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2016.07.02 ユーロ2016

【ユーロ2016】お見事ラムジー!戦術なきベルギーが、狙い明確のウェールズに3-1完敗!

ヴェルマーレンの出場停止で、プレミアリーグで堅守を誇ったアルデルヴァイレルトとフェルトンゲンのコンビが観られると期待していたのですが、フェルトンゲンは練習で重傷を負ったようです。ユーロ2016準々決勝、ウェールズと戦うベルギーは、CBにマンチェスター・シティからガラタサライにレンタルされていたデナイエル、左SBはロメウの弟、ジョルダン・ルカク。最終ラインに不安を抱える強豪に対して、主将のアシュリー・ウィリアムズ、司令塔ラムジー、エースのガレス・ベイルが健在のウェールズは、先行逃げ切りの勝ちパターンに持ち込めるでしょうか。私は、この試合を制した国にファイナルに進出してもらえればと願っております。先にベスト4で待つポルトガルは、何しろ90分で1回も勝っていないのですから。プレミアリーグでおなじみの豪華な顔ぶれが揃うブルーのシャツより、チャンピオンシップのメンバーまでいる赤いチームのほうに気持ちが傾いてしまう「レスター現象」に支配されつつ、キックオフの笛。試合開始から圧倒的に押しているのは、やはり強者ベルギーです。

ボールを奪った瞬間にドリブルで持ち上がるデブライネとアザールのスピードが素晴らしく、5分には早くもベン・デイヴィスにイエローカード。スパーズのSBは、累積警告でセミファイナルを失ってしまいました。7分、ベルギーに決定的なチャンスが到来します。左でフリーになったルカクがファーにクロスを通すと、フリーだったカラスコがGKヘネシーの脇を狙うシュート。ヘネシーが身を挺して防いだこぼれ球を、ムニエル、アザールが次々とシュートするも、ゴール前に集まったウェールズ守備陣が必死にブロック。最後はCKに逃げて事なきを得ます。10分にはウェールズの反撃。左から持ち込んだガレズ・ベイルがニアを狙って強烈なシュートを放ちますが、外からサイドネットに吸い込まれてしまいます。

ベルギーが先制したのは、13分という早い時間でした。プレミアリーグでの不振から完全に抜け出したアザールをケアすべく、右サイドの選手が下がり過ぎてしまったのが隙になりました。ナインゴランからゴールまでは相当距離がありましたが、マークする選手はいません。それにしても、ゴール左上に突き刺さったロングシュートはスーパーゴールでした。GKヘネシーは指先で触れるのが精一杯。ウェールズが追いかける展開は、今大会初めてです。

ラムジーとジョー・アレンのプレミアリーグコンビにパスの冴えがなく、リードした後ゲームを落ち着かせたベルギーに対して攻めあぐんでいたウェールズでしたが、25分に見事な連携から決定機を迎えます。ショートパスをつなぎながらペナルティエリアに迫ると、右にまわっていたベイルから縦に走ったラムジーにスルーパス。フリーで折り返したラムジーのグラウンダーはニール・テイラーにぴったりでしたが、満を持して合わせたボレーはクルトワのビッグセーブに阻まれます。30分、押していたウェールズが追いついたのは、ベルギーが28試合失点をしていなかったセットプレーからでした。ラムジーのCKをヘッドで叩いたアシュリー・ウィリアムズは、デナイエルとジョルダン・ルカクの間でノーマークでした。急造DF陣が綻びを見せたとは、いい過ぎでしょうか。1-1となり、ゲームは再び攻めるベルギー、受けるウェールズという構図に戻ります。

32分、ベイルのひとりカウンターは、右足のシュートをクルトワがキャッチ。徐々にベルギーがおとなしくなり、ベイルが中盤で触るようになったウェールズが主導権を握り始めています。42分、ベイルのパスを受けて思い切りよく右足を振り抜いたラムジーのミドルは、デナイエルが体に当ててCK。このCKでもアシュリー・ウイリアムズがフリーでヘディングシュートを打っており、ベルギー守備陣にはマークの確認が必要です。前半はイーブン。次の1点をどちらが獲るのか。ヴィルモッツ監督は、前線からの守備に難があるカラスコをフェライニに代え、危険なベイルとラムジーをケアさせようとしています。

後半開始早々、ムニエルのクロスをフリーで待っていたルカクがヘディングシュート。左隅を狙った一撃は惜しくも外に逸れていきます。直後、デブライネの左足ミドルはバーの上。50分には左サイドのアザールが中に斬り込み、右のポスト脇にきわどいシュートを放ちます。ベルギーペースで進んでいた試合は、55分、最終ラインの裏に飛び出したラムジーの素晴らしいプレイで均衡が破れました。縦パスを受けたアーセナルのMFは、すかさず中のロブソン=カヌにラストパス。マーカーに背を向けてトラップした9番は、切り返しからムニエルとフェライニをごぼう抜きにしてゴール左に完璧なシュートを突き刺しました。ベンチに集まり叫ぶ選手たち、歓喜に沸くスタンド。プレミアリーグのトップクラブで活躍するベルギーの選手たちを尻目に、レディングのストライカーが大きな仕事を成し遂げ、ウェールズの集中力は俄然高まります。

