イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

歓喜爆発モウリーニョ、未来を見据えるポチェッティーノ…ファイナリストたちの今後を思う。

試合が終わった瞬間は、少し唇をゆがめただけ。ポチェッティーノ監督と軽くハグをして互いの健闘をたたえ合うと、そそくさとロッカールームに引き上げる姿はいつものモウリーニョ監督でした。観ていて「こんなものか」と思ったのですが、やはりプレミアリーグ復帰後初のタイトルは、相当うれしかったようです。「喜ぶのは20分だけ」と、ミッドウィークのプレミアリーグに向けてチームを締めようとしていたものの、その20分は歓喜爆発。試合に出ていないのにトロフィーを渡され、戸惑うイジー・ブラウンとクリステンセンに掲げろと催促したり、ピッチに寝転がって記念撮影したりと、中学生の修学旅行状態のハイテンションでした。モウリーニョ監督にとって前回のタイトルとは、レアル・マドリード時代のリーガ・エスパニョーラではなく、2007年のFAカップにまで遡るのかもしれません。優勝後のやんちゃな表情は、「プレミアリーグの監督としてタイトルがほしかった」と語っているようにみえました。

マティッチの代わりに中盤の底に抜擢したズマが大当たりで、大ベテランとエースストライカーの活躍で2ゴール。守備の綻びもなくクリーンシートと、トッテナムとのキャピタルワンカップ決勝は、監督冥利に尽きる勝ち方だったのではないでしょうか。昨季よりも弱点がなくなり、若手とベテランのバランスもよくなったチェルシーは、完成形に向かって着々と歩を進めています。追撃よりもつまずきが目立つマンチェスター・シティを見ると、プレミアリーグ優勝もモウリーニョ監督のチームで間違いなしでしょう。このうえは、昨季ベスト4で止まったチャンピオンズリーグで、成長の跡を見せられるでしょうか。ここぞという勝負に強いモウリーニョ監督なら、3冠獲得もない話ではないと思います。

さて、私が今回気になったのは、勝者よりもむしろ敗者のほうです。敗戦後、イギリスメディア「スカイスポーツ」のインタビューを受けた43歳のポチェッティーノ監督は、自らの年齢の半分程度の選手が多いトッテナムについて、「今回のチャレンジは大きな一歩だ」と語っています。

「チェルシーには優れた選手が集まっており、世界最高のチームのひとつだ。彼らには12回~14回と、こういった大会のファイナルを戦ってきた選手がいる。われわれはまだ若い。多くの選手にとって、今回が初めてのファイナルだった。懸命に闘ってくれた選手たちを私は誇りに思っている。この結果はつらいけど、前を向かなければならない。これは第一歩なんだ」

フェルトンゲンとロリス以外は、25歳以下の選手で構成されていたトッテナムは、前半うまくパスをまわして優位に立ちながら、ここ一番でチェルシーに隙を突かれて敗れ去りました。しかし、ポチェッティーノ監督がいうとおり、このチームは「3年後に強くなるチーム」だと思います。ハリー・ケインやエリクセン、ライアン・メイソンらがいい修羅場を経験して強くなれば、トッテナムはプレミアリーグで優勝争いに食い込むクラブに化けるかもしれません。

一時代を築いたマンチェスター・ユナイテッドやアーセナルがプレミアリーグで二番手集団に甘んじているのは、ソル・キャンベル、ヴィエラ、ロイ・キーン、リオ・ファーディナンドといった、キャプテンシーがあって気持ちが強く、軸となる選手が急激に少なくなったことと無縁ではないでしょう。アーセナルではジャック・ウィルシャーやラムジーあたりが候補ですが、順調に成長しているとはいいがたく、最近は踊り場。マンチェスター・ユナイテッドにはルーニーとキャリックがいますが、彼らのどちらかが欠けるとチームは軸を失い、アウェイでドローを重ねる勝負弱い集団と化してしまいます。期待はデ・ヘアですが、彼はいつまでプレミアリーグにいるのかわかりません。両者とも、自前か補強かを問わず、大黒柱となるMFとCBが必要なのではないでしょうか。必要な要素は気持ちの強さ、豊富な経験、溢れんばかりのチーム愛です。

