ジェラードにこだわり過ぎたリヴァプール、FAカップ制覇の夢は準決勝に散る!
6分、左のコウチーニョからの丁寧なグラウンダーに合わせたのはジョー・アレン。最近のプレミアリーグでは、彼の攻め上がりがリヴァプールの攻撃に厚みをもたらしています。8分に縦に突破を図ったのはグリーリッシュ。ヴァイマン、シンクレアを抑えて大事なゲームでスタメンをゲットしたアイルランドU-21代表の19歳は、決定的な仕事ができるでしょうか。12分、クレヴァリー、デルフとまわったボールをベンテケがヒールで落とすと、最後はエンゾグビアの左足ミドル。元気なアストン・ヴィラの攻撃陣に対して、エムレ・ジャン、デヤン・ロブレン、出場停止が解けたシュクルテルはマークを外すわけにはいきません。
中盤で組み立てられないリヴァプールに対して、デルフの配球からサイドから崩そうとするアストン・ヴィラが優勢です。26分、アストン・ヴィラのCBベイカーが負傷し、オコレにチェンジ。負傷者が多く、最終ラインの連携のクオリティを上げられなかった今季のヴィラを象徴するようなアクシデントです。すると30分、リヴァプールがCBが代わったばかりのヴィラの隙を突きます。コウチーニョ、ヘンダーソン、スターリングとつないだ最初のアタックは不発に終わるも、マルコヴィッチのインターセプトから組み立て直してスターリングをポストに使った攻撃から、抜けたのはコウチーニョ。オコレとバグナは、見事に間に入られてしまいました。GKシェイ・ギブンのポジションをみて冷静に放った10番のシュートがオコレに当たってゴールに飛び込み、レッズ先制です。
このまま終わるわけにはいかないアストン・ヴィラが意地をみせたのは36分。最初の仕掛け人も、最後のお膳立てもデルフでした。グリーリッシュにボールを預けて左サイドを走ったイングランド代表MFは、縦パスを受けるとベンテケに完璧なラストパスを転がします。ダイレクトの右足インサイドで合わせたベンテケの一撃に、GKミニョレは触るのが精一杯。40分、左サイドを突破したスターリングからパスをもらったコウチーニョのシュートはバーの上。前半を1-1で終えたゲームは、互角の展開といっていいでしょう。
後半開始から、マルコヴィッチに代えてバロテッリを投入したレッズですが、最初のチャンスはヴィラでした。52分、右からのクロスを叩いたベンテケのボレーはやはりデンジャラス。直後のアストン・ヴィラの勝ち越しゴールは、前半と同じ3人から生まれました。54分、中盤でフリーになったデルフのパスをベンテケがヒールで落とすと、拾ったグリーリッシュが前線に飛び出したデルフに完璧なパス。切り返しでエムレ・ジャンをかわしたデルフがゴール左隅に叩き込んで1-2。レッズ、いよいよピンチです。61分、グリーリッシュとベンテケのコンビネーションから、最後はリチャードソンが狙うもミスキック。レッズに同点ゴールの匂いはなく、ヴィラには追加点への期待が漂っています。
71分、ジェラードのCKからの攻撃が不発に終わると、アストン・ヴィラがカウンターで3対2。バクーナのラストパスに抜け出しかけたベンテケは、アルベルト・モレノがぎりぎりのタックルでストップします。78分、ロジャース監督はジョー・アレンをグレン・ジョンソン。リヴァプールはスターリングやバロテッリがオフサイドを取られるシーンが多く、ゴールはおろかシュートにすら持ち込めない時間が続きます。
デヤン・ロブレンがCKをヘッドで合わせたのは86分。その1分後には、ジェラードのヘディングがゴールラインに立っていたリチャードソンにクリアされます。87分にバロテッリがオフサイドを取られたシーンは不可解でした。あれだけはっきり最終ラインの手前にいれば、ラインズマンはわかるはずです。遅すぎた追加タイムのリッキー・リー・ランバート投入も機能せず、リヴァプールとジェラードの夢は準決勝で潰えました。
うーん、ロジャース監督、やり過ぎましたね。後半に見せたジェラードアンカー、エムレ・ジャン中盤という布陣は、秋に試行錯誤していたときの形であって、ここぞというときの切り札ではなかったのではないでしょうか。百歩譲って、ジェラードの後ろからのフィードを活かしたかったのであれば、縦へのボールを懐に収められるリッキー・リー・ランバートの起用は遅かったと思います。