65分のCKは、アシュリー・ウィリアムズがヘッドで競り勝ち、こぼれたところをジョー・アレン、ウィリアムズが次々とボレー。ベルギー守備陣のセットプレーへの対応のまずさは、まだ修正できていません。ゲームを掌握しているのはウェールズで、ベルギーの反撃はデブライネ頼みです。76分、デブライネが右からえぐったチャンスは、グラウンダーが中のルカクに届きません。73分には、SBとしても能力が高いアルデルヴァイレルトがやはり右サイドからオーバーラップ。フェライニのヘディングシュートは、チェスターのプレッシャーでコントロールしきれず右に外れてしまいます。ヴィルモッツ監督は75分にジョルダン・ルカクをメルテンス。その2分後、コールマン監督がレドリーを下げ、アンディ・キングが登場です。レスターのMFは、プレミアリーグとユーロの2冠という究極のミラクルを体験することができるでしょうか。殊勲のロブソン=カヌがサム・ヴォークスと代わり、残り時間は10分を切りました。

ベルギーがルカクをバチュアイに代え、フェライニとの2トップで追いつこうとした矢先の85分、ウェールズがとどめを刺しました。右からクロスを上げたのはガンター。完璧なヘディングシュートを左隅に流し込んだのは、サム・ヴォークスです。ダニー・イングスとの恐怖のコンビで2年前にブレイクしたバーンリーのストライカーは、来季のプレミアリーグでもやっかいな存在となるでしょう。クリス・コールマン監督の采配は大当たり。1度歯車が狂うと修正できないヴィルモッツ監督の限界がみえたゲームでもあったのかもしれません。「英国最強」のウェールズが3-1で逆転勝利を飾り、準決勝進出を決めました。

今日はとにかく「ラムジーの日」。彼の右からの飛び出しと、ハリー・ケインより格段に高いCKの精度が、ビハインドを抱えて追い込まれていたチームを生き返らせました。個人のポテンシャルと創造力まかせの戦術なきサッカーが、「ジョルダン・ルカクの裏、デナイエルとルカクの間を執拗に突く」という狙いが明確だったチームに敗れるべくして敗れたゲームだったと思います。(アシュリー・ウィリアムズ 写真著作者/Biser Todorov)

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“【ユーロ2016】お見事ラムジー!戦術なきベルギーが、狙い明確のウェールズに3-1完敗!” への5件のフィードバック

  1. ヤンガナ大好き! より:

    ウェールズ、やってくれましたね!それにしてもラムジー、アレンの運動量、半端なかったです!ラムジーはガナーズの3列目よりも遥かに生き生きとプレイしていて、やはり彼には二列目で自由を与えると素晴らしく耀くと思いました。また、チームとしてディフェンスの集中力も安定してました!

    それにしても毎度ながらベルギーは個々のタレントは豊富ながらプレイにCHEMISTRYが感じられなかったです。フェルトンゲンの離脱は痛かったものの相乗効果のないサッカーは納得の敗退だと思います。

    予選より遥かによいサッカーをしているウェールズには、プレミアファンとして決勝まで行って欲しいですね!

  2. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    ウェールズやりましたね!個々の能力もさることながらチーム全体で勝ち取った勝利と思います。翻ってベルギーはこの位置での敗退は想定外だったでしょうね。選手の能力は群を抜いているのですが、管理人さんご指摘の通り歯車が狂うと建て直せないヴィルモッツの限界が見えましたね。W杯を考えるとここでワールドクラスの監督に交代もありだと思いますが、、、今のベルギーがこの先チームとしてあまり発展しないとなると惜しいです。

  3. 凹んで より:

    ゴールはなかったけど、今日はラムジーがウェールズを牽引しましたね!所属チームのガナーズでも、これぐらいやってほしいものです。私もポルトガルはファイナリストには相応しくないと思うので、ウェールズに頑張ってほしいです。で、そのラムジーは出場停止の準決勝は、キングに期待してます。

  4. queen より:

    ブラボー・ウェールズ!ベルギーの守備が綻んでいたとはいえすばらしい!
    しかし、世界の多くがウェールズよりなことは承知の上で、ラムジーとデイビスの不在を活かして、ポルトガル進出に期待。こちらの欠場はカルバリョくらいですし、岡崎並の運動量を誇るマリオ、アドリエン、サンチェス三人組はなかなか厄介な存在だと思いますよ。

  5. makoto より:

    ヤンガナ大好き!さん>
    次戦、コールマン監督がラムジーとベン・デイヴィスの穴を埋めてくれたら、フェルトンゲンとヴェルマーレンの不在を嘆いていたヴィルモッツさんをすっきりさせてあげられますね。ファイナルに進んでほしいです。

    Mackiさん>
    ベルギーは、とにかく選手交代やフォーメーション変更がはまらないですね。ベースの戦術が緩いのが問題なのだと思います。

    凹んでさん>
    私も、レスターのキングに期待しています。楽しみな一戦です。

    queenさん>
    ポルトガルは、あれだけの選手がいてなぜ勝ちきれないのでしょうね。PK戦で決勝進出となったら、それはそれで天晴れです。

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