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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

完璧アーセナル!今季の最後を飾るにふさわしい4発で、FAカップ連覇達成!

GKシュチェスニー、CBメルテザッカー、CFウォルコットというスタメンにいささかの不安を感じながら、日本時間5月31日1時30分、FAカップ決勝戦が始まりました。アーセナルとアストン・ヴィラは、プレミアリーグ3位と17位の対戦。お互いが持てる力を出しきったら、ヴェンゲル監督が6回めの優勝を果たすことになるはずですが、そうは簡単にいかないのがサッカーであり、聖地ウェンブリーでの決戦です。序盤からボールに対しての出足がいいのはアストン・ヴィラ。DFラインの裏を狙うベンテケは、見るからに調子がよさそうです。

7分、左でモンレアルのパスを受けたカソルラが縦に持ち込みクロスを入れるも、フラールとリチャードソンがカバー。ヴィラの激しいチェックに苦しみながらも、ガナーズのパス回しのリズムは悪くありません。狙いどころは、カソルラがドリブルで優位に立つ左サイド。ラストパスが中に通らず、シュートは打てないものの、10分を過ぎてからは完全にアーセナルペースです。14分、FKをペナルティエリア左で受けたアレクシス・サンチェスのふわりとしたクロスを、コシールニーがヘッドで狙うとGKシェイ・ギヴンがセーブ。1分後に右をえぐったベジェリンのグラウンダーにニアで合わせたラムジーは、惜しくも外。20分にエジルのパスからゴール前に抜けたラムジーはシュートを打ち上げてしまい、アーセナルは押しながらも先制できません。

24分に左から上がり、ラストパスを通したのはエジル。フリーだったウォルコットの右足インサイドはリチャードソンの必死のクリアに阻まれます。ポジショニングが抜群にいいコクランがヴィラの攻撃の芽は摘んでいるものの、アーセナルにとっては嫌な展開でしたが、39分、ヴェンゲル監督のチームは素晴らしい展開から先制点をものにします。

カソルラからの長いボールが左に流れていたウォルコットにつながると、縦に走り込んでもらったモンレアルが浮き球のクロス。アレクシス・サンチェスが競り合って落としたボールに珍しく左足を振り抜いたのは、仕掛けの起点となった背番号14です。これは素晴らしいボレーでした。当たってきたDFとGKシェイ・ギヴンの間を抜いたニアへの一撃は、ここしかないピンポイント。アーセナルが前半を1-0とリードしてハーフタイムです。

解説は、ラムジーが中に入り過ぎとコメントしておりましたが、左サイドで組み立てている間に逆サイドのアタッカーが中に絞るのは、ひとつの効果的な戦術でしょう。ベンテケはシュートゼロ、ヴィラ全体でも1本に抑えたコシールニー中心の最終ラインは完璧。後半、早い時間に追加点が入れば決まりだと思いながら観ていると、その瞬間は開始4分に訪れました。49分、アレクシス・サンチェス、スーパーゴール!フェイントでマークを外した直後に思い切って狙ったシュートは、20メートル以上あったのではないでしょうか。予期せぬタイミングでの一発、揺れるボールに好守のシェイ・ギブンもお手上げ。バーを叩いたボールがネットを揺らすのを見届けたグーナーは一斉に絶叫。アストン・ヴィラのタイトルへの夢は風前の灯です。

55分に右からのクロスをウォルコットが合わせ、ギヴンが弾いたボールをアレクシスが押し込んだ3発めはオフサイド。ヴィラの攻撃は散発の単調なクロスしかなく、アーセナルのワンサイドゲームが続きます。60分、エジルのスルーパスに反応し、GKと1対1となったウォルコットのシュートはギヴンがブロックしますが、62分のCKはベンテケがかぶったボールをフリーのメルテザッカーが完璧なヘディングシュート。これがゴール左に吸い込まれて3-0。アーセナルのエキサイティングな攻撃は止まりません。

75分、カソルラのロングパスに抜け出したウォルコットが、シェイ・ギヴンの手前でシュートを右に大きく外すと、CFはここでお役御免。エジルとともにピッチを離れ、ジルーとウィルシャーが登場です。80分、途中出場のアグボンラホルがドリブルで突破し、ペナルティエリアのすぐ外でコクランに倒されたシーンがヴィラの最後のチャンス。結局シュートを打てなかったベンテケは、セットプレーでメルテザッカーをマークするだけで終わりました。

