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2016.06.28 ユーロ2016

【ユーロ2016】度重なる采配ミスに攻撃陣は大混乱…負けるべくして負けたイングランド!

ユーロ2016は、早いものでラウンド16最後の一戦です。イングランドのGKは不動のジョー・ハート、SBにはカイル・ウォーカーとダニー・ローズのトッテナムコンビが戻ってきました。CBは動かしようがないスモーリングとケーヒル、中盤のルーニー、デル・アリ、エリック・ダイアーと前線のスタリッジまではわかるのですが、なぜスターリング、なぜハリー・ケイン!?マンチェスター・シティのアタッカーとプレミアリーグ得点王に、何としても復活してほしいということなのでしょうか。アイスランドなら、不調の選手の復活を促しながらでも勝てると踏んだのかもしれませんが、ジェイミー・ヴァーディ、ヘンダーソン、ララナを全員外す采配には疑問が残ります。相手のエースは、プレミアリーグでおなじみのスウォンジーMFギルフィ・シグルズソン。プレースキックの名手に、ゴールに近い位置でボールをセットさせてはいけません。

開始2分、右サイドからワンツーで中に入ったスタリッジが左足のシュート。その2分後、イングランドがあっさり先制します。右のスタリッジから中に走り込んだスターリングに絶妙のクロス。流れたボールを追いかけたスターリングをGKハルドーソンが倒してしまい、ジャッジはPKです。主将のルーニーは冷静でした。左隅に蹴り込んだボールはGKの読み通りでしたが、ポスト脇に決まれば文句なし。1-0でイングランドに勢いがつくと思いきや、6分にアイスランドもまた、あっさり追いつきます。彼らの武器のひとつは、グンナルソンのロングスロー。評論家のポール・マーソン氏が要注意と警告していたボールがゴール前に入ると、アルナソンが頭で逸らしたボールに飛び込んだのはラクダル・シグルズソン!1-1となると、イングランドが再度ゲームを支配。ルーニーが何度もCKを蹴りに走り、15分にはデル・アリの強烈なミドルがクロスバーすれすれを襲います。

しかし18分、勝ち越しゴールはアイスランドでした。シグルズソンが縦に入れたパスをボドバルソンが落とすと、シグソールソンのドリブルにスモーリングもケーヒルも足元に入れず。右隅へのシュートは、ウェールズ戦に続いてジョー・ハートが弾き切れず、ゆっくりゴールに転がっていきます。包囲網を敷きながら崩せない強者と、シンプルで効果的な攻撃を仕掛ける弱者。プレミアリーグでもよく見る光景が、今まさに繰り広げられています。ジョー・ハートは今日も不安定で、ラクダル・シグルズソンとの競り合いではパンチを空振りし、スタンドの悲鳴を誘います。

28分のイングランドは、いい展開でした。右サイドのハリー・ケインから中のデル・アリ。スパーズのMFが右にいたスタリッジを走らせると、ファーに出たクロスをボレーで合わせたのはハリー・ケイン。GKハルドーソンに上に弾かれ決まらなかったものの、ボールが速く動く攻撃を続けられれば、同点ゴールはそう遠くないはずです。35分のルーニーのミドルは、左隅を狙った意志のあるシュートでしたがうまく落とせず。44分にカイル・ウォーカーのクロスを叩いたルーニーのボレーはミートしませんでした。アイスランドのプレスが的確で、イングランドは縦へのボールを出せなくなっています。前半は1-2。自国リーグの登録選手が100人の小国がプレミアリーグの国を倒せば、まさにジャイアントキリング。その瞬間まで、残すところあと45分です。

後半のピッチには…なぜウィルシャー!?エリック・ダイアーを下げるということは、ルーニーと並べて4-2-3-1にスイッチするのでしょうか。私は、いじるならララナを入れて4-4-2にしたほうがいいのではないかと思いました。後半のイングランドは、単発のロングボールを前線に飛ばすだけで、これといったチャンスが創れません。55分、アイスランドの初めてのCKは、ラクダル・シグルズソンのオーバーヘッドがハートの正面で助かりました。ホジソン監督は、頻繁にスペースを創る動きを繰り返すスタリッジを右サイドに閉じ込めたまま、時間を浪費するつもりでしょうか。59分、スターリングが下がってジェイミー・ヴァーディ。スタリッジのクロスに中央で合わせたデル・アリのボレーは浮いてしまい、依然として1-2です。イングランドに残された時間は30分を切りました。

