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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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レオーニ、フリンポン、ケルケズ…リヴァプールの最終ラインの補強は適切だったのか?

クリスタル・パレス戦は2-1、ガラタサライは1-0、チェルシー戦も2-1。アルネ・スロット監督は、2016-17シーズンにカンブールで指揮を執って以来、キャリア初の3連敗を喫しました。突然のつまずきについて、メディアの記者やジャーナリストがさまざまなレポートを配信していますが、彼らの不振は開幕から始まっていたのでしょう。

公式戦7連勝という見事なスタートではあったものの、そのうち6試合は最終盤のゴールで勝負を決めた接戦で、快勝といえる試合は未だありません。ボーンマス、ニューカッスル、アトレティコ・マドリードの3試合は2点リードから追いつかれており、バーンリー戦はフリンポンのクロスがハンニバル・メイブリの手に当たってPKというきわどい勝利でした。

就任初年度にプレミアリーグ制覇という快挙を成し遂げた昨シーズンは、9節のアーセナル戦まで2失点はなかったのですが、今季は10試合中5試合が複数失点です。ヴィルツ、エキティケ、イサクを引き入れた前線も、アーセナル戦以降の8試合は11ゴールに留まっており、攻守ともに問題を抱えているように見えます。

直近1週間のレポートの多くが指摘しているのは、サラー、コナテ、マック・アリスターら主軸の不振と、エキティケ以外の新戦力の空転です。移籍騒動によって出遅れたイサクと、新たなチームのシステムになじんでいないヴィルツは、プレミアリーグで未だノーゴール。持てる力を発揮できるようになるまで、時間がかかりそうです。

とはいえ、個々の選手のコンディションや連携不足が問題であれば、試合とトレーニングを重ねながら解決に近づけるでしょう。これまで目に見える結果を残せていないヴィルツも、巧みなタッチと意外性があるラストパスでチャンスを創っています。指揮官が最適な戦術を見出せれば、いい補強だったといわれるようになるはずです。イサクもこのままでは終わらないでしょう。

プレミアリーグレコードの移籍金が話題になったストライカーは、エキティケとの共存の可否が議論になっていますが、左サイドとセンターでポジションを入れ替えながら連携できるようになる可能性はあると見ます。前線の活性化は時間の問題で、いずれ解決するでしょう。しかし守備は? 序盤戦の最終ラインを見ていると「補強の人選は正しかったのか?」という疑問が湧いてきます。

ユルゲン・クロップの後を継いだ指揮官の最大の手柄は、ハードなゲーゲンプレスと強気のハイラインを見直し、攻守のバランスを取ったことでした。これによってアレクサンダー=アーノルドが裏を取られるシーンは減り、上下動の負担が軽減したサラーは攻撃に集中し、アンカーに抜擢されたフラーフェンベルフは後ろを信じて攻め上がれるようになりました。

アレクサンダー=アーノルドとクアンサーが去った2年めにおける最終ラインの補強のテーマは、34歳のファン・ダイクと負傷が多いコナテの負担を取り除くことと、スロット戦術にフィットするSBを引き入れることだったはずです。ジョヴァンニ・レオーニのシーズンアウトは想定外でしたが、そもそもCBはティーンエイジャーを獲得するだけでよかったのでしょうか。

開幕前は期待感があった左右のSBも、序盤戦の苦闘を見て人選が気になり始めました。フリンポンとケルケズは攻撃力が強みで、前線からのプレスで追い込むクロップのチームなら納得の補強です。しかし、守備を安定させながらフラーフェンベルフの推進力を活用するなら、アレクサンダー=アーノルドのように中央に絞ってパサーとしてプレイできるタイプが適任でしょう。

例えば右サイドは、リース・ジェームズやベン・ホワイト。左サイドを選ぶとすると、的確なパスワークでジェレミー・ドクを後方からサポートするナタン・アケのような選手です。ロバートソンやブラッドリーと異なるストロングポイントをもった選手を加えることで、戦い方のバリエーションを広げるという考え方もあります。

チェルシー戦は、レッズが抱えるリスクと指揮官の迷いが垣間見えるゲームでした。ククレジャは明確に、サラーとブラッドリーの間のスペースを狙っていました。このチームの右SBには、前線に張るウインガーと攻めるアンカー、CBとの絶妙な距離感が求められます。フラーフェンベルフをCBに下げた後、フェデリコ・キエーザではなく遠藤航を入れたのは、想像以上に最終ラインが不安な状態になったからでしょう。

スロット監督のスタイルなら、アーセナルやマン・シティが採用する「最終ラインは全員CB」もありでしょう。サラーの力を十全に引き出しつつ、縦の突破を強みとするフリンポンを活かすのは難易度が高そうです。指揮官に策はあるのか。試行錯誤が続くのか。冬のマーケットでマーク・グエイを獲れば、今の顔ぶれでも強固な最終ラインが完成するのかもしれませんが…。


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“レオーニ、フリンポン、ケルケズ…リヴァプールの最終ラインの補強は適切だったのか?” への1件のコメント

  1. アイク より:

    いつも楽しく拝見しています!
    守備、あやしいですね。去年も無失点のゲームは少なかった印象です。頼みのグエイにはレアルの影。
    せめて自慢の火力で殴り勝てれば穏やかに過ごせるんですけど、TAAの穴が簡単に埋まるはずもなく。。
    私は最近見方を改めました。去年優勝し新シーズンも連勝で始まったことで勘違いしていました。まだ長期政権からの移行期で、スロット・リバプールは発展途上なのですね。望外の補強によって期待感も爆上がりしてますので、(一喜一憂しながら)複数年単位でチームの完成を見守ろうと思います。

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