偏愛的プレミアリーグ見聞録

4回戦があまりにも順当な結果だったので、サッカーの神様が苛立ってしまったのでしょうか。ベスト8進出クラブを決めるFAカップ5回戦のドローは、直前のラウンドの静けさが嘘のような、プレミアリーグクラブ同士のつぶし合いとなりました。

何しろ、いきなりここでマンチェスター・シティVSチェルシーです。この2チームは、2月頭にプレミアリーグでも当たることになっており、いずれも会場はエティハド・スタジアム。いや、私のようなただのプレミアリーグファンにとっては、これぞ神の配剤、めちゃめちゃ盛り上がりますが、当事者のチェルシーからすれば頭が狂いそうなスケジュールですね。今季、プレミアリーグでは全勝、チャンピオンズリーグやカップ戦を入れても17勝1敗と、欧州王者のバイエルン・ミュンヘンしか勝てていないエティハドで、「ミスター1-0」のモウリーニョ監督が勝利を奪うことができるのか!?もうこれは、「今から楽しみ」という月並みな言葉しか出てきません。

そしてお次は、こちらもまた大変なゲームになりそうですが、現在プレミアリーグ首位のアーセナルは、リヴァプールと当たります。今季のアーセナルは、「クジ運に見放された」を通り越して、「クジ運から波状攻撃を受けてコシールニーとメルテザッカーがクリアしてる」といった状態。キャピタルワンカップでは早期にチェルシーと当たって敗退し、チャンピオンズリーグはマルセイユ、ナポリ、ドルトムントの「死のグループ」をやっとの思いで勝ち抜いた直後にバイエルン・ミュンヘン。この後、彼らがレアル・マドリードやバルセロナなどという最悪なドローをさらに引き当てて、トレブルでも達成しようものなら、その偉業を目撃したプレミアリーグファンは「あのときのアーセナルはただの優勝クラブじゃない！最強のクラブだ」と後世まで伝えないといけませんね。ワールドカップもそうですが、たいていの場合、勝者はどこかでラッキーな思いをしているわけで、「死の〇〇」に入ってしまった不幸な集団は、いいところまでいっても敗退する運命にあるものです。

【FAカップ5回戦組み合わせ】
マンチェスター・シティ VS チェルシー
シェフィールド・ユナイテッドとフラムの勝者 VS
ノッティンガム・フォレストとプレストン・ノースエンドの勝者
アーセナル VS リヴァプール
ブライトン VS ハル・シティ
カーディフ VS ウィガン
シェフィールド・ウエンズデー VS チャールトン
サンダーランド VS サウサンプトン
エヴァートン VS スウォンジー

リヴァプールは、プレミアリーグ上位クラブとはもうひとつ後ろで当たりたかったですね。この冬はケガ人が多く、大変なやりくりで試合をこなしているので、主力選手が復帰してコンディションを上げてくる前は、出来るだけラクをしたかったに違いありません。

最後にもうひとつ、プレミアリーグ同士が争う注目のサバイバルマッチがありまして、はい、エヴァートンVSスウォンジーですね（サンダーランドVSサウサンプトンを軽視しているわけではありませんが…）。スウォンジーも、3回戦でいきなりマンチェスター・ユナイテッドのアウェイ戦を引いたばかりなのに、わざわざグディソンパークまで足を運び、エヴァートンに会いにいこうとは、懲りないクラブですね。エヴァートンにしてみれば、上位とはいずれ戦うにしても、こういうやっかいな相手は避けて上にいきたかったはず。2月中旬となれば、絶好調ウィルフリード・ボニーに加え、大黒柱ミチュも復帰している見込みで、一発のある昨季キャピタルワンカップ覇者は、トーナメント戦ではなおさら要注意です。

いやいや、これだけプレミアリーグ上位対決が重なると、「シェフィールド・ウエンズデーVSチャールトン」が逆の意味で奇跡のカードに見えてきますね。「よくぞここで、上と当たらなかったね。お見事！」と声をかけてあげたくなります。というわけで、8強にどこが残るのかまったくわからなくなったFAカップ5回戦は、2月15日・16日開催です。乞うご期待！