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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

小さなスタンド、狭い通路、人工芝…アーセナルが難しい試合をクリアしてベスト8進出!

プレミアリーグVSチャンピオンシップの対戦といわれると、「そこまで実力差のある試合を観るのか?」と躊躇することもありますが、この試合は逆に観たくなります。アーセナルが、カンファレンス・ナショナル(5部相当)所属のクラブのスタジアムに乗り込むシーンなど、この先50年ないかもしれないのですから。狭いロッカールームから溢れるスター選手たち。ボイラーが故障しており、2月というのにシャワーは水しか出ないそうです。サットンのドスウェル監督は不動産会社オーナーで指揮官としては無給、GKのロス・ワーナーは額縁屋さんにお勤めとのこと。FAカップ5回戦、アーセナルと戦うサットン・ユナイテッドの選手とサポーターにとっては、ベンチにいる生のアレクシス・サンチェスをわがスタジアムで観られるだけで、大盛り上がりなのではないでしょうか。

ヴェンゲル監督のスタメンは、メンバーを落としたというよりは、今後のプレミアリーグやチャンピオンズリーグを見据えた起用といったほうがいいでしょう。GKオスピナ、DFガブリエウ、ムスタフィ、ホールディング、モンレアル。エルネニーとジャカがセントラルに入り、イオビ、ジェフ・レーヌ=アデレード、ルーカス・ぺレスが2列め。ワントップにはウォルコットが入るのでしょう。ピッチに立つ11人に加えて、ベンチに戻ってきたドビュッシーとメルテザッカーにも注目です。老朽化が進むボロ・スポーツグラウンドは、人工芝です。プレミアリーグのリヴァプール戦を控えるアーセナルの選手たちは、失点だけでなく負傷にも気をつけなければなりません。

最初の10分はまったく互角の展開。アーセナルが最初に放ったシュートらしいシュートは、16分にクロスのクリアを狙ったエルネニーのミドルでした。イオビやモンレアルが左サイドを突破するシーンが目立ちますが、サットン守備陣がよく守ってます。20分を過ぎても0-0。ホームチームがどこまでがんばるのかとテンションが上がりかけていたのですが、27分に均衡が崩れました。ジャカのアウトサイドにかけた素晴らしいパスで、右サイドのルーカス・ぺレスが駆け上がると、中に持ち込んだストライカーのグラウンダーをウォルコットがヒールで…と思いきや、空振りしたボールがそのままサイドネットに吸い込まれました。ヴェンゲル監督のガッツポーズは、安堵の表現ではないでしょうか。0-1となり、落ち着いてしまったアーセナルは、ゴール前で守る時間が長くなっています。

41分、ガナーズの久々のアタックはカウンター。ウォルコットがドリブルで持ち込み、中に切り返して放ったシュートがDFに阻まれると、これを拾ったイオビの一撃もマーカーの腿に当たって左に逸れていきます。終了間際のオスピナのキックミスは危険でした。左から持ち込んだベイリーのシュートはニアに逸れましたが、クロスに打たれていたらハーフタイムはイーブンだったかもしれません。前半の途中に足を痛めて座り込んでいたエルネニーは、チェンバレンに後を譲ったようです。後半も、アーセナルが圧倒的にポゼッションを取り、サットンは縦への長いボールに自らの命運を託します。51分にゴミスがドリブルで仕掛け、モンレアルを振り回したシーンは盛り上がりましたが、結局囲まれてシュートに至らず。55分、ついにホームチームにとって致命的な2点めが決まります。

ルーカス・ぺレス、イオビとダイレクトでつながったボールが左のモンレアルへ。折り返しは中央の守備網にかかってわずかにコースが変わりますが、ファーから入ってきたウォルコットは冷静でした。記念すべき公式戦100ゴールは、左足の強烈なボレー。サポーターの眼に戦い抜く姿を焼きつけたいサットンの選手たちは、必死に反撃します。左からの落としをダイレクトで打ったディーコンの一撃はオスピナの正面。右からのCKで競り勝ったコリンズは、わずかにヘディングが浮いてしまいます。65分にウォルコットのパスを受けたルーカス・ペレスが振り向きざまにミドルを放つと、その直後、中央で前が空いたディーコンの思い切りのいい右足ミドルがクロスバーを叩きます。74分、ヴェンゲル監督はレーヌ=アデレードとウォルコットを下げ、メイトランド=ナイルズとアレクシス・サンチェスを投入。残り時間は15分を切りました。

82分、アレクシス・サンチェスのパスをボックス手前で受けたチェンバレンのシュートは決まらず。さらに右から持ち込んでシュートコースをこじ空けたアレクシスは、チップキックを打ち上げてしまいます。もう、アーセナルの勝利は動きません。サウスロンドンを沸かせたおとぎ話が終わろうとしています。0-2は大健闘といっていいでしょう。アーセナルは、テンションを緩めずに戦うのが難しかった試合をクリーンシートで畳んで、ベスト8進出を決めました。

これはこれで、いいでしょう。プレミアリーグにはない人工芝、改修が必要なレベルの設備、簡単に観客が侵入できる小さなスタジアムの景色。慣れないことばかりで、相手チームよりも負傷のほうを怖れていたように見えたプレミアリーグのトップクラブにとっては、今日は勝つことがすべてでした。おつかれさまでした。やりにくかったでしょう。準々決勝もカンファレンス・ナショナルのチームとの対戦となりますが、エミレーツならよりスムーズに戦えるのではないでしょうか。サウサンプトンがEFLカップで決勝に進出したために試合が流れ、ぽっかり空いた11日間の休みを有意義に過ごしていただいて、リヴァプール戦でいいサッカーを見せていただければと思います。

【FAカップ準々決勝組み合わせ】
チェルシー VS マンチェスター・ユナイテッド
ミドルズブラ VS ハダースフィールドorマンチェスター・シティ
トッテナム VS ミルウォール
アーセナル VS リンカーン

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“小さなスタンド、狭い通路、人工芝…アーセナルが難しい試合をクリアしてベスト8進出!” への2件のフィードバック

  1. ヤンガナ大好き! より:

    このカップ戦、見逃してしまったので、観戦レポート、本当に助かりました!後からロング動画でも確認しましたが、本当に東京郊外にありそうな人工芝のサッカー場でしたね。勝ててホッとしましたが、サットン、敵ながら最後まで攻めの姿勢を崩さずアッパレでした。

    ガナーズでは、ルーカス、モンレアルがサイドを制していて良かったと思いました!別の報道では、ルーカス、起用法に不満なようですが、今日の調子ならリーグ戦でも見たいですね。エルネニーはアフリカネイションズの疲れもあって怪我の具合が気になりますが、交代で入ったチェンバレン、三列目で日に日にフィットしているようで、今期最大の発見かも知れません。

    週末はリーグ戦の無いため、他チームの試合を観戦しつつ、レッズ戦に向け故障者の状況や選手達のコンディションを練習で確認したいと思います。

  2. makoto より:

    ヤンガナ大好き!さん>
    西が丘を思い出しました(笑)ルーカス・ペレス、残ってほしいです。チェンバレンは、目標カソルラと腹くくってがんばったほうがいいかもしれません。

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