2020.07.30 監督トピックス
プレミアリーグ2019-20シーズン総括(3)偏愛的・監督ランキング
プレミアリーグ2019-20シーズンの総括として、昨日はベストイレブンを選出させていただきましたが、第3弾は「マネージャー編」です。コロナウイルスの蔓延によって史上初の中断を強いられたシーズンは、後半戦における監督交代はゼロ。前半戦で6人とおとなしめだったのですが、ワトフォードのゴタゴタを除けばビッグネームばかりです。11月にマウリシオ・ポチェッティーノとウナイ・エメリ、12月にはエヴァートンのマルコ・シウヴァとウェストハムのマヌエル・ペジェグリーニ。彼らの後釜も、モウリーニョ、アンチェロッティ、アルテタ、モイーズとキャラ立ちまくりでしたが、初年度から成功したと胸を張れる指揮官はおらず、13勝6分7敗でEL出場権を確保したモウリーニョ監督も苦戦という表現がぴったりでした。
さて、ここからは、素晴らしい采配でプレミアリーグファンのテンションを上げてくれたマネージャーたちをランキング形式で紹介したいと思います。前年の反省を活かして、プレミアリーグ初制覇を遂げたリヴァプールのクロップ監督を1位にしないわけにはいかないでしょう。シーズンを1敗で駆け抜けながら2位に甘んじた2018-19シーズンと比べると、アリソンとマティプのどちらかが常にいなかった今季は、守備力は劣っていたかもしれません。それでも、最初の27試合で26勝1分という完璧な数字を残せたのは、戦況に応じたゲームマネジメントができるようになり、失点に直結するミスをしなくなったからでしょう。
前半戦の18勝のうち、半分の9勝が1点差の接戦でした。1年前は、リードしていた試合の終盤戦で押し込まれるシーンが目立っていたチームは、ボールをキープしながら時間を遣えるようになりました。カウンターからの10ゴールと、セットピースの17ゴールはいずれも今季プレミアリーグNo.1。左右のSBのアーリークロス、プレースキック、ショートカウンターと飛び道具が多彩で、ここぞというシーンで決められるのが勝負強さの源泉です。南野拓実が加わるまでは、前季と同じメンバーで戦っていたチームは、プレッシングを軸とした戦術を継続しながら、ビルドアップの質とポゼッションのスキルを高めて頂点に辿り着きました。
■プレミアリーグ2019-20シーズン 偏愛的・監督ランキング
1位/ユルゲン・クロップ(リヴァプール)
2位/ヌーノ・エスピーリト・サント(ウルヴス)
3位/ブレンダン・ロジャース(レスター)
4位/クリス・ワイルダー(シェフィールド・ユナイテッド)
5位/フランク・ランパード(チェルシー)
6位/ショーン・ダイク(バーンリー)
7位/ペップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ)
2位に推したのは、ウルヴスのヌーノ・エスピーリト・サント監督です。プレミアリーグに出場した選手が20人しかいない少数精鋭で最後までEL出場権を争い、ELのノックアウトラウンドで今も優勝をめざしているという戦績は見事です。コーディー、ボリ、サイスの3バックと、WBのホニー・カストロ&ドハーティーは完全固定。彼らもレッズと同様に、継続性をベースにしたチームです。疲労を残さず戦い続けたければ、「休む」勝つ」「楽しむ」のいずれかが必要ですが、ドハーティーやアダマ・トラオレの迷いなきドリブル突破を見ていると、ヌーノ監督の戦術で勝てると信じてチャレンジし続けたのだなと思います。
レスターを率いたブレンダン・ロジャーズの最大の手柄は、前半戦を2位で折り返した快進撃よりも、若い選手たちをブレイクさせたことでしょう。ハーヴィー・バーンズとチャグラル・ソユンチュの覚醒は、指揮官の厚い信頼がベースにあってのことだと思います。エンディディ、ティーレマンス、チルウェル、ジェームズ・マディソン、チョードリー、イヘアナチョ、ジャスティンといったU-23の躍動によってつかんだ5位は、来季の進化を促す大きな自信となるのではないでしょうか。
昇格初年度のシェフィールド・ユナイテッドをTOP10フィニッシュにもっていったクリス・ワイルダー監督の戦術は、あまりにも独創的でした。近年は誰も採用しなかった3-5-2、最終ラインからサイドにまわるベイシャムとオコネルの「オーバーラッピングCB」システム。決めないストライカー、マクコールドリックも前線の守備を大事にするチームには必要な存在でした。ポゼッション44.4%とパス成功率74.4%は、いずれもプレミアリーグ18位。堅守と走力をベースとしたリアクションサッカーは、上位を手こずらせるための最適解のひとつだったのではないかと思います。
タミー・アブラハム、メイソン・マウント、リース・ジェームズ、フィカヨ・トモリ、カラム・ハドソン=オドイ、ビリー・ギルモアなどの若手を大胆に抜擢したフランク・ランパードも、「勝つ」と「育てる」を両立させた素晴らしい指揮官のひとりです。ジルーやウィリアン、リュディガー、アスピリクエタなどのベテランも活躍したのは、戦術に納得感と一貫性があったからでしょう。前年は15位だったバーンリーを10位に引き上げたショーン・ダイク監督の最大の強みは、戦力をムダにしないこと。20歳になったマクニールの成長を促し、新戦力のジェイ・ロドリゲスを前線に組み込んで、23節から8勝6分2敗という怒涛の追い込みを見せて上位に滑り込みました。
