【ユーロ2016】泥くさいゴール、堅守、カウンター…老獪なイタリアがスペインの3連覇を阻む完勝!
デ・ロッシが中央から球を散らし、フロレンツィとジャッケリーニが脇に出て危険なラストパスをフィード。エデルは中央でめまぐるしくポジションを変え、6分には思い切りのいいミドルを放ちます。8分、デ・ロッシのFKにグラツィアーノ・ペッレが頭で合わせると、右隅に沈むボールにデ・ヘアがビッグセーブ!プレミアリーグで何度もクラブを救ってきた守護神は、今大会は不安定だったものの、早くも持ち味を発揮しました。11分に右からのクロスをペッレが折り返し、ジャッケリーニがオーバーヘッドを打ったシーンも、ファールのジャッジながらもデ・ヘアが弾いています。ボールポゼッションをとるイタリアに対して、スペインがようやく反撃に出たのは19分。ダヴィド・シルヴァからモラタとつながった左サイドのボールが中央のセスクに渡るも、渾身のミドルはDFにブロックされます。
イニシアティブを握るのは、やはりイタリアです。25分、イタリアの速攻は、左のデ・シリオが入れたクロスをパローロがヘッドで叩くも、ポストの右。29分のデ・シリオのグラウンダーは、わずかにエデルに合いません。すると34分、ついにイタリアが先制です。エデルのFKは壁の脇を抜ける低い弾道。デ・ヘアは捕るか大きく弾くか、はっきりしなければいけませんでした。前にファンブルしたボールをジャッケリーニにつつかれ、こぼれ球をキエリーニが冷静にプッシュ。サイドを崩すシーンがまったくなく、攻めあぐむスペインにとっては苦しい展開となりました。
エデルが右サイドを疾走し、フロレンツィは休むことなく再三クロスをフィード。右サイドを執拗に突くイタリアの速攻は脅威です。前半終了間際には、ペッレのパスを左サイドで受けたジャッケリーニが中に斬り込んでシュート。素晴らしい一撃でしたが、これはデ・ヘアが素晴らしいセーブを見せ、追加点を許しません。前半は1-0のまま終了。デルボスケ監督は、ノリートをビルバオのアルツ・アドゥリスに代え、高さで劣勢を打開しようとしています。
後半開始直後、スペインは3つのセットプレーのチャンスがありましたが、いずれもイタリアの堅い守りにはね返されます。52分にセスクが打ったミドルは大きく枠の上。押され始めたコンテ監督は、54分にデ・ロッシをモッタにチェンジし、中盤の活性化を図ります。するとその直後、パローロの縦パスを最前線でペッレが落とすと、最終ラインの裏に抜け出したエデルがデ・ヘアと1対1。決まるかと思われた右足の一撃は守護神が腹に当てて防ぎ、スペインは命拾いします。
61分、イタリアがゴール前で3対2の形となり、左に出たエデルが速いボールを折り返したシーンは、デ・ヘアがまたもファンブルし、最終ラインのカバーに助けられます。モラタがサイドに張ったスペインに連動性のある崩しはなく、プレミアリーグでは自在に前線をしきるダヴィド・シルヴァに、彼らしいパスワークが見られません。70分、左からのグラウンダーをイニエスタが巧みにスルーし、アドゥリスが左足でボレーを放つと、ボールはポストすれすれを走っていきます。デルボスケ監督はいよいよモラタを諦め、ルカス・バスケス投入。残り時間が20分を過ぎると、スペインが相手の最終ラインにかけるプレスが強度を増し、イタリアは自陣でのボールロストが目立ちます。
76分、ルカス・バスケスの右からの戻しを迷わず打ったイニエスタの強烈なボレーは、ブッフォンがセーブ。ピケの素晴らしい左足ミドルもイタリア代表の守護神が飛んで弾きます。81分のペドロ・ロドリゲス投入は、攻撃的意図ではなく後半からピッチに入ったアドゥリスの負傷によるものでした。コンテ監督は、疲れが見え始めたエデルをインシーニェ。直後のフロレンツィをダルミアンは、サイドの守備の補修でしょう。プレミアリーグで不本意なシーズンを過ごしたペドロとダルミアンは、10分という限られたチャンスでそれぞれのミッションを完遂できるでしょうか。インシーニェがドリブルで持ち込み、遠めから放ったシュートはデ・ヘアが正面でセーブ。89分、スペインに最大の決定機が訪れます。デ・ヘアが前線に大きく蹴ると、クリアミスしたボールがゴール前に詰めていたピケの前に流れ、背番号3はつま先で左隅にプッシュ。同点かと思われたピンチを右手で掻き出したのは、完璧なブッフォンでした。
