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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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FK、PK、CK、スーパーミドル!少ないチャンスを活かしたチェルシーがスパーズを振り切り決勝進出!

ジエゴ・コスタもアザールもいないチェルシーと、ほぼベストメンバーのトッテナム。プレミアリーグの1位と2位で争うFAカップ準決勝は、ミッドウィークのサウサンプトン戦を気にしたコンテ監督がメンバーを落としてきました。GKは負傷が癒えたクルトワ、3バックにアスピリクエタ、ダヴィド・ルイス、ナタン・アケ。WBにマルコス・アロンソとヴィクター・モーゼス、セントラルにはカンテとマティッチ。前線はペドロ、バチュアイ、ウィリアンです。年明けのプレミアリーグでチェルシーに勝っているポチェッティーノ監督は、GKロリスの前にアルデルヴァイレルト、フェルトンゲン、エリック・ダイアーの3枚を配置。サイドにトリッピアーとソン・フンミン、中にワニャマとデンベレ。エリクセンとデル・アリの前にハリー・ケインという布陣です。

試合は、いきなり5分に動きました。ボックス手前やや左からのFK、キッカーはウィリアン。壁をぎりぎりで越えて右隅に飛んだキックに、ロリスは触れませんでした。8分には、敵陣深くまで追ったカンテがインターセプトに成功し、右から突破。白い3バックが必死に戻り、何とかシュートを打たせず切り抜けたものの危ないシーンでした。早い時間に追いつきたいスパーズですが、前から厳しくプレスをかけてくるチェルシーに自由を奪われています。カンテは15分にも右から素晴らしいクロスを上げ、ノーマークのバチュアイがヘディングシュート。これはロリスが左に飛んでキャッチしますが、今までのウェンブリーと同じように、スパーズ守備陣は落ち着きを欠いているように見えます。

しかし17分、エースの素晴らしい一撃でスパーズが同点に追いつきました。右からのCKのクリアがソン・フンミン、トリッピアーとつながると、エリクセンが左足で入れた低いクロスをハリー・ケインが驚愕のバックヘッド!左のサイドネットに向かったボールに、クルトワの右手は届きません。1-1のイーブンになると、スパーズがボールを支配。ソン・フンミンやデル・アリの左サイドからの仕掛けで、ヴィクター・モーゼスは引かされています。チェルシーの最終ラインはスパーズのラストパスを落ち着いてさばきながらも、縦に入れたボールをことごとく奪取され、いい形でハーフラインを越えられません。36分、フェルトンゲンのクロスにエリック・ダイアーが飛び込んで頭でコースを変えますが、惜しくも右にアウト。40分にはデル・アリが敵陣でインターセプトに成功し、右でボールを受けたエリクセンがミドルを放つとクルトワの正面です。

ほとんどチャンスがなかったプレミアリーグ首位チームが、幸運なゴールをものにしたのは42分でした。カンテが右のヴィクター・モーゼスを走らせたボールに対して、明らかに触れないのにスライディングしたソン・フンミンは不用意でした。サイドアタッカーは7番の足に引っかかり、PKを示すホイッスル。ロリスの動きをぎりぎりまで見たウィリアンが逆を突き、前半は2-1で終わりました。圧倒的に押しながら、リードを許したトッテナム。チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグで4戦1勝の鬼門ウェンブリーでは、試合運びのまずさが目立ちます。

後半も、サイドで優位に立つトッテナムのペース。52分の同点ゴールは、エリクセンのエクセレントなプレイで決まりました。左足でゴール前に入れたロングフィードは、ラインの裏に走り込んだデル・アリにぴったり。プレミアリーグ16ゴールのプレーメイカーがきれいに合わせた左足のハーフボレーに、クルトワはなす術がありません。時折チェルシーが仕掛けるカウンターは、フィニッシュに持ち込めず。デンベレやデル・アリのミドルシュートは、チェルシーの最終ラインがコースを切って枠を外させています。

61分、コンテ監督が勝負に出ました。バチュアイとウィリアンが下がり、ジエゴ・コスタとアザールが登場。アザールが気になったのか、あるいは攻撃的な意図か、ポチェッティーノ監督は68分にカイル・ウォーカーを投入し、ソン・フンミンがいた左にトリッピアーをまわします。圧倒的なスパーズの時間。アザールのドリブルをカットしたかと思えば、中盤で左右にボールを散らすデンベレは、2人いるかのような運動量です。

ところが75分、勝ち越したのはまたもチェルシーでした。右からのCKをカイル・ウォーカーがクリアすると、ボックスの外でトラップしたアザールの視界に、右のサイドネットへのコースがまっすぐ空いていました。左足一閃、誰も触れず3-2!これでエンジンがかかったアザールは、ペドロと代わったセスクとのコンビで決定的な4点めを演出します。ゴールライン際に走り込んだセスクとのワンツーで中に入ったアザールが後ろに戻すと、ダイレクトで左足を振り抜いたマティッチの一撃にロリスは全く動けず。バーの下を叩いたスーパーゴールにウェンブリーは騒然としています。

アザールは、この後もスパーズ守備陣を翻弄します。84分に左からロリスを抜き去った決定機は、グラウンダーをもらったマルコス・アロンソのダイレクトショットをアルデルヴァイレルトがかろうじてブロック。86分にアザールのパスを受けたセスクが右から浮かすと、フリーで叩きつけたジエゴ・コスタのヘッドは右に逸れていきます。追加タイムにハリー・ケインが狙った直接FKは、クルトワがファンブルして後ろにこぼすもバックスピンがかかったボールはラインの手前で止まります。

4-2、終わってみればチェルシー完勝。トッテナムが押している時間が長かっただけに、4失点の守備陣を咎めたくなるものの、ソン・フンミンの判断ミス以外はどのシュートもなかなか見られないスーパーショットばかり。2度まで追いついて試合をおもしろくした敗者のゴールも、いずれもチェルシー守備陣を責めるのが酷な素晴らしいシュートでした。プレミアリーグ7連勝で4差に迫ってきたライバルをつぶしたこの勝利は、チェルシーにとっては大きいでしょう。スパーズの久しぶりの敗戦が単なる1敗か、あるいは勢いと自信までくじかれた惨敗かは、ミッドウィークのクリスタル・パレス戦と日曜日のノースロンドンダービーで明らかになります。いやいや、とにかくおもしろい一戦でした。チェルシーサポーターのみなさま、ファイナル進出おめでとうございます!(ネマニャ・マティッチ 写真著作者/Aleksandr Osipov)

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“FK、PK、CK、スーパーミドル!少ないチャンスを活かしたチェルシーがスパーズを振り切り決勝進出!” への4件のフィードバック

  1. おはむ より:

    強すぎでしょ!!最近の敗戦はなんだったんだ笑

  2. bbfe より:

    なんというかチェルシーらしい勝利という感じですね
    試合全体で見ると相手に押し込まれてる感じなんですが気づいたら勝ち越しててきっちり勝ってしまうという要所要所での勝負強さは凄いです

  3. makoto より:

    おはむさん>
    あらためて、シュートがうまい選手の集まりなのだなと感服いたしました。

    bbfeさん>
    チャンスで外さないですね。トッテナムの守備陣は、そんなに悪かったわけではないのですが。痛みなく斬られたような試合でした。

  4. プレミアリーグ大好き! より:

    運がない日ってあるんだなってポチェッティーノも言うくらいだし、ここで折れるようなチームではない筈(去年の悔しさもあるし)なので最後まで戦い抜いてほしいですね。
    ホワイトハートレーン最後のノースロンドンダービーがあるのに折れる訳がないってくらいには思ってます。

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