偏愛的プレミアリーグ見聞録

「BBC」の記者がレポート！「トーマス・トゥヘルが非情の解任通告を受けた理由」

「スタンフォード・ブリッジの監督室にいる人たちに対して、新オーナーのトッド・ベイリーは前任者のロマン・アブラモヴィッチよりライトで共感のある対応をすると信じていた人は、いま一度考え直すべきだ」

「ルールは同じだ。結果が悪ければクビ。迅速に」

現地メディアの見出しが目に飛び込んできた瞬間、絶句しました。トーマス・トゥヘル監督は、チェルシーに2度めのビッグイヤーをもたらした功労者です。プレミアリーグ2022-23シーズンが始まってから、わずか1ヵ月で解任とは…！

「BBC」のフィル・マクナルティ記者は、「残酷な解任によって、無慈悲なクラブという評判が生き続けている」とレポート。新戦力を活かす時間を与えず、名将を切ったオーナーを非難しています。

プレミアリーグ6試合で3勝1分2敗は、いいスタートとはいえませんが、首位アーセナルに5ポイント差の6位は充分巻き返せるポジションです。非情な決断の理由は、順位テーブルでもザグレブ戦のパフォーマンスでもないのでしょう。

「チェルシーの舞台裏は、以前からうまくいっていないように見えた」という「BBC」の記者は、刷新された経営ボードと指揮官の関に生じた溝が原因と主張しています。

「トゥヘルは夏の間、補強の方針に対して遠回しに不満を示す言葉を連発していた。それによって、ボードと監督の間に不穏な空気が流れていたようだ。ベイリーの戦略は、アブラモヴィッチやグラノフスカイアよりもふわっとしており、トゥヘルはその変化を楽しんでいないように見えた」

トゥヘル監督の歯に衣着せぬ物言いが、緩衝材を経ることなく直接オーナーに届くようになったのも、任を解かれる要素となったのかもしれません。夏に受けた「BBC」のインタビューで指揮官が残した言葉は、今となってはこの結末を暗示しているように聞こえます。

「オーナーとの関係は、とても濃密で近い。「ペトル（・チェフ）とマリーナ（・グラノフスカイア）がいなくなり、日常的な仕組みやコミュニケーションが大きく変わった。今まで以上に、責任を背負わなければならない。長期的には、あるいは次のプレシーズンを迎える頃には、コーチという役割に戻りたいと思うだろうね」

新戦力獲得のために投じた費用は2億7800万ポンド。チャンピオンズリーグ、コミュニティシールド、クラブワールドカップを制した指揮官は、投資に見合うチームを創り上げるための時間を与えられるべきだったと思います。後任にはブライトンのグレアム・ポッター監督の名前が挙がっていますが、スウェーデンでリーグとカップを制したという実績では、荷が重いのではないでしょうか。

「チェルシーの次期監督を誰にすべきか？」。昨日、「BBC」が呼び掛けた投票で最も人気だったのは、パリから離れたばかりのマウリシオ・ポチェッティーノ。2位がグレアム・ポッター、3位ジダン、4位ブレンダン・ロジャースとなっています。締まり屋のダニエル・レヴィ会長の下で、若手を育てながら奮闘したポチェッティーノ監督は、プレミアリーグの経験もリーグアン優勝という実績もあり、適任なのではないでしょうか。

トゥヘル解任の報に驚き、嘆いたブルーズのサポーターが今最も気にしているのは、フィル・マクナルティ記者の次の指摘ではないかと思われます。「アブラモヴィッチは多くの監督をクビにしてきたが、成功を維持するための後任選びには長けていた。ベイリーは実績がない」。後釜に指名された監督は、ディ・マッテオやベニテス、トゥヘルのように欧州を制するのか。それとも…!?

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“「BBC」の記者がレポート！「トーマス・トゥヘルが非情の解任通告を受けた理由」” への2件のフィードバック

1. B より:

   2022年9月8日 12:11 PM

   ここ数年の動きで最も悲しい。あまりに短絡的に感じる。
   今更どうにもならないが、せめて解任の伝え方とか諸々の対応は誠意あったものであってほしいし、少なくとも対外的にもっと感謝の念を伝えなさいよと。結局辞めさせるから慰めにはならんやろうけど…。
   オーナーも結果が全てと言いたいのかもしれないし自分が連れてきた監督ではないってことかもしれないが、とんでもない危機にあれだけ誠実に向き合ってくれた人に不義理すぎる。基本的にクラブの動きには文句言いたくなかったが、今回は本当に悲しい。
   かといって応援しない訳にはいかないが、それにしても愛するクラブにこの動き方されると気持ちが深く落ち込む。オーナーはオーナーの考えとやり方があって、クラブを強くしたいという気持ちは本物と思いたいが。

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2. みっち より:

   2022年9月8日 2:36 PM

   毎日楽しみに拝見させて頂いております！
   トゥヘル解任、衝撃のあまり初コメントさせて頂きます。水面下では沢山のことがあったのでしょうが、このタイミング。あまりにもシビアですね。
   一方で、ブライトンのポッターが招聘されたら後任にポステコグルーという報道もありますね〜そうなると、すわ日本人選手のプレミア大量流入か、などと夢想してしまいます。シビアだからこそ極上のエンタメでもあるわけで、つくづく厳しくも凄い業界だなと思います。

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