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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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マンチェスター・ユナイテッド、89分の悲劇!「勝てないスウォンジー」に敗れFAカップ終了…

怖れていたことが起こったという気持ちが半分、再試合にも持ち込めないのかという驚きと落胆が半分。FAカップ3回戦、プレミアリーグ勢登場の2日目は、5試合が行われ、またもやジャイアントキリングです。マンチェスター・ユナイテッドが、プレミアリーグのトッテナム戦に続き、1ヵ月勝利から見放されていたスウォンジーに本拠地オールド・トラフォードで完敗しました。

マンチェスター・ユナイテッドの出足は悪くなく、10分にはスタメンに入った香川真司のパスから、チチャリートがシュートを放つシーンもあり、ゴールへの期待感が漂っていました。しかし…。最初のつまづきは12分。完全に守備のスキを突かれ、ボスエロのスルーパスからルートリッジが抜け出し、ループシュートを決められてスウォンジーが先制です。その4分後、ビュットナーのクロスをチチャリートが今度は左足の軽いタッチで冷静にGKの逆へ流し込み、1-1の同点に追いつきますが、そこからまた、ホームチームが攻めあぐむ時間が始まります。

終始、ボールをキープするのはマンチェスター・ユナイテッド。しかし、明らかにスウォンジーの攻撃のほうがシンプルにゴールに向かっています。マンチェスター・ユナイテッドは、プレミアリーグの前節、トッテナム戦と同様に、サイドにボールを出してからのアイデアがなく、いい形でシュートに持ち込むシーンがありません。

香川真司は、調子を上げてきた11月に比べて確実に運動量が落ちており、ゴール前のスペースに入る動きが見られません。前線に飛び込んでもパスがこない。パスが来ないから、後ろに下がって組み立てに参加する。後ろでプレイすると、サイドの選手がゴール前にクロスを出したときには上がりが間に合わず、絡めない。この繰り返しです。今のマンチェスター・ユナイテッドは、サイドを崩して前線にクロスをフィードする以外に攻撃の形がないので、そのなかでどう攻撃に関わっていくのかを考えないといけません。ボールが来なくても、ひたすら自分のプレイを繰り返すことでパスを呼び込むのか、それともチチャリートやウェルベックの動きを見て、マークをかわせる位置に入ってFWの後ろからシュートを打つのか。「パスがもらえない」「香川真司に合わせてくれない」と嘆いていても仕方がないので、自ら動くことで状況を打開することが求められます。

点を奪える気配がないまま、ゲームは終盤へ。2回めのつまづきは、75分のリオ・ファーディナンドの負傷交代です。代わりに入ったファビオは、その4分後、まったくボールを見ずにスライディングで相手の脛を削りにいき、一発レッド。入ってすぐにチームを10人にしてしまい、さらにゴールが遠くなります。

モイーズ監督は、なぜここで動かなかったのでしょうか。11人でもゴールの期待は薄かったわけで、残り10分しかありません。モウリーニョ監督であれば、香川真司かチチャリートをキャリックに代え、再試合やむなしで安全運転にギアチェンジでしょう。攻め気の強いロジャース監督でも、同様に前の選手をギグスあたりに代え、中盤を埋めながら一発狙いに徹したのではないかと思います。しかし、10人になったマンチェスター・ユナイテッドに策はなく、トップ下のポジションに侵入して崩す形を模索していた香川真司が、それまでよりも中盤に下がる動きを若干見せるくらいに留まります。

ここから数回にわたり、スウォンジーに危ない形を創られますが、それでもベンチは動かず。そして89分、3回めのつまづきは致命的な一発でした。左サイドから崩され、対応したフレッチャーのスライディングよりも先にクロスを上げられ、これを待ち構えていたウィルフリード・ボニーがほぼフリーでヘッド!コンパニとナスタシッチがゴール前に構える好調マンチェスター・シティですら、2点を奪われた身体能力の高い点取り屋をフリーにすれば、どうなるかは明白です。1-2となってからも逆襲はなく、マンチェスター・ユナイテッドはたった1試合でFAカップから姿を消すことが決まりました。

いちばん残念だったのは、監督にもピッチ上の選手にも「何が何でも勝ちにいく」という姿勢が見られなかったこと。攻撃のペースは一定で、サイドからドリブルで抜きにかかるしか手立てがないので、スウォンジーDFはクロスが上がったタイミングで中央のチチャリートとウェルベックを抑えてしまえば、特段脅威はありません。しつこくミドルシュートを打つなり、後ろでボールを回してスウォンジーのチェックを呼び込んだうえでペースを上げて攻めるなり、やりようはあったはずです。うーん、これは重症ですね。ベースが今イチなので、ひとりふたり、中盤の選手を獲得しても、状況は大きくは改善しないでしょう。エヴァートンサポーターの方に怒られてしまうかもしれませんが、たった半年で、マンチェスター・ユナイテッドは、プレミアリーグでもカップ戦でもあと一歩届かない昨季までのエヴァートンになってしまいました。モイーズ監督、「FAカップは優勝を狙う」んじゃなかったんですか!?

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