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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

勝負を決めた2つのPK!ウーデゴーアとカイ・ハヴェルツを止めたのはプレミアリーグ出場ゼロの第2GK!

刃物による暴力の撲滅を訴える「No More Red」のキャンペーンを展開するアーセナルは白いシャツに白のナンバー。趣旨賛同のマンチェスター・ユナイテッドも、紺のシャツを纏っています。エミレーツで開催されるFAカップ3回戦は、ピッチの両側にプレミアリーグのような顔ぶれが揃っています。

アルテタの前線はジェズス、カイ・ハヴェルツ、マルティネッリ。アモリムはホイルンド、ガルナチョ、ブルーノ・フェルナンデスを起用しています。ウーデゴーア、ジョルジーニョ、ミケル・メリノに対峙するのはウガルテとメイヌー。アウトサイドのマズラウィとダロトは、忙しい90分になりそうです。

ガナーズのバック4はティンバー、サリバ、ガブリエウ、ルイス=スケリーというゴリゴリのベストメンバー。アウェイチームはデ・リフト、マグワイア、リサンドロ・マルティネスの3枚です。ネトを出さずにラヤで押し通すアルテタに対して、アモリムはアルタイ・バユンドゥル。ウーデゴーアとブルーノがぶつかるサイドの攻防に注目です。

キックオフから10分までは、イーブンの展開。サイドを崩そうとするマルティネッリとジェズスに、マン・ユナイテッドのアウトサイドはしっかり着いており、中央のスペースはウガルテがケアしています。12分のミケル・メリノのロングフィードで、マルティネッリがボックス左にスプリントすると、バユンドゥルが果敢に跳び出してクリアしました。

左サイドのダロトが、自陣ボックスにミスキックを打ち上げたのは16分。ウガルテがうまく処理して事なきを得ました。20分過ぎのシュート数は2対0で、枠内はゼロ。24分のメイヌーのミドルは、左に反応したラヤがキャッチしています。マズラウィが右から仕掛けた38分のチャンスは、グラウンダーを直接打とうとしたブルーノにジェズスが突っかかり、2人とも転倒しました。

スパイクが脱げたブルーノは激怒し、イエローカード。手を挙げて異常を伝えたジェズスは立てず、担架で運ばれていきました。代役は、復帰したばかりのスターリング。追加タイム3分のウーデゴーアのFKはうまく落とせず、クロスバーを越えていきました。前半は0-0、シュート数は3対2、オンターゲットは0対2。後半は、ダロトとマズラウィが左右を入れ替えています。

バユンドゥルが右サイドに蹴ったのは52分。ダロトが競り勝ち、浮いたボールに先着したガブリエウがうまく処理できず、スリップしてしまいました。奪ったガルナチョは一気にカットイン。左から上がったブルーノ・フェルナンデスにラストパスが通ると、完璧なダイレクトショットが右隅に突き刺さりました。

リードされたアーセナルはすかさず反撃。左のマルティネッリがクロスを入れたのは54分でした。マグワイアのクリアがミケル・メリノに当たってこぼれると、カイ・ハヴェルツのシュートはミスキック。右からのアタックで、ウーデゴーアがダイレクトショットをブロックされた58分には、縦パスを収めたホイルンドがガルナチョに落とし、左からマズラウィが抜け出しました

ドリブルで進んだWBはカットインせず、外からフォローしたガルナチョのクロスは止められました。アクシデントが発生したのは61分。ミケル・メリノにスライディングで勝とうとしたダロトは、2枚めのイエローです。同点ゴールを生み出したのは、左にいたマルティネッリ。中央に入れたボールに反応したバユンドゥルは、パンチをコントロールできず、左に浮いてしまいました。

こぼれ球を叩いたガブリエウのボレーは、デ・リフトに当たって右隅へ。1-1となり、猛攻を続けたアーセナルは、69分にPKをゲットします。右からドリブルで上がったスターリングが中央に転がすと、トラップしたカイ・ハヴェルツをマグワイアが左腕でプッシュ。一気に逆転かと思いきや、ウーデゴーアが右に蹴ったボールは、読み切ったバユンドゥルが左に弾き出しました

