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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ハリー・ケインもデル・アリも活かせず…ヌーノ・エスピーリト・サント、必然の解任!

スールシャールが抱えていた導火線の短いダイナマイトが、ヌーノ・エスピーリト・サントに渡され、いきなり手元で爆発した…そんな絵が思い浮かぶ電撃的な解任劇でした。土曜日のプレミアリーグでマンチェスター・ユナイテッドに0-3で敗れた指揮官は、挽回のチャンスを与えられず、ノースロンドンを去ると発表されました。

「クラブは本日、ヌーノ・エスピーリト・サントとコーチングスタッフのイアン・キャスロ、ルイ・バルボサ、アントニオ・ディアスが任を解かれたことを発表します。フットボール部門のファビオ・パラティチMDは、次のように述べています。”ヌーノと彼のコーチングスタッフがどれほど成功を望んでいたか、知っています。このような決断をせざるをえず、残念です”」

「ヌーノは真のジェントルマン。いつでもここで歓迎されるでしょう。われわれは、彼とコーチングスタッフに感謝し、将来の成功を願っています。コーチングスタッフに関する最新情報については、追ってお知らせします」(トッテナムの公式サイトに掲載された「Club Announcement」より)

公式戦9勝1分7敗、プレミアリーグは5勝5敗。開幕から3連勝という最高のスタートを切った新監督は、直後の3連敗で貯金を吐き出し、攻め方を確立できないまま終焉を迎えました。2点差以上の勝利は、ヨーロッパカンファレンスリーグのパコス・フェレイラ戦(3-0)とムラ戦(5-1)のみ。国内で勝ったゲームは、すべて1点差の接戦でした。

ダニエル・レヴィ会長とファビオ・パラティチMDを苛立たせたのは、ハリー・ケインやデル・アリを活かせない守備的な戦い方なのではないでしょうか。昨季プレミアリーグで得点王とアシスト王のダブルを達成したエースは、リーグでは9戦1ゴール1アシストと沈黙。開幕から6試合連続でスタメンだったプレーメイカーは、ウルヴス戦のPK以外に目に見える成果を残せませんでした。

10試合で9ゴールは、プレミアリーグ17位。1試合あたりのシュート数10.3は、ノリッジと並んで最下位です。リアクションサッカーなのに、カウンターからのゴールはゼロで、オープンプレーの6ゴールは14位。ボックス内からのシュート比率が17位で、ミドル比率は3位という数字も、新生スパーズが崩しのアイデアを持っていなかったことを物語っています。

ヌーノ監督が昨季まで率いていたウルヴスは、トップ下がいない3-5-2や3-4-3で戦っており、スパーズでもデル・アリやエンドンベレ、ロ・チェルソを深い位置に配していました。しばしば孤立していたハリー・ケインはボールを求めて下がってしまい、速攻やシンプルなサイドアタックが決まらない理由となってしまいました。

「BBC」のサイモン・ストーン記者が書いた8000字のレポートを読んで、ノースロンドンダービーで敗れた直後に、「ヌーノは監督を続けられない。彼が供するサービスがなくなるのは時間の問題」と報じていたのを思い出しました。3-1でアルテタに完敗したゲームは、ハーフタイムでオリヴァー・スキップに代えられたデル・アリが信頼を失ったターニングポイントであり、ベンチにも入れなかったハリー・ウィンクスがモチベーションを下げた一戦でもありました。

通常運転だったソン・フンミンも空回りし始めたマンチェスター・ユナイテッド戦で、孤軍奮闘のルーカス・モウラをベルフワインに代えたとき、スタンドから聞こえてきたブーイングはダイナマイトが弾ける音だったのかもしれません。おそらく、必然の解任。後を継ぐのは誰でしょうか。アントニオ・コンテ?パウロ・フォンセカ?夏に交渉が決裂した監督たちが、今さら来るとは思えないのですが…。続報を待ちましょう。


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“ハリー・ケインもデル・アリも活かせず…ヌーノ・エスピーリト・サント、必然の解任!” への1件のコメント

  1. xof beat より:

    ジョゼモウリーニョという劇薬の効果もなく、未だにポチェッティーノが見せた甘い夢に微睡んでいそうなダニエルレヴィには、この痛みを伴う人事も教訓にはならないでしょう。彼は冷徹なリアリストであると同時に熱狂的なサポーターであり、今や改革を拒む厄介な保守派になりつつあります。つくづく彼の語る「一貫性」や「長期的視点」という言葉は、ポチェッティーノに丸投げしていれば良かった時代のお題目に過ぎないのでしょう。設備投資という功績も、裏を返せば低賃金と安上がりな補強で上位争いをしていたポチェッティーノの賜物に過ぎません。
    ピークを過ぎたハリーケインと、ケインorソン以外のゴールシーンを知らない凡庸な選手たち、それがポチェッティーノが去ったスパーズに残された現実です。監督のすげ替えなどではもはやどうにもならず、全ての膿を出して前進するまでに5年ほどはかかるのではないでしょうか。

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