92分、ついに勝負が決します。イタリアのカウンター。インシーニェが右のダルミアンに出した素晴らしいサイドチェンジで半分は決まりでした。右から持ち込んだダルミアンのラストパスは相手の足に当たり、ゴール前にフリーで飛び出したグラツィアーノ・ペッレにとって打ち頃の高さに浮き上がります。エースのボレーが容赦なくネットを突き刺し、2-0。歓喜のコンテ監督は、ベンチの屋根をよじ登ってサポーターと喜びを分かち合っています。1点を守って、最後はペッレがカウンターでとどめを刺すというベルギー戦をトレースしたかのような完勝劇。チームとしての完成度で上回ったイタリアがスペインの3連覇の夢を潰し、ドイツとベスト8を戦うことになりました。
ミスしたGKと防ぎ切ったGK、消えたモラタと決めたペッレなど、勝敗を分けたポイントはいくつかありましたが、最初の感想は、「この監督がプレミアリーグに来るのは脅威」です。機能的な守備と流れるような速攻の切れ味に、コンテ戦術の質の高さをあらためて感じました。スペインには連動性のある攻撃がなく、サイドで勝てず、裏も取れず。アドゥリスの高さとミドルしか頼る者がなければ、この結果を受け入れるしかありません。ドイツとイタリア…このカードもまた、ベスト8は少し早い気がしてしまいます。私はイタリア推しですが、どちらが勝つにしても今日以上の激戦となりそうです。
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シャビがイタリアは今のバルセロナとアトレティコを混ぜ合わせたチームと言ってた分析力は当たってましたね。
前半はバルセロナのように最後はアトレティコのように。
スペインとイングランド、W杯でグループリーグ敗退しながらも監督を変えなかったチームが敗れたのを見ると、監督交代の難しさを感じますね。両監督に共通したのは短期決戦にもかかわらず、不調の主力に固執したことですかね。
片や、コンテ恐るべしですね。チェルシーは課題山積で、簡単にはCL圏に戻れないのではと思っていましたが、彼の手腕次第では優勝争いもあるかなと恐れています。何度となく言われていることですが、ペップ、モウ、コンテ、クロップ、ポチェティーノら戦術家の饗宴は楽しみです。そして、頑張れベンゲル監督!
戦術が完全にハマってましたね。
後半20分頃まで見てましたが、時間のかけ方もうまく、スペインからは焦りが伝わりました。
コンテ監督をはやくプレミアで見たいです。
イタリアの選手は非常にモチベーションが高く、スペインとは国歌斉唱の時点から迫力が違いましたね。
最高のGK2人による今大会1の最高のゲームでした。
おそらくイニエスタ最後のユーロですよね。スペインはかつての「勝てない強豪」に逆戻りしてしまったなという印象です。
イタリアの守備は芸術的ですね。やはりイタリアは選手が地味でも守備さえしっかりしていれば強い!
鬼さん>
おもしろい表現ですね。まさしく。
新参さん>
デシャン監督やコンテ監督の臨機応変さをみると、スペインとイングランドの融通のなさを感じますね。コンテ、恐るべしです。
トトさん>
観たいですね。守り方が美しかったです。
yutoさん>
負けたスペインも、さすがはディフェンディングチャンピオンというシーンはありましたよね。おもしろい試合でした。
queenさん>
確かにそうですね。イタリアの前線の地味さは史上最高ではないでしょうか。