アルテタ監督は73分にミケル・メリノを下げ、デクラン・ライスを投入。76分にウーデゴーアが中央にふわりと浮かすと、デクラン・ライスはフリーでしたが、ヘディングはややコースが甘く、GKがバーの上に押し出しました。アモリム監督が動いたのは80分。メイヌー、ホイルンド、ガルナチョが下がり、アマド・ディアロ、コリアー、ザークツィーです。

アマド・ディアロが仕掛けた87分のカウンターは、必死に戻ったスターリングがザークツィーのシュートをブロック。1分後、ウーデゴーアが中に入れると、GKの前で胸トラップしたカイ・ハヴェルツのミスタッチがバーを越えていきました。93分のティンバーのロングシュートは、左にアウト。直後、ジョルジーニョのスルーパスでボックス左に出たのはデクラン・ライスです。

クロスに打った左足のシュートは、バユンドゥルが指先で触ってCK。7分の追加タイムで決着がつかず、両者ともに避けたかった延長戦となりました。ルイス=スケリーはここで下がり、トロサールがピッチへ。守備に奔走したウガルテもアウトとなり、左サイドにマラシアが入っています。5-3-1のマン・ユナイテッドは、カウンターに活路を見出すしかないでしょう。

開始3分、ジョルジーニョの縦パスでまたもフリーになったデクラン・ライスのシュートは、デ・リフトが体を張ってストップしました。101分、ティンバーに代わってトーマス。直後、ジョルジーニョがボックス右に縦パスを通し、抜け出したカイ・ハヴェルツがグラウンダーを入れると、デ・リフトと競ったトロサールは押し込めません。

103分、マグワイアがアウトとなりレニー・ヨロ。トーマスのクロスをファーで叩いたデクラン・ライスのヘッドはGKの正面です。延長後半の開始直後、右からゴールに迫ったアマド・ディアロが逆サイドで空いていたザークツィーに優しいラストパス。ニアを狙った一撃は、ラヤのビッグセーブに阻まれました。

ジョルジーニョは股関節を痛めたようで、112分にティアニーにチェンジ。今日のウーデゴーアのCKは山なりのボールが多く、ことごとくクリアされています。最後のセットピースも味方に届かず、タイムアップ。勝負はPK戦に持ち越されました。2人のキャプテンとアマド・ディアロが決めた後、カイ・ハヴェルツの右隅へのキックをバユンドゥルが読み切って左に弾き出しました。

ダヴィド・ラヤは早く動きすぎ、レニー・ヨロとリサンドロ・マルティネスは飛ぶ方向を見切って蹴っています。バユンドゥルは、デクラン・ライスの右隅へのボールに惜しくも触れず、トーマスのキックはど真ん中。4-3から最後のキッカーとなったザークツィーも、冷静にGKを見て左に蹴り込み、マシンガンのゴールセレブレーションでアウェイサポーターを煽っています。

ポゼッションは70%対30%、シュートは26対7、xG(ゴール期待値)は3.22対0.27…!チャンスクリエイト10回という驚異的なスタッツを記録したウーデゴーアは、PK1発で敗戦の理由となってしまいました。カイ・ハヴェルツのミスタッチ、デクラン・ライスのヘッダーときわどい左足シュート。ひとつでも決まっていれば、90分で終わっていたはずです。

アルテタ監督は、相手が10人だったことを忘れていたのでしょうか。デクラン・ライスが入ってから延長戦に突入するまでは、何とかペースを変えたかったバユンドゥルがゴールキックをゆっくり蹴っている時間帯でした。トロサールを投じるタイミングは、相手がリフレッシュしてしまう延長前半の頭ではなく、余裕を失っていた80分過ぎだったのではないかと思います。

相手の指揮官を慎重にさせたという意味でも、ガルナチョとブルーノのカウンターからの先制ゴールは値千金でした。トビー・コリアーは忠実にスペースを埋め、マラシアは積極的なコーチングでチームの集中力を高めてくれました。PK戦に臨むバユンドゥルとラヤの表情を見たとき、いけるような気がしました

アウェイのマンチェスターダービーとアーセナル戦で勝って、リヴァプール戦をドローに持ち込んだのに何で13位やねん!というツッコミは呑み込んで、プレミアリーグ出場ゼロのGKをはじめとする勇敢な選手たちを称えたいと思います。冷静に見れば、大会の初戦を突破しただけですが、今のわれわれに最も必要な「自信につながる結果」を得た貴重な一戦でした。(アルタイ・バユンドゥル 写真著作者/Own work)


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