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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

怒らず、ごまかさず、話しすぎず…プレスのツッコミに向き合うミケル・アルテタの神対応に感動!

ミケル・アルテタという若い指揮官に、前任者にはなかった器の大きさを感じました。マンチェスター・シティの本拠地エティハドに乗り込んだ必勝の再開初戦は、これまでレギュラーだったメスト・エジルが不在で、プレミアリーグの全試合で先発起用してきたダヴィド・ルイスもベンチスタート。プレーメイカーの代役として送り出したウィロックは消され、パブロ・マリの負傷で出番が訪れたベテランCBは、2失点のきっかけとなったうえに1発レッドという散々な出来でした。

記者の質問を嫌がるウナイ・エメリなら、こんな言葉で終わらせていたのではないでしょうか。「エジルの欠場は戦術的な理由だ」「チームは機能していた。結果以外は満足している」。プレミアリーグファンの頭には「?」が飛び交い、グーナーは苛立ちを募らせ、記事がおもしろくならないジャーナリストたちは憶測を膨らませようとする空虚なコメント。選手たちにとってはマイナスはないものの、モチベーションが上がるわけでもありません。

ミケル・アルテタも、試合終了直後のプレスカンファレンスでは「起用は戦術的な理由」とかわしましたが、ブライトン戦を控えた会見で、あらためて2人について言及しています。「シティ戦が、アーセナルにおけるラストマッチだったのか?」。ダヴィド・ルイスの不出来をいじる質問に対して、「去就についてはわからない」と答えた指揮官は、最終ラインの統率を任せてきた主軸に対する変わらぬ信頼を口にしています。

「彼はとてもオープンな性格で、リーダーシップもある。今回も、全員の前で話すだろうと思っていた。彼の言葉を聞いただろう。われわれに対しても、率直に話してくれた。その姿勢に価値を感じている。彼が好きだ。全力を尽くして守りたい。積み上げてきた彼のキャリアを信じている」

プレスの向こう側にいるプレミアリーグファンに対してアカウンタビリティを果たしたアルテタ監督は、選手の心も動かしたのではないでしょうか。「われわれの財政状況について、忘れるわけにはいかない。コロナウイルスは全てのクラブに衝撃を与え、今後に影響を生じさせている。大きな決断を下さなければならない可能性がある」と、クラブの現状を率直に語った指揮官は、エジルの欠場についても言葉を濁しませんでした。

「私がここに来た日から、メストとはオープンな関係だ。彼はフィットしており、意欲的で、可能な限りのパフォーマンスを見せようとしていた。私のチームで、あらゆる試合でプレイしてきたということが、全てを物語っている。再び準備できれば、他の選手と同様に処するつもりだ。私は彼に対してフェアだった。彼もまた、多くの試合で私の希望に応じてくれた」
「この数週間で、彼には多くのことが起きた。私は、すべての選手の時間を尊重しなければならない。メストには最高の状態でいてほしいと思う。ベストだと判断すれば、ピッチに送り出すよ。彼とはうまくいっている。何の問題もない。率直な会話が続いている」

これ以上は望めない神対応といっていいのではないでしょうか。ごまかさず、話しすぎず。集まったジャーナリストたちに消化不良を感じさせず、選手のモチベーションまでしっかり高める模範解答です。ジャカとパブロ・マリを負傷で失い、代わりに入ったCBはおそらく3試合の出場停止、10番はいつ使えるかわからず、前線も機能しなかった激痛の敗戦に、さすがの知将もストレスMAXだったのではないかと思います。プレスの意地悪な質問にも苛立つことなく、真摯に応じるその姿勢に感動を覚えました。

パブロ・マリは重傷のようで、最終ラインの駒が足りない厳しい状況が続きますが、来季につながる収穫を得てシーズンを終えてほしい…苦境のアーセナルにとって、彼こそが最高の監督でしょう。ペップとともにトロフィーを獲得し続けた戦略家が、難敵が続く最終盤をどう乗り切るのかを、ラストゲームの終わりを告げるホイッスルが鳴り止むまでしっかり見届けたいと思います。


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