偏愛的プレミアリーグ見聞録

本日は、カラバオカップ準々決勝の3試合が開催されます。アーセナルVSクリスタル・パレス、ニューカッスルVSブレントフォード、サウサンプトンVSリヴァプール。こちらでも優勝をめざすミケル・アルテタとアルネ・スロットは、年明けのセミファイナルに駒を進めることができるでしょうか。最初のキックオフは、19時30分のエミレーツです。

アーセナルのスターティングメンバーを見ると、ティアニー、キヴィオル、ジョルジーニョ、ヌワネリ、ジェズス、スターリングが名を連ねています。立ち上がりから押していたのですが、4分に先制したのはクリスタル・パレス。ディーン・ヘンダーソンが前線に大きく蹴り出すと、キヴィオルがヘディングでクリアできず、ゴール前に持ち込んだマテタが左足で流し込みました。

プレミアリーグで3試合連続でオープンプレーからのゴールがないアーセナルは、デクラン・ライスとサカがいないセットピースを強力な武器とはいえないでしょう。9分の左からのCKを蹴ったのはトロサール。ニアのティンバーがコースを変えると、ゴールラインのレルマがクリアし、二次攻撃からのジェズスのシュートはディーン・ヘンダーソンがキャッチしています。

直後、スターリングのグラウンダーがフリーのトロサールの足元に入りますが、右足のダイレクトショットは浮いてしまいました。15分に敵陣でジェズスから奪ったイスマイラ・サールは、右からドリブルで上がって放ったシュートをラヤにセーブされました。ハーフライン付近からのFKを、エゼが直接狙ったのは20分。ボールは前に出ていたラヤの頭上を越えていきました。

31分にスターリングが左隅を狙ったFKは、ディーン・ヘンダーソンがビッグセーブ。守備にまわると5-4-1になるアウェイチームは寄せが速く、スペースを創れないアーセナルに打てるチャンスはありません。前半は0-1。ポゼッションは71％対29％ですが、シュート数は3対5でオリヴァー・グラスナーが上回っています。

ハーフタイムにトーマスとヌワネリが下がり、ウーデゴーアとサリバ。51分のティアニーのアーリークロスは完璧でしたが、詰めたスターリングの1発めはディーン・ヘンダーソンが体に当て、リバウンドをプッシュした2発めはクロスバーに弾かれてしまいました。同点ゴールは54分。ウーデゴーアの高速の縦パスをボックス右手前で受けたのは、ガブリエウ・ジェズスです。

チャロバーをあっさり抜いてから、GKの飛び出しをかわすチップキックまでの淀みない動きは、トップフォームを取り戻したかのようです。グラスナー監督は、59分にエンケティアと鎌田大地を投入。マテタとエゼの交代は、週末のプレミアリーグでの再戦を見捨えた策でしょうか。62分のレルマのミドルは、ラヤが落ち着いてキャッチしています。

63分の決定機も、ジェズスです。左のトロサールが最終ラインと並んでいた9番の足元に出すと、ラクロワをかわして打った右足アウトのフィニッシュは、好調のGKがかろうじて手に当てました。70分にピッチに座り込んだティアニーは、ルイス＝スケリーにチェンジ。スターリングもここでアウトとなり、右サイドはブカヨ・サカです。

ウーデゴーアからティンバー、サカと右サイドでつながったのは73分。カットインしたサカが、右に流れたジェズスにきれいなスルーパスを通しました。フリーで左隅に打った強烈なシュートがネットに突き刺さり、ついに逆転。80分の3点めは、自陣右サイドで奪ったカウンターでした。ウーデゴーアの鋭いスルーパスが右に入り、ハーフラインから飛び出したジェズスは独走です。

ボックスに入ったストライカーは、11ヵ月の不振をすべて消し去るように思い切り左隅に蹴り込み、ハットトリック達成。プレミアリーグで15位に沈んでいるクリスタル・パレスですが、3失点を喫したのは初めてです。3-1となった85分、ナサニエル・クラインが右からクロスを上げると、キヴィオルの裏に入ったエンケティアのヘッダーが右隅に吸い込まれました。

スタンドを見ると、思わず拍手してしまったグーナーもいそうです。アルテタ監督の最後のカードは87分、キヴィオルに代えてガブリエウ。5分の追加タイムを守り切ったアーセナルが、3-2でセミファイナル進出を決めました。今日はとにかくガブリエウ・ジェズス。いや、すべてのゴールがキャプテンのサイドから決まったという事実も、押さえておくべきでしょう。

前半はシュート3本で決定機ゼロ。8番と7番が入った後半は、シュート9本とビッグチャンス6本を記録しています。これをきっかけに9番が量産モードに突入したら、「復活の兆しがない今、新たなストライカーを獲得すべき」という2日前の発言を、丁重にお詫びして撤回いたします。これからはカイ・ハヴェルツとジェズスの2トップも、おもしろそうです。

15分遅れで始まったセント・ジェームズ・パークは、トナーリが2発のマグパイズが3-1で快勝。クロスのクリアを叩いた9分のスーパーショットも、43分のCKからのボレーも見事でした。69分のCKからの3点めも、トナーリとルイス・ホールの連打がきっかけです。フレッケンが弾いたボールを右にいたブルーノ・ギマランイスがニアに転がすと、押し込んだのはシェアでした。

91分のカウンターから、エンベウモのグラウンダーを右足インサイドで流し込んだウィサに笑顔はありません。今季プレミアリーグで3位の32ゴールを決めているブレントフォードは、失点30が下から4番めで、23本のシュートを許した最終ラインは今後の改善ポイントです。そして今、セント・メアリーズのセインツVSレッズがタイムアップとなりました。

プレミアリーグで最下位のホームチームに1-2で勝ったスロット監督のチームは、ナイオニ、モートン、遠藤航、エリオットが先発で出場しています。最終ラインはアーノルド、クアンサー、ジョー・ゴメスの3枚？遠藤とモートンが並び、ナイオニ、マック・アリスター、エリオットが前にいる布陣は、3-2-4-1に見えます。

24分の先制ゴールの起点はアーノルド。中央から縦に出したフィードが、ベドナレクに当たってラインの裏に出たダルウィン・ヌニェスの前に落ちる幸運な流れでした。GKと1対1になった9番は、直前でコケたマッカーシーをよく見ており、冷静に脇を抜きました。追加点は34分、遠藤からガクポ、エリオットとつながった中央突破。21歳のレフティのフィニッシュは、右足です。

59分のセインツのゴールは、マテウス・フェルナンデスのパスが遠藤の顔面に当たって左のキャメロン・アーチャーに渡ったチャンス。切り返しでモートンをかわして放ったコントロールショットは、右隅に突き刺さる完璧な弾道でした。サラー、ファン・ダイク、ショボスライをベンチからも外した指揮官は、４人の若手に経験を積ませながら望み通りの結果を手に入れました。

クロップの後を継いだスロットが初年度から戴冠か、アルテタが4年ぶりのタイトルか、69年も国内無冠のクラブの期待を背負ったエディ・ハウか。木曜日開催のトッテナムVSマンチェスター・ユナイテッドの結果がどうあれ、アルテタ監督以外はイングランドで初のトロフィーとなります。引き続き、今夜のゲームと組み合わせ抽選の結果をレポートさせていただきます。