2025.01.14 FAカップ・リーグカップ2024-25FAカップ・リーグカップ
トッテナムを敗戦寸前に追い詰めた「ナショナルリーグのタムワース」とサポーターたちに称賛を。
GKのジャスビル・シンがハーフライン手前からFKを蹴ろうとしたとき、追加タイムは残り1分を切っていました。右に上がったボールを頭でつないだのは、クリナーネ・リバード。ボックス右に落ちたボールをホリスと競ったのは、自陣に戻っていたソランケでした。体をぶつけて奪ったストライカーは、ピッチに足を取られて転倒。外から詰めてさらったのは、マグリンチーです。
ゴールライン際のMFに対応したドラクシンはフェイントでかわされ、フリーの左足シュートがニアへ。イヴ・ビスマが足を出さなかったら、決まっていたでしょう。直後のCKで競り勝ったクリナーネ・リバードのヘッドも、8番がブロック。こぼれ球に詰めた2発めは、1週間前に入団したばかりのGKキンスキーが何とか押さえました。やがて笛が鳴り、試合は延長戦に突入します。
FAカップ3回戦で、トッテナムを敗戦寸前に追い詰めたのはタムワース。ウェストミッドランズのスタッフォードシャーにある人口8万人の町のクラブは、ナショナルリーグ(5部相当)に昇格したばかりです。本拠地のザ・ラム・グラウンドは4000人収容のスタジアムで、 VIPボックスがある1800 席の新しいメインスタンドの建設許可を申請している最中です。
「テレグラフ」によると、この日のスタンドはキックオフの1時間前に満員だったそうです。メインスタンドの向かいにある「シェッド」と名付けられたスタンドは、「閉所恐怖症になりそうなほど低い屋根」が特徴で、ときどき「シェッド合唱団」がやってきて高らかに歌いながらチームをサポートしています。
キックオフの直前に緩んだゴールネットを修理していたのは、左サイドのエノル、クリナーネ・リバード、GKのシン。肩車しながら笑顔で作業している姿は、初めてのタスクとは思えません。電気技師、フィットネスインストラクターなどを本職とするパートタイマーたちが持ち場に着くと、間近で見るスター選手に興奮気味のスタンドのテンションが一段上がりました。
ソランケ、クルゼフスキ、ソン・フンミンなどスパーズのサブの選手たちは、近所のバーから持ち込んだ椅子に座らされ、「そんなベンチに座らされるなんて、オマエはどんだけ最低なヤツなんだ!」というチャントを浴び続けました。後半に入り、狭いピッチサイドでアップを続けていた彼らは、一刻も早くロンドンに戻りたいと考えていたのではないでしょうか。
スコアレスの90分は、「ヴェルナーの決定的なヘッドをゴールライン上でエノルがクリア」「ブレナン・ジョンソンの縦のスルーパスで抜け出したヴェルナーがGKと1対1になるも、飛び出したシンがビッグセーブ」といったチャンスがあったのですが、最大のトピックスはプレミアリーグではお目にかかれないタムワースの決定機でした。
14分に右から入れたトンクスのロングスローが、GKキンスキーのパンチをかすめてファーポストにヒット!ハイクロスのようなスローは彼らの武器のひとつで、FAカップ1回戦でリーグ1(3部相当)のハダースフィールドに1-0でジャイアントキリング(!)を達成したときは、クロスバー付近に落下したボールが直接飛び込む決勝ゴールになっています(記録はGKのオウンゴール)。
ゴールライン際のMFに対応したドラクシンはフェイントでかわされ、フリーの左足シュートがニアへ。イヴ・ビスマが足を出さなかったら、決まっていたでしょう。直後のCKで競り勝ったクリナーネ・リバードのヘッドも、8番がブロック。こぼれ球に詰めた2発めは、1週間前に入団したばかりのGKキンスキーが何とか押さえました。やがて笛が鳴り、試合は延長戦に突入します。
FAカップ3回戦で、トッテナムを敗戦寸前に追い詰めたのはタムワース。ウェストミッドランズのスタッフォードシャーにある人口8万人の町のクラブは、ナショナルリーグ(5部相当)に昇格したばかりです。本拠地のザ・ラム・グラウンドは4000人収容のスタジアムで、 VIPボックスがある1800 席の新しいメインスタンドの建設許可を申請している最中です。
「テレグラフ」によると、この日のスタンドはキックオフの1時間前に満員だったそうです。メインスタンドの向かいにある「シェッド」と名付けられたスタンドは、「閉所恐怖症になりそうなほど低い屋根」が特徴で、ときどき「シェッド合唱団」がやってきて高らかに歌いながらチームをサポートしています。
