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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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的確なサポートを得られるのか?スパーズと合意と報じられたポステコグルー監督に抱く4つの懸念。

ようやくトッテナムの次期監督が決まるようです。セルティックでトレブルを達成したばかりのアンジェ・ポステコグルー。「BBC」のサイモン・ストーン記者は、「2年契約で合意」「詳細を詰めた後、発表」と伝えています。

アテネで生まれてメルボルンで育ち、オーストラリアとギリシャの国籍を有する57歳の指揮官は、賛否両論を巻き起こしています。「サウス・メルボルンとブリスベン・ロアーでプレミアシップ制覇」「オーストラリア代表を率いて2大会連続でワールドカップ出場」「横浜F・マリノスを15年ぶりのJ1優勝に導いた」と聞いても、プレミアリーグファンの心は動かないでしょう。

スコットランドにおける成功も、スティーヴン・ジェラードという前例によって不安材料とする向きがあります。ビッグクラブ未経験というキャリアから、2021-22シーズンにたった10試合で解任となったヌーノ・エスピーリト・サントを想起する人もいるようです。

ウルヴスから来た指揮官との違いは、ハイライン&ハイプレスの攻撃的なスタイルで勝ってきたこと。2022-23シーズンのスコティッシュプレミアシップにおける114ゴールは、同じくトレブルを達成したマーティン・オニールの90、ニール・レノンの89、ブレンダン・ロジャースが叩き出した106を上回っています。

2年前、プレミアリーグ開幕から3連勝スタートだったヌーノ監督は、10試合のうち8試合が1ゴール以下で、守備的な戦術がサポーターの不興を買いました。その点においては、さほど心配はないでしょう。しかし、今回の合意報道を見ると、4つほど懸念があります。キーワードを並べると、「第3希望」「ディレクター不在」「2年契約」「ハリー・ケイン」です。

ポステコグルー就任は、ユリアン・ナーゲルスマンやアルネ・スロットとの交渉が成立しなかったために実現するものです。未だディレクターが不在であることも不安材料。FD主導の人選で、ぜひチームを変えてほしいと請われたのなら手厚いサポートが期待できますが、レヴィ会長の第3希望となると、アントニオ・コンテのようなバックアップは得られないでしょう。

そうなると気になるのは、彼のチーム作りです。ブリスベン・ロアーではいきなりレギュラー5人を外し、初年度は9位。メルボルン・ヴィクトリーでも就任してすぐに主力8人を放出し、最初のシーズンは3位フィニッシュでした。横浜F・マリノスでも、自らのスタイルに合う選手を獲れなかった初年度は、残留決定戦にまわったジュビロ磐田と同勝ち点の12位です。

2年めから5人の新戦力が機能し始め、一気にJリーグ制覇。最初の年にタイトルを獲得したのは、圧倒的な戦力を誇るセルティックだけです。戦術にフィットした選手を引き入れてから力を発揮してきた監督は、新しいFDと連携できるのか。さえないスタートとなったら、ダニエル・レヴィ会長と経営ボード、サポーターはガマンできるのか…

ハリー・ケインを引き留められず、会長主導の補強で微妙な選手が加われば、その結末は容易に想像できます。スロースターターに対して、ダメだったら解任すると宣言するかのような2年契約は、大いに気になるところであります。公式サイトを見てみましたが、正式発表はまだですね。まずは続報を待ちましょう。(アンジェ・ポステコグルー 写真著作者/Кирилл Венедиктов)


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