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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ビッグクラブの経験なし…アルネ・スロットはクロップの後任という重責に耐えられるのか?

2021-22シーズンからフェイエノールトの監督に就任すると発表されたのは、2020年12月。AZで指揮を執っていたアルネ・スロットは、自らの契約交渉のためにチームに集中していなかったと見做され、発表の10日前に解任されてしまいました。ロッテルダムの初年度は、ヨーロッパカンファレンスリーグで準優勝。2年めの昨シーズンは、25勝7分2敗でリーグ制覇を果たしています。

45歳のオランダ人指揮官は、ユルゲン・クロップの後任という重責に耐えられるのでしょうか。エルステ・ディヴィジ(オランダ2部)のカンブールで、アシスタントコーチから昇格したのは2016年10月。14位だったチームを3位に押し上げたものの、エールディヴィジ昇格という目標には1歩及びませんでした。

2017-18シーズンからは、AZアルクマールでアシスタントコーチ。監督に昇格したのは、2019年になってからです。優勝したアヤックスを相手にダブルを達成し、同勝ち点の2位でシーズンを終えたものの、次のシーズンは4ヵ月で終了。これまでのキャリアで、監督としてフルシーズンを過ごしたのは3年だけです。

エールディヴィジを制してプレミアリーグに乗り込んだ3人のオランダ人監督は、いずれも微妙な戦績しか残せていません。マンチェスター・ユナイテッドに招かれたファン・ハールは、プレミアリーグは4位と5位で、2年めにFAカップ制覇。2017年にクリスタル・パレスの監督に就任したフランク・デブールは、開幕4連敗でリーグの最短解任記録を更新してしまいました。

昨季からオールド・トラフォードで指揮を執るエリック・テン・ハフは、プレミアリーグ3位&カラバオカップ優勝というまずまずのスタートを切ったものの、2年めの今季はTOP4を逃しています。ファン・ハールは母国とバルセロナ、バイエルンでリーグ制覇7回、フランク・デブールはアヤックスで5回、テン・ハフは3回。先人たちと比べると、スロットの足跡は見劣りします。

フェイエノールトは前年のリーグチャンピオンで、今季は2位。リヴァプールはプレミアリーグで5位と3位。直近の戦績を並べると、オランダのクラブのほうが強そうに見えますが、両者の財政は雲泥の差があります。昨夏のマーケットで12人の補強に費やした総額は2400万ポンド程度で、24歳以上はゼロ。最高額は、サークル・ブルッヘから獲得した上田綺世の770万ポンドです。

選手のサラリーも、最高は週給3万4000ポンドといわれており、モー・サラーの1/10以下。スロットがマージーサイドに来るとなれば、最初に取り組むべきは巨大な組織と異文化を理解することです。昨夏、コンテ解任のカオスのなかで声をかけてくれたトッテナムのほうが、ハードルは低かったのではないでしょうか。

地元メディア「リヴァプールエコー」のジャック・フリンサム記者は、リヴァプールがスポルティングCPのルベン・アモリムではなくスロットを選んだ理由について、「彼の哲学がクロップとあまりにも異なっていた」と指摘しています。3-4-3のアモリムより、4-2-3-1のスロットという選択は、よりソフトランディングといえそうです。

スロット戦術にスムーズに適応しそうな選手が多く、納得感はありながらも、ワールドクラスの選手とともに戦ったことがない監督の招聘はギャンブルではあります。それにしても、フェイエノールトのシーズンが終わっていないのに「リヴァプールで働きたい」と公言しちゃう脇の甘さは大いに気になります。AZで解任されたのを忘れたのでしょうか…。(アルネ・スロット 写真著作者/Carlo Bruil Fotografie)


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