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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「BBC」がレポート「アントニオ・コンテは、なぜ今スパーズ?」

「結局スパーズでいいんかい!」と、ツッコミを入れたくなるニュースです。夏に交渉決裂となったアントニオ・コンテが、ヌーノ・エスピーリト・サント解任の後を受けて、トッテナムの監督に就任しました。「Why would ex-Inter & Chelsea manager join Spurs now?(インテルとチェルシーの元マネージャーは、なぜ今スパーズに加わったのか?)」。われわれの疑問をそのまま見出しにした「BBC」のレポートは、ジャーナリストたちの見解を紹介しています。

2016-17シーズンにチェルシーでプレミアリーグを制した47歳の指揮官は、半年前にインテルでスクデットを獲得した直後に辞任しています。イタリアの名門と決裂した理由について、現地のメディアは「財政の健全化を図るべく、主力の売却を進めていたクラブに対して、戦力を強化したかったコンテが異を唱えた」と報じていました。

それなら、なぜスパーズ?昨季プレミアリーグで7位のクラブは、お金にうるさいダニエル・レヴィ会長が君臨しており、パンデミックによる2億ポンドの損害を抱えて緊縮財政を貫いています。1年後にはハリー・ケインが退団するといわれていますが、移籍金を全額補強にまわすというジャッジはしないでしょう。9月以降のプレミアリーグで2勝5敗と絶不調。あらゆる要素が、コンテが掲げる条件と相反しているように見えます。だから、夏のオファーを断ったんですよね?

「夏に私たちが一緒になる話は実現しなかった。あの頃はインテルとの関係が終わったばかりで、感情的になっていた。監督として現場に戻るには、適切な時期ではないと感じていたんだ。それでも、私にこの仕事を任せたいというダニエル・レヴィ会長の熱意と決意は伝わっていた。機会が再び戻ってきた今、確信を持ってそれを選ぶことにした」

これを聞いたジャーナリストたちの大半が、言葉通りに受け取っていないようです。「BBCラジオ5ライブ」の「マンデーナイトクラブ」に出演したクリス・サットンさんは、「提示された条件が変わったのだろう」とコメント。加えて、「彼は何かを勝ち取れると確信しなければ動かない」「スパーズを変えたいと思っているはず」と添えています。

「ニューヨーク・タイムズ」のサッカーライター、ローリー・スミスさんも、話がまとまった理由は「お金」と主張しています。イタリア人ジャーナリストのガブリエル・マルコッティさんは、2023年6月までという短期間の契約が腑に落ちないといっています。「この仕事で人々を驚かせ、レヴィに対する影響力を得れば、お金を使うことができるようになると考えているのだろう」という見解は、自信なさげに映ります。

記事のなかで最も納得感があるのは、スミスさんの「実はスパーズが最も好条件」という見立てです。「パリ・サンジェルマンはマウリシオ・ポチェッティーノに固執している。マンチェスター・ユナイテッドもオーレ・グンナー・スールシャールを解任したくないみたいだ。誰が見てもコンテを警戒している」と語ったライターは、「現在のヨーロッパには、注目すべき他の選択肢がない」「彼はイングランドに戻りたいのではないか」と指摘しています。

「バルセロナとレアル・マドリードは、資金力の面で問題外。現時点では、スパーズが彼にとって最大の可能性を秘めたクラブということになる」

なるほど。2年前に、プレミアリーグで指揮を執りたがっていたジョゼ・モウリーニョがスパーズを選んだ理由と近しいものがあるのかもしれません。1年半という短い契約は、レヴィ会長とパラディチMDにとっては、高額年俸を捻出するための苦肉の策だったのでしょう。コンテ監督にとっては、将来ビッグクラブに行くうえで都合のいい契約なのか、長期的なプロジェクトに移行するためのファーストステップなのか…。水と油が融合するのか、当たり前のように決裂するのか、行く末を見届けたいと思います。


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