昨季はエトー、ランパード、テリー、チェフ。今季はドログバ、セスク、テリー。モウリーニョ監督は、意志をもって各ポジションに軸となる選手を置いています。チェルシーの強さのひとつは、キャプテンシーのある選手やベテランが持つ「経験力」「踏ん張り力」だと思います。リヴァプールのロジャース監督は、ヘンダーソンやデヤン・ロブレンにそういった力を求めているように見えます。さて、トッテナムはどうなのでしょうか。レヴィー会長の若手シフトは「長期的なチーム強化」なのか、「第2のベイルでさらにひと儲け」か。ひと目は後者に見えますが、ここはひとつ、エリクセンとライアン・メイソンは死んでも手離さないぐらいの気概をみせてもらえればと思います。アブラモヴィッチオーナーとモウリーニョ監督は、プレミアリーグで5位前後が指定席だったチェルシーを、そうやってトップに押し上げたのですから。

キャピタルワンカップの決勝で、ゴールまであと一歩に迫ったエリクセンやハリー・ケインを見て、トッテナムの輝かしい未来に思いを馳せた次第であります。3年後、もう一度このカードを観たい。そのときはきっと…。

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“歓喜爆発モウリーニョ、未来を見据えるポチェッティーノ…ファイナリストたちの今後を思う。” への6件のフィードバック

  1. リバサポ より:

    スパーズの若手はいいですよね。やっぱり期待してしまいます。うちは、ヘンドが最近貫禄を見せてきたので期待しています。スパーズは誰が軸になっていくんでしょうかね。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    更新ご苦労様です。

    チェルシーがモウリーニョという監督で長期政権を築こうとしているのはよく分かります。
    個人的に最近のチェルシーが変わったと思うのは金だけに頼った補強が激減し放出と獲得が
    しっかりとリンクされていることです。来夏はチェフを放出して補強資金を得るはずです。
    今季は言うまでもなく来季もチェルシーがプレミアの本命でしょう。

    スパーズは3年後のチームですか・・・ちなみに一昔前のアーセナルもそう言われました。
    セスクを筆頭にした若い才能がプレミアを席巻するとよく言われたものです。しかし今でも
    アーセナルはプレミアもCLも制することが出来ていません。
    なぜでしょう・・・若く優秀な選手は待ちません。仮にスパーズが長期的な強化を目指すと
    公言しても若く優秀な選手達は何の躊躇もなく移籍していくでしょう。

    それが現実です。スパーズが来季のCL出場権を逃せば主力全員の慰留は無理でしょう。

    —–
    育った時点でビッグクラブに取られると予想します!

  3. makoto より:

    リバサポさん>
    エリクセンが残ってくれればベストなのですが…。

    tomoさん>
    主力全員は、全盛期のマンチェスター・ユナイテッドでも無理でしたし、今のチェルシーでも無理です。残す人・売る人のメリハリだと思います。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    育つまで待ってもらえるならば、チーム状況を変える時間が創れますね。そのとき仮にトッテナムがCL出場権に手が届かず、どうしても出ていくといわれれば高く売るという判断になり、レヴィ会長としてはそれはそれで望むところでしょう。私は、残念だなという思いが残ります。

  4. makoto より:

    リバサポさん>
    エリクセンが残ってくれればベストなのですが…。

    tomoさん>
    主力全員は、全盛期のマンチェスター・ユナイテッドでも無理でしたし、今のチェルシーでも無理です。残す人・売る人のメリハリだと思います。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    育つまで待ってもらえるならば、チーム状況を変える時間が創れますね。そのとき仮にトッテナムがCL出場権に手が届かず、どうしても出ていくといわれれば高く売るという判断になり、レヴィ会長としてはそれはそれで望むところでしょう。私は、残念だなという思いが残ります。

  5. パチ より:

    スパーズはとりあえず来季のCL出場権を得られるかどうかですかね。得たうえでどう戦うかでスパーズの未来が輝かしいかどうかは決まるのかなと。
    ということで来シーズンのCLではスパーズとリバプールが見たいです。となるとユナイテッドのCL出場がなくなる可能性が無くなっちゃうわけですけど、正直現時点のサッカーだとユナイテッドよりスパーズ・リバプールの方がCLで見たいサッカーしてるんですよね…。

  6. makoto より:

    パチさん>
    おっしゃることはそのとおりで、私も見たいのはやまやまなのですが、それがじつげんしてほしいかといわれると、むむむです(笑)

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