プレミアリーグ得点王はFKを大きく外し、ミドルを打ち損なったウィルシャーは浮かない顔をしています。ルーニーはミスパスが多く、スモーリングの表情には焦りの色。いつも通りにプレイしているのは、カイル・ウォーカーのみ。可能性が感じられるのはジェイミー・ヴァーディです。70分に縦に抜け出しかけたヴァーディは、迫力がありましたが一歩及ばず。プレイに正確さを欠くルーニーは、ヘンダーソンかララナに代えたほうがよさそうです。72分には、それまで守備に専念していた右SBサイヴァルソンにシュートを打たれました。スタリッジは右サイドのまま、ゲームから消えかかっています。

78分、ウィルシャーの浮き球をヘッドで合わせたハリー・ケインは角度がなく、中に落としたほうが可能性は高かったでしょう。残り時間は10分、代表選手としての誇りをプレイで表現しているのは、ひたすら走り回るジェイミー・ヴァーディだけです。83分、決定機はアイスランドのグンナルソン。カウンターから中央を突破し、ウィルシャーをかわして放ったシュートはジョー・ハートが何とかセーブしました。

残り3分、ようやくルーニーが下がってラシュフォード。この交代はあまりにも遅かった…。ストライカーを4人にしてパワープレーを目論んだのに、シュートを打てない位置からのFKをハリー・ケインが蹴っている理由がわかりません。89分、ラシュフォードの突破は久しぶりのチャンスでしたが、1本持ち過ぎ、中に入れられず。それでも18歳のストライカーは、最後まで戦い続けました。CKを奪い、自ら蹴り…しかし誰もシュートは打てません。93分、スタリッジのクロスにヴァーディが競り、最後のCKでフリーだったデル・アリがヘディングをミスすると、タイムアップの笛。今大会最大のジャイアントキリングは、ハーフタイムには充分予想できた妥当な結末でした。

これほど采配ミスを重ねて負けたチームを観ることは、ほとんどありません。いいときのキックの感触を明らかに忘れていたハリー・ケインは、前半で代えてあげたほうがよかったでしょう。ここまで攻撃の中心にいたララナと、スロバキア戦でよかったヘンダーソンを使わなかったのはなぜでしょうか。スタメンに不調選手を2人も入れたために交代カードをその補修に取られ、中盤を活性化する手が打てないまま、無為な時間を過ごすことになってしまいました。ヴァーディを入れたのに戦術は放り込み、さらにラシュフォードという今までやったことがない戦い方では、最終盤に前線が混乱をきたしてシュートにいけないのも無理はありません。ロングクロスでいくと腹をくくるなら、ルーニーに代えるのはラシュフォードではなく、後方からボールが出せてミドルもあるヘンダーソンとし、最終ラインを3枚にしてでもケーヒルかスモーリングを前線に置きっぱなしにしたほうがよかったと思います。残り15分までに、適切な最後のカードを切っていれば、アイスランドを脅かすこともできずに負けることはなかったのではないでしょうか。

GK、CB、キャプテン、トップにはいろいろいいたくなってしまう一戦でしたが、何しろあのカオスです。個々の選手の足りなかったところを指摘するのはやめておきましょう。最後に、私が望んでいた本日のメンバーを発表させていただきます。GKジョー・ハート、DFナサニエル・クライン、ダニー・ローズ、スモーリング、ケーヒル。MFエリック・ダイアー、アダム・ララナ、ウェイン・ルーニー、デル・アリ。FWジェイミー・ヴァーディ、ダニエル・スタリッジ。交代カードは展開によりますが、基本はヘンダーソン、ミルナー、ラシュフォードあるいはカイル・ウォーカー。2点差以上リードしたときは、ロス・バークリー、そしてハリー・ケイン。

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“【ユーロ2016】度重なる采配ミスに攻撃陣は大混乱…負けるべくして負けたイングランド!” への16件のフィードバック

  1. ガナユ より:

    才能のある選手が監督の不明瞭な選手起用や采配でポテンシャルを発揮出来ずに敗れ去るたびに歯がゆくなります
    メンバーだけ見れば他の優勝候補と見劣りしない分余計に感じますね。

  2. 凹んで より:

    試合内容からして、この結果は妥当でした。ジャッケリーニらイタリア人の走り回る姿を見たあとでは、イングランド攻撃陣のタラタラした走りが不甲斐なく思えました。

  3. おハム より:

    ひどすぎて笑っちゃいましたよ。
    どういう根回しでこんな采配になるんですかね。。。笑

  4. 凹んで より:

    試合内容からして、この結果は妥当でした。ジャッケリーニらイタリア人の走り回る姿を見たあとでは、イングランド攻撃陣のタラタラした走りが不甲斐なく思えました。

  5. グローリーグローリー より:

