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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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サポーター乱入!FAカップベスト4を決めたアストン・ヴィラにヴィラパークは大騒ぎ!

試合が終わった瞬間、ヴィラのサポーターがピッチになだれ込み、プレミアリーグ優勝の瞬間でも見られないような大騒ぎ。先制ゴールを決めたデルフはサポーターに囲まれ、足を踏み鳴らし、何かを叫びながら一緒に勝利を祝っています。気持ちはわかりますが、それにしても凄い。アストン・ヴィラのプレミアリーグ28試合15得点は、ブービーのサンダーランドに8点も離されたぶっちぎりの最下位。点が獲れず、なかなか勝てないまま2月11日にはポール・ランパード監督が解任。後釜のティム・シャーウッド監督は、就任3試合めとなった先週のWBA戦で初勝利を挙げましたが、これはアストン・ヴィラにとっては13試合ぶりの勝利。プレミアリーグからリーグ2(4部相当)までの全92クラブのなかで、年が明けてからの最初の勝利がいちばん遅かったのはアストン・ヴィラです。3勝1分けという最高のスタートを切りながら、6節以降はわずか3勝。プレミアリーグでいちばん勝利に飢えているサポーターが、FAカップ4強という素晴らしい結果に興奮しないわけがありません。

ただでさえ勝てないのに、FAカップ準々決勝、5日前に戦ったばかりのWBAとの再戦は、ひどいメンバーです。ロン・フラール、ハットン、シソコ、ネイサン・ベイカーと主力がごっそりいない最終ラインは、MFバクナがSBに入るつぎはぎ状態。GKはグザンではなくシェイ・ギブン。ベンテケが謎の不在で、ヴァイマンはベンチ。シャーウッド監督の後ろには、ユースから連れてきた選手が2人も座っています。希望があるとすれば、WBAにはこの日と同じ本拠地ヴィラ・パークで2点を奪って勝ったばかりというぐらい。「残留請負人」シャーウッド監督VSピューリス監督のバトルは、アウェイチームが断然有利にみえます。

5分にさっそくシュートを放ったのは、イングランド代表定着をめざすWBAのベラヒーノ。アウェイチームはガードナーのチャンスメイクが的確で、8分にも右のドーソンからのパスを受けたガードナーが見事なグラウンダーを中央に通し、フリーになったイデアがボレー。決定的なシーンでしたがイデアはボールを抑えられず、WBAは絶好のチャンスを棒に振ってしまいます。右サイドを制圧するWBAは、32分にもドーソンのクロスをイデアがヘッド。コースはよかったものの、当たりが薄くなってしまったシュートは強さが足りず、GKシェイ・ギブンが抑えます。

前半は0-0、アストン・ヴィラのシュートはわずか2本で枠内ゼロ。アグボンラホルとエンゾグビアは影が薄く、デルフのFKとシンクレアの突破以外に可能性を感じるシーンがありません。細い、細すぎるアストン・ヴィラ。FAカップ優勝7回、欧州王者に上り詰めた輝かしい歴史がある古豪に、勝利のチャンスがやってくるとはとても思えない45分でした。

しかし後半、最初のチャンスをアストン・ヴィラがものにします。51分、右サイドからドリブルで持ち込んだエンゾグビアを見てシンクレアが中にDFを連れていくと、左から走り込んだデルフがフリー。左足を振り抜いたキャプテンの強烈なミドルは、DFもGKマイヒルも触れずゴールネットに突き刺さります。ヴィラ、先制!リードされたWBAは56分、CKが流れたところをCBレスコットが狙いすましたヘッド。入ったかに思われたシュートはわずかに右に外れ、ヴィラの急造最終ラインは命拾いします。59分、スルーパスに抜け出したベラヒーノはシェイ・ギブンがブロック。69分には、お返しとばかりにキレキレだったシンクレアがGKと1対1になりますが、シュートはマイヒルにセーブされ、追加点は奪えません。

どちらに転ぶかわからない1点差のゲームで、WBAにとっては79分のヤコブ退場は激痛でした。バクナの足にスパイクの裏を入れてしまい、2枚めのイエローは致し方なし。それでも同点を狙って攻めに出たWBAでしたが、85分、ついにとどめの一撃を喰らいます。カウンターから快速を飛ばし、一気にゴール左に持ち込んだのはシンクレア。切り返しでブラントをかわして右足で放った美しいシュートは、右のサイドネットへ一直線。マンチェスター・シティからやってきた25歳のサイドアタッカーがスタンドの歓声に応えて手を振ると、熱くなったサポーターがピッチに乱入し、スタジアムは熱狂の渦に包まれます。ヴィラの連勝は3ヵ月ぶり、2試合連続の2ゴールは今季初めて。やりくりに頭を悩ませたシャーウッド監督は、満面の笑みでガッツポーズです。

アストン・ヴィラが5月の決勝に進出したらと想像すると、ワクワクします。相手となるのはリヴァプール、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナルのいずれかになると思われますが、ファイナルで当たった相手がプレミアリーグ4位を確保すれば、ヴィラは負けても欧州へのチケットを手に入れることになります。できれば準決勝は、この日ドローに終わったブラッドフォードとレディングの勝者と当たりたいところですが、トッテナムにフラれたシャーウッド監督とプレミアリーグ最少得点のチームに運は味方するのでしょうか。月曜日の夕方、オールド・トラフォードで運命のドローが決まります。

【FAカップ6回戦(準々決勝)日程・結果】
■3月7日
アストン・ヴィラ 2-0 WBA
ブラッドフォード 0-0 レディング
■3月8日
リヴァプール VS ブラックバーン
■3月9日
マンチェスター・ユナイテッド VS アーセナル

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“サポーター乱入!FAカップベスト4を決めたアストン・ヴィラにヴィラパークは大騒ぎ!” への3件のフィードバック

  1. やま より:

    アストンヴィラについての記事ありがとうございます。

    少しコメントさせて頂くと、sbのハットンやシソコはプレーがかなり不安でスタメン落ちしたと考えられます。ベイカーもフラールは怪我がちで今シーズン大して試合にでておらず主力もなにもオコレとクラークが基本的にスタメンです。
    またgkのギブンはカップ戦専用です。
    ヴァイマンも最近は控えですし、ベンテケは怪我です。

    選手のネームバリューだけで実際に試合を観てないのがバレバレです

  2. ほにゃほにゃ より:

    アストンビラがヨーロッパリーグへ…
    カップ戦にはロマンがあります
    残留争いとfaカップ見ているファンは面白いでしょうね 当事者になれと言われたら嫌ですけど

  3. makoto より:

    やまさん>
    いや、観てますよ、かなり。「オコレ、クラークが主力ではない」などとは書いてはおりません。彼らとハットン、シソコが基本ではあるものの、負傷や退場による出場停止がなければ、ロン・フラールはもっと使われていたでしょう。ギブンについても、「今日はグザンではなくギブン」と書いただけです。若い選手をベンチにいれざるをえず、ベンテケが使えず、最終ラインにバグナを駆り出さなければならない状況を厳しいと思い、そう書きました。決して現状とずれていないのは、よく読んでいただければわかると思います。

    開幕前に、「今季のアストン・ヴィラは昨季よりもさらにやばいのではないか」と降格候補と書いていたぐらいなので、中堅クラブのなかでは相当、気にしてみています。過去の記事に目を通していただければ、一定ご理解いただけると思います。

    ほにゃほにゃさん>
    そうですね。ここまできたら、ぜひ決勝に顔を出してもらいたいのですが、準決勝でリヴァプール、アーセナル、マンチェスター・ユナイテッドから2つつぶれるというのももったいないお話です。

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