偏愛的プレミアリーグ見聞録

チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグと重なる秋のカラバオカップは、どうしても優先順位が下がってしまいますが、いよいよ8強となると注目度が高まってきます。2021-22シーズンの優勝候補は、リヴァプール、チェルシー、トッテナム、アーセナル。マンチェスター勢を屠ったウェストハムと、そろそろフォファナが戻ってくるレスターも、侮れない存在です。

準々決勝の最初のゲームは、唯一火曜日に開催されたアーセナルVSサンダーランド。5年前までプレミアリーグに所属していたニューカッスルのライバルは、リーグ1（3部相当）でくずぶっています。最初の興味は「アルテタ監督がどこまでメンバーを落とすか」。なるほど、ベン・ホワイト、ウーデゴーア、スミス・ロウは軸として残したのですね…。

GKはベルント・レノ、最終ラインにはセドリク・ソアレス、ホールディング、ヌーノ・タヴァレスが起用され、アンカーにエルネニー。右サイドには久々の先発となるニコラ・ペペ、バログンとエンケティアは前線に並ぶのでしょうか。プレミアリーグ3連勝でテンションが上がったグーナーは、キックオフの前から盛り上がっています。

アウェイチームが左から仕掛けた3分のアタックは、プリチャードが遠めから放ったシュートがレノの正面。ウーデゴーアは、相変わらず素晴らしいパスワークで攻撃をコントロールしています。6分にセドリク・ソアレスのクロスがバログンの頭に合いますが、力んだ一撃はクロスバー越え。12分には、ヌーノ・タヴァレスのクロスがエンブルトンの足に当たってバーを叩きますが、こぼれ球に先着したニコラ・ペペは、対峙したグーチの足にぶつけてしまいました。

ガナーズの先制は17分。セットピースのスペシャリストであるニコラス・ジョヴァーさんを招いて、格段にクオリティが上がったCKからのゴールでした。フリーで叩いたホールディングのヘッドをGKバージが弾くと、浮いたボールに反応したエンケティアが膝で押し込みました。

22分にセドリクのクロスをファーでもらったバログンは、ヘディングをコントロールできず、敵陣でニコラ・ペペが奪ったチャンスも、スミス・ロウのラストパスをバッジの正面に打ってしまいます。2点めが決まったのは27分。セドリクに預けたニコラ・ペペがボックスでリターンをもらい、左足のシュートを強引にねじ込みました。

2-0となった4分後、サンダーランドのカウンター。エンブルトンのラストパスをもらったブロードヘッドがレノと1対1となり、ダイレクトのチップキックを枠に転がしました。34分に右から斬り込んだウィンイェスターのきわどいミドルは、レノが右に飛んでセーブ。44分、セドリクのクロスをニアのニコラ・ペペが頭で後ろに送ると、クリアを直接叩いたスミス・ロウのボレーはバージが右に反応してセーブしました。

ハーフタイムは2-1。希望を抱いて後半のピッチに戻ってきたサンダーランドは、15分もしないうちに野望を打ち砕かれました。49分に左サイドを突破したのは、ヌーノ・タヴァレス。正確なクロスが中央に入り、走り込んだエンケティアが右足のアウトでGKの脇を抜きました。2点差に戻したアーセナルが勝負を決めたのは、エンブルトンのミドルがポストを叩いた後の58分です。

右サイドのニコラ・ペペを走らせたウーデゴーアのスルーパスが秀逸。サイドでキープしたドリブラーが股抜きでひとりかわして中央に送ると、エンケティアが右足のヒールで流し込み、ハットトリックを達成しました。バログンをジャカに代えていたアルテタ監督は、73分にベン・ホワイトとウーデゴーアを休ませ、ガブリエウとマルティネッリを投入。80分にスミス・ロウと代わったのは、18歳のチャーリー・パチーノです。

ガナーズの最後のゴールは91分。ジャカがボックス右のニコラ・ペペに浮き球を通すと、グラウンダーをスライディングで押し込んだのはパチーノでした。公式戦デビューでいきなりゴール。体を開いて合わせた左足のダイレクトショットは、簡単にできるプレイではありません。サブの選手たちが結果を出したアーセナルが、4シーズンぶりとなるベスト4進出を果たしました。

エンケティアが3発、ニコラ・ペペは1ゴール2アシスト。リーグ1のクラブが相手とはいえ、今後につながる収穫を残せた一戦といっていいでしょう。未完の大器バログンのゴールが見たかったのですが、年明けから始まるFAカップのお楽しみとしましょう。本日の抽選で決まる準決勝は、ノースロンドンダービーか、3強の一角との激突か、あるいは…!?　明朝UPの準々決勝3試合のレポートは、注目の組み合わせも含めてお伝えします。