2025.02.10 FAカップ・リーグカップ2024-25FAカップ・リーグカップ
マグワイアはオフサイド、三笘薫の決勝ゴールは…?VARなきFAカップで疑惑のジャッジが続出!
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ヘディングシュートを左隅に決めたのはリュティエ。ここからはアウェイのチェルシーが優勢ながら、両者ともにチャンスを創れず、前半のシュート数は1対3という稀に見る少なさです。後半に入り、最初の決定機を活かしたのはブライトン。リュティエが左に展開したボールを足元に収めた三笘薫は、マロ・グストと勝負せず、ニアにいたランプティに預けました。
中に持ち込んだSBのシュートは、カイセドがブロック。トシン・アダラビオヨのクリアはデューズバリー=ホールに当たり、こぼれ球を拾ったリュティエが左で空いていた三笘薫にラストパスを通します。胸でトラップした22番が飛び出したロベルト・サンチェスの前で右に浮かすと、ボールはサイドネットに届きました。
「三笘の決勝ゴールでブライトンはFAカップ5回戦進出」…われわれ日本人にとっては誇らしい見出しですが、この試合にVARがあれば、ゴールは取り消しになっていたでしょう。カイセドのブロックで浮いたボールが、ランプティの右手にがっつり当たっていました。FAカップは、5回戦までVARは全試合導入せずとなっています。
プレミアリーグとチャンピオンシップのクラブ以外は、スタジアムにVARを入れるのが難しく、同じラウンドである試合とない試合が混在するのを避けたのでしょう。一方で、ゴールラインテクノロジーは「使えるスタジアムはぜひ!」という運用です。誰に聞いても「あったほうがいい」というものは使い、アンフェアだ何だと声が挙がりそうなほうは揃えたようです。
重要なシーンでファールを見逃され、敗れたチェルシーのマレスカ監督は、「ハンドは明らかだった。ここ2~3日、さまざまな試合で、VARがなかったために複雑になってしまったシーンがあった」とコメント。おっしゃるとおり、FAカップ4回戦は、勝負を左右する「疑惑のジャッジ」がメディアの注目ポイントとなっています。
フライデーナイトのマンチェスター・ユナイテッドVSレスターは、追加タイムが終わる間際のマグワイアの決勝ヘッダーで2‐1。このゴールシーンでは、リプレイの映像でひと目でわかるオフサイドが見逃されています。ブルーノ・フェルナンデスが左からFKを蹴った瞬間、4人がラインから出ており、ラインズマンが判断を迷うような微妙なフライングではありませんでした。
レイトン・オリエントVSマン・シティでは、ドンリーの50ヤードの超ロングシュートが決まる直前に、ニコ・ゴンザレスと絡んだパーキンスがファールではないかといわれています。バーミンガムVSニューカッスルで起こったのは、ゴールラインテクノロジーが入っていなかったセント・アンドリュースならではの事件で、ジョー・ウィロックの同点ゴールが話題になりました。
「VARがなかったのは新鮮だった。大会を通じてあればいいのに」というニューカッスルの元GKシェイ・ギブンは、「疑わしいときは、バーミンガムに有利な判断を下さなければならない。しかしラインズマンは、毅然としてゴールラインを越えたと主張していた」と語っており、元バーミンガムDFのマシュー・アップソンは、「判断は不可能」と匙を投げています。
明確にいえるのは、「VARがあってもなくても、誤審や疑惑はなくならない」ということです。プレミアリーグは、「今シーズンは、これまでにVARのミスが13件あった。これは昨シーズンの同時期の20件より減少している」といっていますが、蹴ったタイミングをどこにするかでオフサイドラインの設定が変わってしまうのに、誰もが納得するジャッジなど実現しないはずです。
とはいえ、VARがなかった時代には戻れないでしょう。2日間で開催された11試合で、2つの誤審と2つの疑惑が話題になっている状況は、レフェリーの潜在的なVAR依存度が高まっていることを示しているのではないでしょうか。パス、シュート、プレス、連携のスピードは、10年前より格段に上がっており、人間の目だけでジャッジするのは限界なのかもしれません。
「BBC」が拾ったファンの声を見ると、「VAR がないのはいいこと。審判も人間だからミスも受け入れるしかなかった古きよき時代に戻った。すべての競技場に備えるべきはゴールライン テクノロジーだけだ」という意見もあるようです。人間をサポートする優秀なツールががあっても、レフェリングにミスがあることを前提に、この競技と付き合っていくしかないでしょう。
決して、「レフェリーはミスしてもいい」といっているわけではありません。レフェリーに過剰に正確性を求めても、改善には限界がありそうといっています。「あの誤審がなければ勝っていた」といえるシーンはさほどなく、「あの誤審がなければ別な試合になっており、結果はわからない」という見方のほうが適切です。
人生に幸運・不運があるように、フットボールのジャッジの揺らぎも勝負における運のひとつと捉えるしかないでしょう。今回、マンチェスター・ユナイテッドが延長戦を回避できたのは幸運でした。しかし次もまた、運に恵まれるかどうかはわかりません。われわれにできるのは、何度も映像を見直してストレスを溜める試合にならないことを祈るのみです。
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