    おおよそ下馬評通りに進んでるユーロの中で格下に弾き出されてしまうイングランド代表。昨季のCLで組み合わせに恵まれながらもイングランド勢で唯一のGL敗退という大失態を犯したユナイテッドと重なって見えてしまいました。私はユナイテッドサポーターなのでルーニーが全盛期で迎える代表での最後の挑戦が終わってしまったんだなと残念に思ってしまいます

  6. シェバ より:

    イタリアとの差は監督の差が一番だと思います。
    結局はいつも通りの位置で終わったという感じですね。
    メンバーが良くても監督がこれじゃ勝てませんよ

  7. yuto より:

    素人目にもおかしいとわかる試合でしたね。
    いい選手は着実に出てきていますから次の監督には面白いサッカーをワールドカップで見せてほしいです。

  8. 新米グーナー より:

    GL微妙だったスターリング、ケインとアリに固執して、スロバキア戦で右サイドで躍動していたリヴァプール組を先発にしなかったのは謎采配でしたね。ちなみにララーナは怪我だったそうです。
    酷使されていたダイアーとルーニーは疲れてましたね。予選リーグからバークリー、ミルナー、ヘンダーソンをもっと有効に使ってればこんな事態にはならなかったと思います。
    試合前から先発、チームマネージメントの面で敗北していたのかもしれません。
    試合中の采配も前の試合で役に立ってなかったウィルシャーを投入し、疲れが見えていたルーニーを早く交代しなかったのも相手を助けましたね。こんなに酷い監督がEUROで一番給料をもらっているなんて笑えない冗談です。
    W杯であれだけの醜態を晒しながら監督を交代できなかったイングランドとスペインには最初から未来はなかったのかもしれません。特に選手の世代交代が進んでいたのにホジソンに固執したFAの罪は大きいですね。まずはイングランド人監督に拘るのをやめるべきですね。

    —–
    まさにララーナでバランスを取っていたチームだったとは!
    驚きです。

    —–
    2日前のフランス戦と同じような状況だったので後半からどう立て直すか見ていたのですが見事失敗しましたね…

    ウチのウィルシャーは違いを作ることが出来ませんでした。無難なプレーに終始してしまい、無駄に交代枠を使ってしまったかんじです。

    それにしても、ホジソンの采配(スターティングを余り変えない、交代の意図が見えづらい、ウィルシャーつかう)を見てると、ウチのボスの様でなんだかなーってなりました

    スパーズ勢の若手やバークリー、ストーンズさらにはラッシュフォードとまだまだ伸びしろのあるメンバーなので監督次第で十分飛躍していけるでしょう。フリーのペジェグリーニやマルティネスとかいいのではと思います。

    最後にウィルシャーが怪我なくシーズンイン出来ることを祈りつつ、ジルー、コシェ、エジルのEuroでの活躍を見ていきたいと思います

    P.S. サンチェス、コパ優勝&MVPおめでとう!!

  9. プレミアリーグ大好き! より:

    GKに泣くイングランドらしい結果
    他も酷かったけどね

  10. ひろと より:

    イタリアスペインを見ていて「逆立ちしてもこのチームには勝てそうもないな」と思っていたら、それ以前の問題でした。。
    愛するアーセナルが負けるのはゴメンですが、来季からグアルディオラとコンテがきますね。
    それによってイングランド全体にいい流れがくるといいのですが。
    あとはエジルが主要大会連覇で帰ってきてくれるか、ジルーがお祭り男ぶりを発揮してくれるのを楽しみに過ごします。

  11. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    これほど選手がかわいそうだと思った代表チームはありません。
    私は今回のユーロではイングランドにとても期待していました。
    今季あれほどいいサッカーをしたスパーズとレッズの選手を軸に、魅力ある選手が揃ったチームだと思いました。
    しかし本当にロイ・ホジソンのマネージメントに失望しました。
    このチームであれば、あんなに横パスをつなぐサッカーでなく、もっと縦に速い走るサッカーができたはずです。
    そのような特徴の選手が揃っていたはずです。
    選手のコンディションの波に合わせて、選手の特徴を活かしたチーム作りをするはずの監督が全く真逆のことをして、それをこのイングランドのメンバーでしたことに強い罵りを感じました。
    最後にレッズファンとして、スタリッジの起用法には失望を通り越して怒りを覚えます。
    そして怪我をしたララーナ、最後まで的確に使ってもらえなかったヘンド、ミルナー、クラインがかわいそうでした。
    選手はもっとできたはず、レッズメンバーに限らず今回のユーロでのイングランド代表にはそう思えて残念でなりません。

