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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ELを捨てて何を得る…!?クーマン監督がエヴァートン指揮官に就任間近って、ホントですか?

サウサンプトンのクーマン監督が、エヴァートンと交渉中というニュースにはびっくりしました。2015-16シーズンの後半戦、12勝3分4敗という素晴らしい成績はレスターに次ぐ2位。出遅れたチームを、プレミアリーグ創設以降の最高順位となる6位でフィニッシュさせました。2年連続でヨーロッパリーグ出場権を手に入れ、新しいシーズンが楽しみになった矢先の名門からのオファーは、当初クーマン監督は「驚いた。私にもう1年契約が残っていることは、みんな知っているだろう」と否定していた話です。シーズン最終盤にロベルト・マルティネス監督を解任したエヴァートンは、プレミアリーグ11位。ジャギエルカやレイトン・ベインズの最終ラインは高齢化が進み、エースのルカクと守備の要ジョン・ストーンズはタイトルが狙えるクラブに移籍する可能性大。1888年に始まったフットボールリーグに参加し、トップリーグに在籍している期間が最長のクラブという伝統はあるものの、新監督のミッションは立て直しです。

イギリスメディア「BBC」は、クーマン監督の代理人が交渉の存在を認めていると伝え、「スカイスポーツ」は、両クラブは話を始めたばかりといっていたのですが、その後「デイリー・メール」がクーマン監督とエヴァートンが合意に達したと報道。正式に決まれば、エヴァートンは、クーマン監督との契約を1年残しているサウサンプトンに約350万ポンド(約5億4000万円)の違約金を支払うことになるようです。タブロイド紙は「週末にも決まる可能性がある」と煽っておりましたが、イブラヒモヴィッチのマンチェスター・ユナイテッド移籍に関するニュースで、「デイリー・ミラー」が48時間以内に発表があると盛り上げて外しており、彼らの「すぐ決まる」には注意が必要です。その「ミラー」は、セインツ新監督にペジェグリーニ監督の名前が挙がっており、ボーンマスのエディ・ハウ監督とセビージャのウナイ・エメリ監督も候補だと報じています。

4つのメディアのニュースを整理すると、「エヴァートンとクーマン監督の交渉は前進しており、セインツは後任監督を物色中」。うーん、やはりクーマンさんが移籍する動機が見えません。毎年恒例で1月に発表されるデロイトの「フットボール・マネーリーグ」によると、エヴァートンの年間売上は欧州18位の約200億円、セインツは22位で180億円とさほど変わらず。毎年のように主力を抜かれるクラブに嫌気がさしたという理由なら、ルカクとジョン・ストーンズを失いそうなクラブには行かないでしょう。

プレミアリーグ7位、6位と順位を上げてきたセインツはお買い物上手でもあり、ワニャマやペッレがいなくなるぐらいでおさまれば、来季はさらなるジャンプアップが見込めます。前のシーズンのラスト10試合を7勝1分2敗と素晴らしい巻き返しで終えたレスターがプレミアリーグ制覇を成し遂げたのをみれば、7勝2分1敗と前年のレスターを上回る戦績でフィニッシュしたセインツにも同じことを実現させる資格があります。歴史、ブランド…⁉ヨーロッパリーグ、優秀な若手育成ノウハウ、穏やかな気候、支持してくれるサポーターを捨ててまで向かう理由としては、説得力がありません。

セインツの新監督は、プレミアリーグをよく知るペジェグリーニ監督よりも、アヤックスでのラストイヤーにおいて、この40年で2番めに少ない21失点の堅守を築いたフランク・デ・ブール監督のほうがいいのではないかと思います。昨季の前半戦の苦戦は、フレイザー・フォースターを欠き不安定だった守備が原因。攻撃的な指揮官よりも、後ろを固められる監督のほうがこのクラブにはフィットするのではないでしょうか。いや、その前に、エヴァートンがペジェグリーニさんやフランク・デ・ブール招聘に走るのだとばかり思っていました。どうしても解せません。「リヴァプール・エコー」まで就任発表間近といい出しましたので、「BBC」「スカイスポーツ」まで絡んだ壮大なガセネタという、いちばん納得感のあるオチはなさそうなのですが…。

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