7位にペップを入れたのは、「プレミアリーグ3連覇というデカすぎる期待を裏切っただけで、今季のマンチェスター・シティも優勝を争える素晴らしいチームだった。とにかく上が強すぎただけ」というメッセージを込めたかったからです。ラポルテの負傷によって、フェルナンジーニョを最終ラインに固定しなくてはならなくなったのが苦戦の最大の理由ですが、CBと中盤の強化を図ることができれば、2020-21シーズンは優勝争いを展開してくれるでしょう。以上、プレミアリーグ2019-20シーズンの監督ランキングでした。上位に食い込んだ中堅・小規模クラブの健闘に、あらためて拍手を送りたいと思います。
さて、ここからは、素晴らしい采配でプレミアリーグファンのテンションを上げてくれたマネージャーたちをランキング形式で紹介したいと思います。前年の反省を活かして、プレミアリーグ初制覇を遂げたリヴァプールのクロップ監督を1位にしないわけにはいかないでしょう。シーズンを1敗で駆け抜けながら2位に甘んじた2018-19シーズンと比べると、アリソンとマティプのどちらかが常にいなかった今季は、守備力は劣っていたかもしれません。それでも、最初の27試合で26勝1分という完璧な数字を残せたのは、戦況に応じたゲームマネジメントができるようになり、失点に直結するミスをしなくなったからでしょう。
前半戦の18勝のうち、半分の9勝が1点差の接戦でした。1年前は、リードしていた試合の終盤戦で押し込まれるシーンが目立っていたチームは、ボールをキープしながら時間を遣えるようになりました。カウンターからの10ゴールと、セットピースの17ゴールはいずれも今季プレミアリーグNo.1。左右のSBのアーリークロス、プレースキック、ショートカウンターと飛び道具が多彩で、ここぞというシーンで決められるのが勝負強さの源泉です。南野拓実が加わるまでは、前季と同じメンバーで戦っていたチームは、プレッシングを軸とした戦術を継続しながら、ビルドアップの質とポゼッションのスキルを高めて頂点に辿り着きました。
■プレミアリーグ2019-20シーズン 偏愛的・監督ランキング
1位/ユルゲン・クロップ(リヴァプール)
2位/ヌーノ・エスピーリト・サント(ウルヴス)
3位/ブレンダン・ロジャース(レスター)
4位/クリス・ワイルダー(シェフィールド・ユナイテッド)
5位/フランク・ランパード(チェルシー)
6位/ショーン・ダイク(バーンリー)
7位/ペップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ)
2位に推したのは、ウルヴスのヌーノ・エスピーリト・サント監督です。プレミアリーグに出場した選手が20人しかいない少数精鋭で最後までEL出場権を争い、ELのノックアウトラウンドで今も優勝をめざしているという戦績は見事です。コーディー、ボリ、サイスの3バックと、WBのホニー・カストロ&ドハーティーは完全固定。彼らもレッズと同様に、継続性をベースにしたチームです。疲労を残さず戦い続けたければ、「休む」勝つ」「楽しむ」のいずれかが必要ですが、ドハーティーやアダマ・トラオレの迷いなきドリブル突破を見ていると、ヌーノ監督の戦術で勝てると信じてチャレンジし続けたのだなと思います。
レスターを率いたブレンダン・ロジャーズの最大の手柄は、前半戦を2位で折り返した快進撃よりも、若い選手たちをブレイクさせたことでしょう。ハーヴィー・バーンズとチャグラル・ソユンチュの覚醒は、指揮官の厚い信頼がベースにあってのことだと思います。エンディディ、ティーレマンス、チルウェル、ジェームズ・マディソン、チョードリー、イヘアナチョ、ジャスティンといったU-23の躍動によってつかんだ5位は、来季の進化を促す大きな自信となるのではないでしょうか。
昇格初年度のシェフィールド・ユナイテッドをTOP10フィニッシュにもっていったクリス・ワイルダー監督の戦術は、あまりにも独創的でした。近年は誰も採用しなかった3-5-2、最終ラインからサイドにまわるベイシャムとオコネルの「オーバーラッピングCB」システム。決めないストライカー、マクコールドリックも前線の守備を大事にするチームには必要な存在でした。ポゼッション44.4%とパス成功率74.4%は、いずれもプレミアリーグ18位。堅守と走力をベースとしたリアクションサッカーは、上位を手こずらせるための最適解のひとつだったのではないかと思います。
タミー・アブラハム、メイソン・マウント、リース・ジェームズ、フィカヨ・トモリ、カラム・ハドソン=オドイ、ビリー・ギルモアなどの若手を大胆に抜擢したフランク・ランパードも、「勝つ」と「育てる」を両立させた素晴らしい指揮官のひとりです。ジルーやウィリアン、リュディガー、アスピリクエタなどのベテランも活躍したのは、戦術に納得感と一貫性があったからでしょう。前年は15位だったバーンリーを10位に引き上げたショーン・ダイク監督の最大の強みは、戦力をムダにしないこと。20歳になったマクニールの成長を促し、新戦力のジェイ・ロドリゲスを前線に組み込んで、23節から8勝6分2敗という怒涛の追い込みを見せて上位に滑り込みました。
7位にペップを入れたのは、「プレミアリーグ3連覇というデカすぎる期待を裏切っただけで、今季のマンチェスター・シティも優勝を争える素晴らしいチームだった。とにかく上が強すぎただけ」というメッセージを込めたかったからです。ラポルテの負傷によって、フェルナンジーニョを最終ラインに固定しなくてはならなくなったのが苦戦の最大の理由ですが、CBと中盤の強化を図ることができれば、2020-21シーズンは優勝争いを展開してくれるでしょう。以上、プレミアリーグ2019-20シーズンの監督ランキングでした。上位に食い込んだ中堅・小規模クラブの健闘に、あらためて拍手を送りたいと思います。
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