終了直前の4点めは、シーズンを締めくくるにふさわしいゴールでした。途中出場のウィルシャーから、最後にピッチに入ったチェンバレンにつないでグラウンダー。左足アウトのワンタッチであっさり決めたのは、プレミアリーグでアレクシス・サンチェスとともにゴールを積み上げてきたジルーです。アーセナル、パーフェクト!昨季とは一転、堂々の完勝です。今季のFAカップは、彼らのためにある大会でした。

私のスタメンへの不安はまったくの取り越し苦労でした。ヴェンゲル監督の采配は素晴らしかったと思います。目に見えるヒーローはウォルコットやアレクシス・サンチェスですが、いつもより下がり目のポジションから効果的な長いパスを再三通していたエジルや、中盤で守備を落ち着かせていたコクラン、攻守のバランスを取りながら決定的なパスを何度もフィードしていたカソルラにも拍手を送りたいと思います。ヴェンゲル監督、選手のみなさん、グーナーのみなさん、FAカップ連覇おめでとうございます!

これにて、2014-15シーズンのプレミアリーグと国内カップ戦がすべて終了いたしました。今季も本ブログに目を通していただき、本当にありがとうございました。オフシーズンも休まず、プレミアリーグに関するさまざまなニュースをお届けしてまいりますので、引き続き、よろしくお願い申し上げます。

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“完璧アーセナル!今季の最後を飾るにふさわしい4発で、FAカップ連覇達成!” への14件のフィードバック

  1. ヒロト より:

    ブログ今季もお疲れさまでした。
    おそらく全ての記事に目を通させていただいたのではないでしょうか。
    本当にありがとうございます。
    シーズン通してモウリーニョの嫌味に悔しい思いをした一年でしたが、これで誰が何と言おうたも2シーズン連続のタイトル獲得です。
    いい夜でした。

  2. アーセナル より:

    コクラン誇らしい!

  3. 新参 より:

    シーズン締めくくりとしては最高の出来でした。
    来シーズンはピンポイント補強をして、今季のサッカーを継続していく路線で行って欲しいです。
    個人的には大舞台の経験を持つ闘志あふれる選手、守備力と展開力に優れた選手が欲しいですね。あ、ビダル…あ、シュネデルラン…

    来シーズンもアーセナルの記事を楽しみにしてます。今シーズンお疲れ様でした。

  4. 神の子 より:

    一年間更新お疲れ様でした!長年無冠だったチームがFAカップ二連覇…。感慨深いです。やはり今日のアストンビラのようにハイラインを敷いてくるチームにはウォルコットCFは多いに有効ですね。前までCFの補強は必須と考えていたのですが相手の戦術によってジルーとウォルコットを使い分ければ十分な気もします。それなら中盤の底やGKなどに補強費が使えます!希望は、チェフとビダルの二人ですが…。そんなワールドクラスの二人が来てくれるでしょうか…笑

  5. サッカー小僧! より:

    更新お疲れ様です。

    スタメンを見た時、たぶん監督ならこうするだろうな…と予想はしていたものの、自分もやはり不安を感じずには
    いられませんでしたが、無事杞憂に終わってよかったですし、2年連続タイトルを取れて、よかったです。

    前半点がとれそうで取れない嫌な展開でしたが、だからこそウォルコットの先制が大きかったですね、
    ウォルコットは、ただ裏抜けを狙うのではなく、以前より前線で動き回るようになったように感じます。
    確かに、スピード一辺倒よりこういうスタイルで戦った方が、相手も嫌でしょうし、怪我も起こりにくいでしょう。
    ただ、上を目指すなら、そしてジルーを押しのけて1トップを張りたいというのなら、あえて注文をつけたい、
    決定力を上げろ!と、後半、3,4度ほど点を決めるイージーなシーンがありました、決まる決まらないは
    GKにもよりますが、やっぱり枠には飛ばさないと…と思いますね、スーパーなゴールを決めたサンチェスや
    後半出てきて、最後ワンタッチであっさりゴール決めたジルーには、まだまだ及ばない、と思います。
    とはいえ、管理人さんがこの前言われていたように、ウォルコットに復活の兆しが見て、シーズンを
    終えれたことは、アーセナルにとっては、マイナスにはならないので、ポジティブにとらえるべきことでしょうね。

    試合は、ヴィラがベンテケに合わせることに固執してくれていたので、アーセナルとしてはやりやすかった
    でしょうね、もっとサイドをスピードで付きながら、攻撃されると厄介だったと思いますが、まぁこの試合は
    アーセナルは、序盤からうまくペースを握った、と思うので、あとは点がとれるかどうか、だった、と思います。
    昨シーズンとは違い、安心して見れたのは、リーグ戦3位込みで、わずかながら進歩している、と思いたいですし、
    シーズンオフ、アーセナルがどのような補強をするのか、例年以上に期待を持って、見守りたい、と思います。

