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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

こちらはバトルなし!前任者ポチェッティーノ監督をリスペクトするセインツのクーマン監督に感動!

チェルシーとアーセナルが激しい戦いを繰り広げ、ヴェンゲル監督がモウリーニョ監督の胸を突いて第4審判に仲裁されていたダービーと同じ時間に、同じロンドンでもノースロンドンのホワイト・ハート・レーンでは、トッテナムとサウサンプトンがプレミアリーグ第7節を戦っておりました。こちらもまた、ちょっとした因縁の対決。昨季までサウサンプトンの指揮を執っていたのは、モウリーニョ氏より10歳年下のポチェッティーノさん。彼にとっては、古巣と敵にまわす初めてのゲームだったわけです。

セインツのMFマネのビッグチャンスで始まったこの試合は、エリクセンとシャドリが絶好調だったトッテナムが、40分に2人の絡みからエリクセンが美しいミドルシュートを決めてトッテナムが1-0で勝利。この日の両者のプレイぶりを観れば、ホームチームの勝利は妥当な結果。ストレスがたまったアウェイのセインツのサポーターは、クラブを去った青年監督に対して不満をぶつけるチャントを浴びせます。しかし、試合後のポチェッティーノ監督は、イギリスメディア「スカイスポーツ」のインタビューに対して、昨季までともに戦ったクラブへの愛とリスペクトを語り続けました。

「変なプレッシャーはなかった。私にとっては感動的なゲームだった。私はサウサンプトンが大好きで、サウサンプトンの人たちが大好きだ。自分にとっても家族にとっても、素晴らしい18ヵ月だったんだ。…今日のチームのパフォーマンスには満足している。がんばった選手たちを祝福したい。我々は向上を続けている。新しい哲学が入ってまだ3ヵ月だが、勝ち点3を得ることができてうれしい。今日の試合は、われわれが勝利にふさわしかったと思っている。でも、私にとってはとにかく感動的だったんだよ。サウサンプトンに対するこの感情は変わらない

いや、まっすぐな方です。素敵です。「アデバヨルが倒されたシーンはPKだろう」などとは一切いわず、ピッチにいた選手たちをリスペクトし、古巣への愛を語っています。セインツのサポーターがスタジアムでポチェッティーノ監督を非難したと聞いたときは、クラブ躍進の功労者にそれはないだろうと思いましたが、ご本人のコメントを聞いて何だかほっとしました。セント・メリーズにアウェイチームの一員として若きアルゼンチン人監督が乗り込んだときは、セインツサポーターのみなさんには、初めて大きなクラブで挑戦している彼へのリスペクトを表現してもらえればと思いました。

そして、素晴らしいのはポチェッティーノ監督ばかりではありません。彼の後任として、セインツをプレミアリーグ3位に押し上げた時の人・ロナルド・クーマン監督も、ポチェッティーノ監督へのブーイングに異を唱え、「サポーターは彼を称賛すべきだ」と語っています。

「私はサポーターのリアクションには同意できない。プレミアリーグではこういった場合に強い敬意が払われるのが当たり前のことだと思う。私はマウリシオ(ポチェッティーノ監督)をとてもリスペクトしている。彼は昨季まで、サウサンプトンで素晴らしい仕事をした。今はトッテナムの監督であり、彼にとっては大きなチャレンジだ。…最終的な結果には落胆しているが、われわれのパフォーマンスにはがっかりしていない。難しい試合であることはわかっていた。前半で先制されたのは残念だったが、少しずつながら押し返すことができたと思っている」

人事異動で新しい部署の責任者になったとき、いちばん手っ取り早くチームをまとめられるのは、前任者批判をして新しいやり方を導入すること。昨季、マタをレギュラーから外したモウリーニョ監督や、「10番が多過ぎる」と語ってシステムを3バックに変えようとしたファン・ハール監督も、自らの存在価値を主張しやすい前任者批判という手法から入ってチームづくりを始めています。ましてや、昨季クラブをトップ10に躍進させた、影響力の大きい前任者をリスペクトするのはそれなりに勇気のいることです。相手チーム批判やレフェリーへの恨み言は全くなし。今回の言葉から、クーマン監督の冷静さと器の大きさを感じました。

いや、モウリーニョVSヴェンゲルも半ば楽しんで観ておりますので、あっちが悪いこっちがいいと、ことさらにいうつもりもないのですが、最近、あまりに険悪な彼らを見続けたもので、ポチェッティーノ監督とクーマン監督のすがすがしさにちょっとした感動を覚えた次第です。

もし、モウリーニョ監督がマンチェスター・ユナイテッドの監督に就任して、スタンフォード・ブリッジのアウェイ戦に乗り込んだとき、彼は古巣チェルシーをどう表現するでしょうね。私が思うに、彼もきっと「素晴らしいクラブ。愛している。一生忘れない」と語るでしょう。ヴェンゲルさんもモウリーニョさんも、根は純粋で思いやりにあふれた人たちだと理解しています。モウリーニョさん、このうえは同い年のクーマンさんを少しだけ見習っていただいて、攻撃トークはほどほどに。

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