアリーグ最高の新戦力パイェが持つと、必ず危険なボールが中に入ってきます。前半終了間際には、パイェの完璧なCKに反応したフリーのジルーのヘッドは、バーの上に消えてしまいました。前線の2人が決められなかったものの、フランスのフィニッシュまでのアプローチは悪くありません。

0-0で折り返した後半、最初のチャンスはルーマニアでした。開始わずか3分、スタンチュのクロスで最終ラインの裏に入ったスタンクのボレーは、ロリスが諦めた弾道でしたが、右のサイドネットにはおさまらずアウト。フランスの反撃は52分。縦パスをもらったジルーがGKの正面に打ってしまったものの、パイェとの連携は悪くありません。56分、パイェが浮かせたボールをマチュイディが鮮やかなボレーでGKタタヌシャヌを脅かすと、直後に決めたのはパイェ&ジルーのコンビでした。CKのクリアをマチュイディが拾って右サイドに展開すると、切り返しから左足で上げたパイェのクロスは、10ヵ月前のプレミアリーグ開幕戦でアーセナルを屠った魔法のFKを思い出させるGK泣かせのボール。あのときは敗者となったガナーズのエースは、飛び出しながら触れなかったタタヌシャヌの前でバックヘッドで角度を変え、ゴール左隅を陥れます。開催国の先制で、ゲームは決まったかに思われたのですが、65分にルーマニアが同点に追いつきます。

ペナルティエリア内に侵入したやっかいなスタンチュが、ボールを頭で押し出して突破を図ると、エヴラの足がかかったとジャッジされPK。スタンクのキックにロリスは逆をとられ、リードは10分も持ちませんでした。グリーズマンをバイエルンのコマンに代えたデシャン監督は、77分にポグバに代えてアントニー・マルシアル。マンチェスター・ユナイテッドのエースが81分に放ったミドルは、勢いがなくGKにキャッチされます。89分、ドロー濃厚の状況から優勝候補を救ったのは、絶好調ディミトリ・パイェでした。サニャが仕掛けきれずコマンに戻したボールがカンテに渡り、短い縦パスを受けた8番のチョイスは、もらう前から打つと決めていたかのような淀みないワントラップの左足ミドル!GKが手を出すことすらできなかった強烈なシュートが左隅に突き刺さると、感極まったフランスの選手たちが次々とウェストハムの司令塔に折り重なります。

2-1、フランスは辛勝ではありましたが、チャンスを数多く創った中盤の組み立ては悪くなかったと思います。スタンチュを中心にシンプルな攻撃を仕掛けるルーマニアはよく戦ったのですが、何しろパイェが凄すぎました。彼のラストパスは、その大半がフリーの選手のフィニッシュで終わる完璧なボール。プレミアリーグを震撼させたハマーズのMFは、欧州でも最高レベルなのだとあらためて思い知らされました。大きな大きな勝ち点3。ラッキーボーイと飛び道具がものをいう短期決戦で、フランスが自らの武器を確信した一戦でした。

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“【ユーロ2016】スーパーパイェ!苦境の優勝候補を救った左足の完璧ミドル!” への4件のフィードバック

  1. ジダネス より:

    パイェ凄かったですね。
    ベンチに退く際、感極まって涙を見せていたことも含めて、彼の良さが最大限に発揮された試合だったように思います。
    この選手のいるクラブもトップ4の座を狙っているのだと思うと八月からが恐いですが、、、

    あと、カンテも印象的でした。
    ルーマニアが予想以上に良い戦いぶりだったこともあって彼の存在が目立ちました。
    危ないところには必ず顔を出してボールを奪う彼の貢献がなければ、ルーマニアのチャンスの数は倍くらいになっていたかもしれません。

    私はクロアチアを応援しているのですが、パイェが感動的だったので浮気しそうです。笑

    —–
    2-1ではありましたが、フランス上手かったですね。個の力がやばい!
    ただエブラだけは調子が悪かったのか衰えたのか、ちょっとらしくない感じでしたね

  2. mufc7 より:

    ポグバじゃなくて、パイェ獲りにいきましょう(笑)

  3. abc より:

    カンテとパイェは素晴らしかったですね。
    ポグバは気負い過ぎかな、少々ボールロストが目立ちました。

    いよいよ始まったユーロのおかげで、寝不足の楽しい一ヵ月のはじまりです。

  4. makoto より:

    いつも通りのパイエでした。
    だいたいの試合でこのパフォーマンスを見せるので、気になる方はぜひウェストハムの試合を見てください。
    ハマーズの一員としてパイエの活躍は嬉しい限りです。

    カンテはレスター傭兵軍団だけげなくスター軍団の中で活躍するとは、本物ですね。

    —–
    あすえことさん>
    いや、凄い選手だとは思ってましたが、ユーロでこのクオリティとは…脱帽です。浮気、いいんじゃないですか?あんな素敵な選手なら(笑)

    ジダネスさん>
    そうですね。われわれが知っているエブラとのギャップが大きかったですね。

    mufc7さん>
    私も、TV見ながらそうつぶやきました(笑)

    abcさん>
    ポグバは光るプレイもあったので、次戦以降は本領発揮ではないでしょうか。

    おハムさん>
    私もハマーズサポーターの方の次ぐらいにはプレミアリーグの試合観ていると思うのですが、昨日はスペシャルだったのでは?パスの精度がハンパなかったです。カンテ、本物ですね。

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