  6. 実はグーナー より:

    最高の試合でしたね
    先制点のウォルコット
    スーパーゴールのサンチェス
    ボールを失う事がなかったエジル
    そんな中でこの試合もコクランが凄かった
    僕は高校までずっとDMFだったからついついDMF視点で試合を観てしまう訳だけどコクランのポジショニングやプレスかけるタイミングといった守備センスは天性のもの
    それに加えてボール全く失わない上に常に献身的でこれはもうキャプテンに相応しい
    補強は必要だけどコクランを殺すような補強だけはして欲しくない
    それにしてもフランスのDMF輩出力はホント凄いなぁ

  7. のり より:

    予想的中でしたね!
    疑ってしまい申し訳ありませんでした( ´▽`)

    今季も楽しませてもらいました。
    これからも更新応援しております。

  8. 一人 より:

    更新ご苦労様です。
    この試合を見てつくづくホームのモナコ戦はもったいないと思ってしまいます。
    コパアメリカの影響がどうなるか、来シーズンはプレミア勢のヨーロッパでの飛躍を願います。
    今後も更新よろしくお願いします。

  9. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    まずはグーナーの皆様連覇おめでとうございます。
    DFは見事なまでにベンテケを押さえ込み仕事をさせず、攻撃陣は小気味の良い感じで攻める。見ていて面白かったです。連覇に相応しいチームだと思います。しかしサンチェスのミドルは素晴らしかった!

  10. プレミアリーグ より:

    コクランは素晴らしいです!ジウベルトの様になって欲しいですね(もうなっている?)。
    あとはウォルコットとジルの2人で、アンリと同じぐらい点を取ってくれれば…。

    今シーズンもありがとうございました!
    これからも見させて下さい!

  11. makoto より:

    ヒロトさん>
    それは非常にうれしいです。ありがとうございます。堂々の連覇でした。

    アーセナルさん>
    よかったですね!

    新参さん>
    コクラン&カソルラのポジションにひとり、CBひとり、あわよくば最前線ひとりでしょうか。他は要らないですね。

    神の子さん>
    そうでした、チェフがいましたね。巷でいわれている18億ならGO!でしょう。

    サッカー小僧!さん>
    おっしゃるとおり、ウォルコットは最初の一発はよかったものの、後半は決めてほしかったですね。アレクシス・サンチェスとジルーはさすがでした。

    実はグーナーさん>
    コクラン、ポジショニングが抜群でした。ケガさえなければ不動のレギュラーです。

    のりさん>
    いえいえ。今後とも、よろしくお願いいたします。

    一人さん>
    いやー。あれは本当にもったいなかったですね。いやー。

    Mackiさん>
    そうなんです。守備もまた素晴らしかったです。シュチェスニーには、1試合に1度は「出たら触れー!」と叫んでしまうのですが、集中していてよかったと思います。

    プレミアリーグさん>
    コクラン、この半年は文句なしでした。来季、シーズンを通じて活躍したら一流の仲間入りですね。今後ともよろしくお願いいたします。

  12. ガナユ より:

    いつも楽しく見させて頂いております
    ウォルコットのワントップは正直私としては不安が残り、ジルー欠場時の穴を埋めるには至らないのではと考えております
    プレミアに詳しいブログ主様に伺いたいのですがはアーセナルの補強ポイントは何処になると思われますか?

  13. ガナユ より:

    コメントの編集が出来ないので連投コメントすいません
    コクラン&カソルラとCBの次点にFWが来る理由をもし良ければ教えて下さい

  14. makoto より:

    ガナユさん>
    私が考えるアーセナルの補強ポイントは以下です。
    1)メルテザッカーが弱点になっている試合が多いと思います。ガブリエウがレギュラーになるまでフィットすると考えれば、補強ポイントは「コシールニー不在時にクオリティを下げないCB」といういい方でしょうか。
    2)カソルラ、コクラン、ラムジーともうひとりでセントラルをまわせるといいと思います。ビダルやシュナイデルランのような守れるタイプですね。
    3)最前線は、点取り屋タイプがいないことが気になっています。高さがある選手のほうがオプションとして機能すると思われるので、ペドロよりはジャクソン・マルティネスのようなタイプ。今季のマンチェスター・シティ戦のようなカウンターを戦術として使うなら、ペドロでもおもしろいと思います。彼のシュートのうまさを考えれば、ウォルコットの倍は点を獲るでしょうし、同じ試合数ならジルーより決めるかもしれません。

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