イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

2016.06.14 ユーロ2016

【ユーロ2016】チェフの超絶セーブで耐え続けたチェコは、残り3分、イニエスタの完璧クロスに散る!

 おもしろいですね、ユーロ2016。プレミアリーグに所属する選手が多いベルギー、フランス、イングランド、ウェールズあたりの試合に絞らないと体が持たないと思い、自重すると決めていたものの、結局ここまで全試合観てしまいました。印象的だったのは、クロアチアVSトルコでしょうか。激動の歴史をくぐり抜けてきた両国の対決は、選手もサポーターも力がこもった欧州らしい熱狂的な試合でした。さて、今夜はベルギーVSイタリアのみと自分にいい聞かせていたのですが、ああ、スペインVSチェコ。デ・ヘアとチェフというプレミアリーグ屈指の守護神の競演であり、ロシツキ、セスク、ダヴィド・シルヴァです。マンチェスター・ユナイテッドのデ・ヘアがゴールマウスに立つスペインではなくチェコに肩入れしてしまうのは、ロシツキ最後のユーロという舞台装置に心が動かされるからです。キックオフからスピーディーなゲーム。8分、オフサイドではありましたが、至近距離からのモラタのボレーを弾いたチェフの瞬発力はさすがです。

中盤でのせめぎ合いが続き、ダヴィド・シルヴァのFKをセルヒオ・ラモスがヘッドで合わせようとした15分まで、シュートがないゲーム。セスク、イニエスタ、ダヴィド・シルヴァ、ブスケツらが小気味よくパスを回して隙を窺うスペインは、サイドや最終ラインの裏を鋭く突くパスがまだ見られません。16分、欧州王者の最初の決定機は、スローな展開から一気にギアチェンジしたシンプルな攻撃。ファンフランの縦パスにダヴィド・シルヴァが走り、右足で出したグラウンダーにモラタがフリーで合わせますが、ボールはチェフの正面にいってしまいました。試合はいつしか、スペインが仕切るハーフコートマッチ。26分にはイニエスタの縦パスに反応したファンフランがモラタを使おうとしますが、チェコの体を張った守備がシュートを許しません。

29分、縦パスを受けたモラタが、キックフェイントでひとりかわして放った左足の一撃は、チェフが指先でコースを変えてCK。プレミアリーグ移籍が噂されているユーヴェのストライカーと、来季はチームメイトになるかもしれないアーセナルの守護神の駆け引きは見応えがあります。ブスケツがボレーを狙うぐらい押しているスペイン。デ・ヘアは時折バックパスをさばくだけしか仕事がありません。40分、左からラインの裏を陥れたジョルヂィ・アルバの強烈なシュートはチェフがセーブ、ロシツキがクリア。直後にダヴィド・シルヴァが右から突破した決定機もチェフが飛び出し、右手に当てて先制を許しません。45分、ロシツキが右に展開したカウンターから、ようやくネツィドがシュートに持ち込むものの、デ・ヘアの正面。チェコにとっては奇跡的な0-0、しかしいつでもゴールを奪えそうなスペインに焦りはないでしょう。予想通り、後半開始早々からスペインの猛攻が始まります。

46分、イニエスタのロングフィードで右から抜けたモラタが中に入れると、DFに当たったボールはポストに当たりアウト。チェフは逆を取られており、あわやオウンゴールの危険なシーンでした。2分後、CKからノリートがシュートを打つと、チェフが足に当てた後の混戦はシボクがクリアし、事なきをえます。個の力に勝るスペインは、前半と比べると強引な突破やアーリークロスが目立ち始め、チェコの守備陣は余裕をもって守れるようになっています。57分、チェコに初めてのチャンス。レフティのクレイチが右から蹴ったFKがゴールに向かい、フブニークが足を伸ばしてボレーを放つも、当たりが弱くデ・ヘアが左に飛んでストップします。60分のイニエスタのミドルはチェフの正面。0-0のまま、残り時間は30分となりました。

61分、デルボスケ監督はモラタをアドリス。35歳のストライカーは、大事な舞台で爪痕を残すことができるでしょうか。65分、チェコのCK。ショートコーナーからのクレイチのキックをゲブラセラシエが頭で折り返し、中央にカデラベクが飛び込んだ瞬間、チェコ先制かと息をのみましたが、危険を察知したセスクの素晴らしいクリアがスペインを救います。70分、セスクが下がりチアゴ・アルカンタラ。直後にダヴィド・シルヴァの浮き球でジョルディ・アルバがチェフの目の前に飛び出したチャンスは、トラップが大きくなってフィニッシュに持ち込めません。72分に左からノリートが上がり、折り返しをイニエスタがダヴィド・シルヴァに流すも、切り返しを入れたプレミアリーグ屈指の司令塔は、らしからぬキックで左に外してしまい、チェフを慌てさせることができません。

残り15分、チェコはネツィドが下がりラファタ。78分にセルヒオ・ラモスが浮かしたクロスはアドリスの頭にぴったりでしたが、気負ったヘッドは左にアウト。チアゴ・アルカンタラが最前線に抜け出したシーンは、シュートにいこうとした瞬間に足元にスライディングを決められ、これも打てません。残り10分、ノリートに代わってペドロ・ロドリゲス。ここまでよく守っていたチェコに隙が生まれたのは、87分でした。右からのクロスをロシツキがクリアすると、拾われたボールがイニエスタに渡り、6番はゴールに向かって曲がる完璧なクロスをフィード。フリーになり、ヘッドでサイドネットに叩き込んだのはピケでした。追加タイムは3分、チェコは反撃に転じ、左からのグラウンダーをトラップしたダリダが強烈なシュートを放ちますが、デ・ヘアがセーブしてタイムアップ。フランス、イングランド、ドイツに続いてスペインも苦しみましたが、最後にチェフのゴールをこじ開け、貴重な勝ち点3をゲットしました。

チェコの最終ラインの闘志あふれる守備と、チェフの完璧なセービングをリスペクトするとともに、それでも勝ちきったスペインの底力にも拍手を送りたいと思います。こういう試合は、えてして専守防衛のチームがカウンター一発で勝ったりするものですが、最後のダリダのシュート以外に、スペインのマークが緩むシーンはありませんでした。それにしても、イニエスタは素晴らしい!あれだけ精度の高いクロスを入れられたら、さすがのチェフもノーチャンスです。

今日のロシツキには、「よく走り、よく守った」としかいえません。クロアチアとトルコはいずれも難敵。チェコのキャプテンに残された欧州のステージは、あと2つしかないのかもしれません。いや、次こそ、胸のすくようなゴールを!(アンドレス・イニエスタ 写真著作者/Дмитрий Неймырок)

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“【ユーロ2016】チェフの超絶セーブで耐え続けたチェコは、残り3分、イニエスタの完璧クロスに散る!” への2件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    いや本当にEuroが面白くて大変です。この時期はシーズンの疲れを癒すべく睡眠をしっかり摂る時期なのですが、こんな素晴らしいゲームを毎日観せられたら眠れません(笑)
    スペイン堅いですね。イニエスタ何なんでしょうか、、、完璧すぎです。ロシツキはまだまだ観ていたいので何とか決勝トーナメントに行って欲しいのですが、、、難敵が多過ぎです。

  2. makoto より:

    Mackiさん>
    スペイン、強いですね。80分過ぎまで0-0というチェコの望むゲームだったのですが…。残念でした。ロシツキはサポートがなくてつらかったですね。

コメントを残す