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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「トゥヘルはどこで間違えたのか?」現地メディアが前半と後半で激変した100試合を分析!

「これは、私がこれまでに書いたなかで、最も難しいステートメントのひとつであり、何年も書く必要がないことを望んでいたものです。チェルシーで過ごした時間が終わりを告げたことに、打ちひしがれています」

「このクラブは、仕事においても個人的にも、くつろげる場所でした。ここに来てすぐに私を歓迎してくれたスタッフ、選手、サポーターのみなさん、本当にありがとうございました」

チャンピオンズリーグとクラブワールドカップの優勝に貢献した誇りと喜びは、私の心に永遠に残るでしょう。クラブの歴史の一部になれたことを光栄に思います。19ヵ月の思い出は、私の心の中でずっと特別な位置を占めるでしょう」

9月7日の朝、たった10分の会談で解任を言い渡されたトーマス・トゥヘル前監督が、4日間の沈黙を経てメッセージを配信しました。契約延長交渉が進んでいると語っていたのは、たった3週間前でした。「私がここにいてどれほどうれしいか、どれだけ好きかわかるだろう」。その気持ちは、スタンフォード・ブリッジを離れる直前まで、変わらなかったようです。

プレミアリーグファンと評論家の多くは、トッド・ベイリーのジャッジに疑問や怒りを表明しています。「チャンピオンズリーグを制した名将を、プレミアリーグ史上最大の補強を敢行した1週間後に解任するとは、理解に苦しむ」。私も、そのひとりです。しかし、「スカイスポーツ」のジョー・シュレッド記者は、違う見方を提示しています。

「もう少し詳しく見てみると、ザグレブでの悲惨な結果のずっと前から、スタンフォード・ブリッジは亀裂を露わにしていた。水が漏れるディフェンス、不幸なフォワード、望まない退団、いじりすぎた戦術。その結果、トッド・ベイリーとコンソーシアムは、最も物議をかもす決定を監督就任100日めに下すことになった」

この指摘を受けて、冷静に数字をチェックしてみると、トゥヘルの前半と後半は別なチームのように見えます。公式戦100試合のうち、最初の50試合は32勝11分7敗、81ゴール24失点、31回のクリーンシート。ところが直近の50試合は、28勝13分9敗、87ゴール53失点、クリーンシート18回。堅守といわれた最終ラインは、明らかに強度を失っています。

Where did it go wrong for the head coach at Stamford Bridge?(スタンフォード・ブリッジのヘッドコーチはどこで失敗したのか?)」と題された記事から、ジョー・シュレッド記者が失敗のポイントとして掲げた見出しを拾ってみましょう。

「巨額の投資は改善につながらなかった」「比類なき守備は過去のもの」「ライバルについていけなかった不発の攻撃陣」「戦術をいじくっても解決策を見出せなかった」「ボードルームからの離脱が大きな変化を導いた」。リュディガーとクリステンセンが抜ける前から、守備は綻びを見せていたという指摘は的を射ており、自らのパフォーマンスに満足しているアタッカーはメイソン・マウントのみといわれれば、うなずくしかありません。

トゥヘルが指揮を執った100試合中、1試合2ゴール以上は20試合。ペップ・グアルディオラの58試合、ユルゲン・クロップの32試合に大きく引き離されています。プレミアリーグについぞフィットしなかったティモ・ヴェルナーは、自らの価値を落としてライプツィヒに復帰。指揮官が望まない補強といわれたロメウ・ルカクも、古巣インテルに貸し出されました。

リーグ戦1ゴールのカラム・ハドソン=オドイは、レヴァークーゼンにローン移籍。プリシッチとツィエクは退団希望と報じられています。昨季プレミアリーグの76ゴールのうち、22ゴールはDFによるもので、8ゴールはPK。新シーズンのスターリングとオーバメヤンは期待できるものの、頼みの綱だったメイソン・マウントは沈黙を続け、カイ・ハヴェルツも精彩を欠いています。

3-5-2で戦ったリーズ戦は3-0完敗で、4-4-2にトライしたセインツ戦も逆転負け。スターリングとリース・ジェームズへの依存度が高いアタックは、ストライカーを加えれば改善するといえるものではありませんでした。冷徹なデータアナリストなら、「素晴らしかったトゥヘルは2021年まで。攻守ともに課題を抱えた今、良化の兆候はなし」とレポートするのかもしれません。しかし…。

どんなに数字を並べられても、「ビッグイヤーを獲得した功労者に挽回のチャンスは与えられるべきだった」という思いは変わりません。連携が取れていたマリナ・グラノフスカイアと、経営ボードとの緩衝材だったペトル・チェフがいてくれれば…。ボードルームと密な連携を取るのを嫌ったことが、ロンドンを追われる直接的な決め手となってしまいました。ランパードの下でくすぶっていた戦力を活かし切り、欧州の頂点に立ったあまりにも眩しい5ヵ月を、心に留めておきたいと思います。


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“「トゥヘルはどこで間違えたのか?」現地メディアが前半と後半で激変した100試合を分析!” への1件のコメント

  1. ルーニー より:

    好きな監督でした。またどこかで見たい

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