キックオフの直前に緩んだゴールネットを修理していたのは、左サイドのエノル、クリナーネ・リバード、GKのシン。肩車しながら笑顔で作業している姿は、初めてのタスクとは思えません。電気技師、フィットネスインストラクターなどを本職とするパートタイマーたちが持ち場に着くと、間近で見るスター選手に興奮気味のスタンドのテンションが一段上がりました。
ソランケ、クルゼフスキ、ソン・フンミンなどスパーズのサブの選手たちは、近所のバーから持ち込んだ椅子に座らされ、「そんなベンチに座らされるなんて、オマエはどんだけ最低なヤツなんだ!」というチャントを浴び続けました。後半に入り、狭いピッチサイドでアップを続けていた彼らは、一刻も早くロンドンに戻りたいと考えていたのではないでしょうか。
スコアレスの90分は、「ヴェルナーの決定的なヘッドをゴールライン上でエノルがクリア」「ブレナン・ジョンソンの縦のスルーパスで抜け出したヴェルナーがGKと1対1になるも、飛び出したシンがビッグセーブ」といったチャンスがあったのですが、最大のトピックスはプレミアリーグではお目にかかれないタムワースの決定機でした。
14分に右から入れたトンクスのロングスローが、GKキンスキーのパンチをかすめてファーポストにヒット!ハイクロスのようなスローは彼らの武器のひとつで、FAカップ1回戦でリーグ1(3部相当)のハダースフィールドに1-0でジャイアントキリング(!)を達成したときは、クロスバー付近に落下したボールが直接飛び込む決勝ゴールになっています(記録はGKのオウンゴール)。
決定機を何度も逃したスパーズはピンチを脱し、プラス30分の次なる戦いに向かいます。68分にピッチに入ったソランケとベルヴァルに加えて、クルゼフスキとソン・フンミンが投入されています。ようやく先制したのは101分。ペドロ・ポロがFKを直接狙わず、ボックス右のブレナン・ジョンソンに預けると、中央に入れたボールはDFに当たってソランケの足元に向かいました。
前に入ってクリアしようとしたシクナが、枠に押し込んでしまう痛恨のオウンゴール。107分には、ソン・フンミンのパスをボックス左で受けたクルゼフスキの鋭いシュートが、右のサイドネットに突き刺さりました。さらに118分、右から上がったジェド・スペンスのグラウンダーがカットされると、クルゼフスキが奪い返したボールをブレナン・ジョンソンが左隅に収めました。
0-3のままタイムアップの笛が鳴ると、スタンドは拍手喝采。メディアは一斉に、大苦戦のスパーズを「屈辱」「ひどい試合」と煽るでしょう。しかし実際に試合を見てみると、モチベーションを高めるのが難しい状況だったことがよくわかります。3日前に59000人の観客の前で、プレミアリーグの頂点に立つリヴァプールを倒したばかりなのに、高低差がハンパない…。
96位も下のチームの本拠地に出向き、のどかな雰囲気、まばらな拍手のなかで戦うのは罰ゲームか、ドッキリか。チャンピオンシップのチームのほうが、緊張感をキープしやすかったはずです。アンジェ・ポステコグルーの就任後、スパーズが0-0で90分を終えるのは初めて。勝者にとっては珍事ですが、グッドルーザーにとってはクラブ史に刻まれる快挙です。
ビッグクラブの目線で見ていると、「過密日程のなか、FAカップのリプレイなど即刻廃止すべし」となります。しかし、プレミアリーグの強豪に全力でぶつかったアマチュアクラブのサポーターに寄り添うと、「彼らの奮闘は、トッテナム・ホットスパー・スタジアムでのリプレイという極上のインセンティブで報われるべき」と叫びたくなります。
「FAカップの3回戦以降でナショナルリーグ以下のクラブがドローなら、ホームとアウェイを入れ替えて、ごほうびの再戦」というルールをといいたくなりますが、明日は我が身です。リヴァプール戦に負けず劣らず難しかった一戦を制したスパーズを称えつつ、大健闘の小さなクラブにも静かに拍手を送って背中を見送りましょう。
タムワースの次戦は、バーミンガム・シニアカップ3回戦。ボールドミア・セント・マイケルズの本拠地トレバー・ブラウン・メモリアル・グラウンドは、収容数2500人の小さなスタジアムです。イヴ・ビスマの本気のブロックを、息を詰めて見守る夢のような時間は終わりました。3年前はサウサンリーグセントラル(7部相当)にいた彼らの目標は、ナショナルリーグ残留です。
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