普段着のサッカーができなかったリヴァプールは、自滅に近い形でFAカップを諦めることになりました。決勝はアーセナルVSアストン・ヴィラ。この結果に青くなっているのはレッズだけでなく、プレミアリーグ残留を争っているクラブにヨーロッパリーグ出場権を持っていかれかけているトッテナムとセインツでしょう。ベンテケとデルフ、グリーリッシュの素晴らしいプレイをリスペクトしつつ、「FAカップに集中する」と語っていたロジャース監督に、釈然としない気分が残る一戦でした。
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更新ご苦労様です。
何とも自滅なゲームでした。
とにかくボールが繋げない、シュートが打てない、、、。これでは勝てません。
ジェラードにこだわる気持ちは分かるのですが、そこは勝負に徹して欲しかった、、、(徹したとは思いますが、、、。)
シーズン中も出てましたが、こだわりすぎるんですロジャーズは。
うーん、、、このような形で終わるのは納得がいきませんね、、、。
更新ご苦労様です。
実況の野村氏が「レギュレーションが変更されアーセナルが優勝した場合、リーグ6位のチームがEL出場権を獲得する」
と話されていたように記憶しておりますがどうなのでしょうか。
Mackiさん>
最後の1枚は「ジェラードout、ボリーニin、ヘンダーソンとアレンの2枚を中央」のほうがよかったのではないかと思いました。空回りしてしまいましたね。
一人さん>
FAカップ優勝、キャピタルワンカップ優勝、プレミアリーグ5位がEL出場。FAカップ優勝クラブがCL出場の場合は準優勝がEL出場、キャピタルワンカップ優勝がCL出場の場合はプレミアリーグ6位がEL出場。さらに、FAカップ優勝クラブが既にEL出場権を持っている場合はプレミアリーグ7位が繰り上げでEL出場というレギュレーションという認識です。今季の場合は、
1)キャピタルワンカップ優勝=チェルシー
→CL出場ほぼ確定、ELは6位まで
2-A)FAカップ決勝がアーセナルVSリヴァプールの場合
→両者がプレミアリーグ5位以上ならば、どちらが勝ってもプレミアリーグ7位がEL出場
2-B)FAカップ決勝がアーセナルVSアストン・ヴィラの場合
→アーセナルが4位以内でCL出場の場合、決勝の結果がどうなってもアストン・ヴィラがEL出場、
プレミアリーグ5位、6位と合わせて3チーム出場となり、7位はアウト
となり、Aの場合はトッテナムとセインツは7位以内に入れば両方EL出場決定だったのに対して、Bになるとセインツとトッテナムは6位を争わなければならなくなるので、その旨書いた次第です。最近レギュレーションが変わったという話は聞いておらず、これで間違いないと思われます。
すみません、少々訂正です。
「さらに、FAカップ優勝クラブが既にEL出場権を持っている場合」
→「さらに、FAカップ優勝・準優勝クラブがいずれもCLかEL出場権を持っている場合」です。
来季からELのレギュレーションは変わりますよ
FA杯の準優勝チームであることを条件にEL権が与えられることは来季以降ありません
決勝でビラが負ければ、7位がEL参加です
あのーさん>
情報、確認しました。ご指摘ありがとうございます。UEFAがNGを出したのですね。記事を一部、訂正させていただきました。
ウィガン等をヨーロッパの大会に出すよりプレミア上位クラブを出した方が良い成績を残すだろうという考えの元レギュレーションは変更されているはずです。
あとこの日のアストンビラのGKはグザンではなくシェイ・ギヴンでした。
名無しさん>
トリガーは、UEFAのNGが出たということらしいですが、複雑なレギュレーションの解消、長期のリーグ戦で強かったチームかカップ戦を勝ち切ったチームがELに出ることによるプレミアリーグ勢のUEFAランキング向上など、いいことのほうが多そうですね。シェイ・ギブンの件、ありがとうございます。カップ戦ですからね。弾みでグザンと書いてしまっていました。訂正させていただきました。