  12. YVG より:

    更新お疲れ様です。
    昨夜の惨劇から一夜明け、少し落ち着きはしましたがいまだにやり場のない怒り(むしろ失望の方が大きいですが)が収まることはありません。前を向きたいのですが、なにしろあの内容です。私が一番恐れているのは、「イングランド代表監督」という名誉あるポストがただの罰ゲームになってしまうのではないかと言うことです。まずはルーニー・ケーヒルなど今回が最後であった選手(決してよくやったとは言えませんが)お疲れ様と言い、監督選考など基本的なところを一から見直してほしいですね。
    管理人様にはぜひ、今後のイングランド代表に関しての考えを本大会が終わったあとにでも投稿していただきたいです。

  13. どど より:

    とは言え少しガッカリした内容でしたね
    スタメンを見た時点で負けを確信しましたが、これほど酷いとは…
    考えればプレミアのチームでトップレベルの中盤は全て外国人のイングランドと
    FWが全て外国人のスペインが勝てるはずありませんよね
    残念ながらルーニーもFWで使うよりはマシという程度かと思われます
    特に今日は使うべき状態ではなかったですね
    それ以前にスパーズの選手でチーム編成した時点で結果は出ていたのかも
    スパーズの選手は本当に良い選手が揃ってると思います
    でも、少し早かったですかね
    あのチェルシー戦を見た後では…
    4年後に期待です
    監督も変わってることですしね
    更新お疲れさまでした

  14. makoto より:

    ガナユさん>
    スタリッジ、デル・アリはもったいなかったですね。オプションが少なすぎ、ここいちばんで勝負できない監督、という印象でした。

    凹んでさん>
    平常心をキープできてなかったですね。あれだけパスミスが多いルーニーは初めてです。

    おハムさん>
    いや、まったく。初戦でルーニー代えて非難されたから引っ張ったのか、呆然としてしまって3枚めをどうするかの決断が遅れたのか…。ハリー・ケインとラシュフォードがCKを蹴っているのをみて、ダメだろうなと思いました。

    グローリーグローリーさん>
    チームが自信を失い、普段通りの戦い方ができていなかったところはオーバーラップしますね。ルーニーは、ワールドカップまでは続けてほしいです。

    シェバさん>
    ユーロの決勝トーナメントで一度も勝ってない国ですからね…。残念です。

    yutoさん>
    戦術をシンプルにして、徹底度を上げるだけでも結構戦えるのに…と思いました。

    ろっそさん>
    ララナ、出られなかったのでしょうか。であれば、ヘンダーソンかミルナーでしたね。私も、現状ではイングランド人にこだわるのはやめたほうがいいと思います。適任がいませんので。

  15. より:

    ホジソンが監督やってる間は代表に期待できないなと最初から思ってましたので、想定内といえば想定内の結果ですが、みなさんがおっしゃるとおり選手が可愛そうでした。

    自分も、スタリッジ右ウィングかい!てか、ケイン?!スターリング?!って始まる前からTVにツッコんでましたw
    ララーナ(怪我だったらしいですね)、ヘンド、ミルナーのような汗かく選手がもっと必要だったんじゃないでしょうか。
    スタリッジかヴァーディを1トップにして中盤厚くしても良かったと思います。

    おかげでスターリング、ケイン、ルーニーあたりは帰国後しばらく標的になるでしょうし、ラッシュフォードのひたむきさが見れた事以外いいことなんて何もないユーロ最終戦でした。

  16. makoto より:

    リバサポさん>
    ララナは、スペースに入ったり攻守のバランスを取ったりするのがうまいですよね。クレバーです。

    新米グーナーさん>
    いえいえ、そちらのボスは基本戦術がしっかりしてますので。ペジェグリーニさんはおもしろいですね。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    またも左でしたね。落ち着きがなかったジョー・ハートは、メンタルに問題があったのではないかと思いました。

    nyonsukeさん>
    おっしゃるとおり、ポチェッティーノさんとクロップさんの共通項である「前で奪って直線的に攻める」サッカーなら選手のフィットは早かったでしょうね。スタリッジにはマフレズを期待したのかもしれませんが、ヘンダーソンやララナのように右サイドをうまくカバーする動きがなければ、無理でしょう。戦術が雑だと思いました。

    YVGさん>
    勝てる外国人監督を招聘して、一度結果を出さないと負の連鎖が切れないのではないかと思いました。プレミアリーグで選手か監督として実績がある監督となると、ブラン、ペジェグリーニ、短期集中で良ければヒディンクでしょうか。私はブラン推しです。

    どどさん>
    スタメンは最悪でしたが、普通に戦えばアイスランドには負けないと思っていました。スパーズの選手が早かったということよりも、監督がうまく動かせなかったというほうが妥当ではないでしょうか。

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