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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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あらためて見ると、素晴らしい!プレミアリーグ20年、アーセン・ヴェンゲルの足跡

Twenty years ago, Arsene Wenger arrived in England as a relative unknown, a man plucked from Japanese side Grampus Eight to become only the third foreign manager to take charge of a Premier League club.(20年前、アーセン・ヴェンゲルはプレミアリーグで指揮を執る3人めの外国人監督になるために日本のグランパスエイトから招聘され、よく知られていない存在としてイングランドに到着した)」。10月1日にアーセナルの監督就任20周年を迎えたアーセン・ヴェンゲル監督について、「BBC」をはじめとするイギリスメディアは大々的に特集を組み、その偉業を振り返っています。プレミアリーグ758試合、15のトロフィー、選手獲得に費やしたお金は7億ポンド。冒頭の数行は、「BBC」の記事「How will he be judged?(彼はどんな評価をされるのだろうか)」からの引用ですが、さまざまな数字をあらためて見ると、ヴェンゲル監督がいかに素晴らしい足跡を残してきたのかがよくわかります。

どの数字を見ても、ヴェンゲル監督の上にいるのは、27年の長きにわたってマンチェスター・ユナイテッドを率いたサー・アレックス・ファーガソンだけです。ここ20年のタイトル数は、マンチェスター・ユナイテッドが28、多くの監督が呼ばれては去っていったチェルシーが21、アーセナルは15。プレミアリーグのベンチに300試合以上座った監督として、勝率50%を超えているのも2人だけ。初年度の1986-87シーズンと88-89シーズンは11位、89-90は13位で解任寸前までいったファーガソンに対して、ヴェンゲル監督は優勝3回、2位6回、3位5回、4位6回。すべてのシーズンを4位以内で終えています。

【プレミアリーグで采配を執った試合数が多い監督TOP10】
サー・アレックス・ファーガソン 810試合(勝率65.2%)
アーセン・ヴェンゲル       758試合(勝率57.8%)
ハリー・レドナップ       641試合(勝率36.8%)
サム・アラダイス        467試合(勝率33.6%)
デヴィッド・モイーズ      467試合(勝率40.7%)
スティーブ・ブルース      392試合(勝率28.1%)
マーク・ヒューズ        390試合(勝率35.6%)
マーティン・オニール      359試合(勝率36.2%)
アラン・カービシュリー     328試合(勝率32.9%)
ジョー・キニア         302試合(勝率32.1%)

「BBC」は、ヴェンゲル監督がアーセナルで20年も指揮を執ることができた理由として、「数多くのタイトル獲得」「選手の信頼が厚いこと」「一貫性がある補強」「若いタレントの育成」を挙げています。2003-04シーズンにプレミアリーグ無敗優勝を遂げたインヴィンシブルズを頂点として、1997-98シーズンのプレミアリーグ&FAカップの二冠など、多くのトロフィーを手にしてきました。2003-04シーズンを最後にプレミアリーグで勝っていないため、不満を募らせているサポーターも多いと思われますが、2013-14シーズンからのFAカップ連覇も素晴らしい偉業です。選手に慕われ、苦境に陥ってもしっかりチームを束ね続けてきたマネジメントの手腕が、タイトル獲得や5位以下が1度もないという結果につながっているのだと思います。

デニス・ベルカンプ、ティアリ・アンリは、ともにイタリアでくすぶっていた選手。ファン・ペルシは、気性の荒さやムラがあるプレイぶりで、一流への扉を開くことができていなかった選手です。ヴェンゲル監督は、彼らに適切なポジションと役割を与え、レジェンドと呼ばれるプレイヤーに成長させました。セスク、ラムジー、ベジェリンなど、若い選手を見出してチームの中心に据える眼力も高く評価されています。才能あるユースの選手を獲得して育てるのは今では当たり前ですが、ヴェンゲル監督がフレンチ・コネクションを活かした青田買いを始めなければ、プレミアリーグの発展はもう少し遅くなっていたでしょう。リーグ全体に影響力を及ぼす稀有なアイデアマンでもありました。

こちらも20周年記念特集でしょう。UEFA(欧州サッカー連盟)公式サイトが、「ヴェンゲル政権20年のアーセナルベスト11」を選出しています。11人中9人が「インヴィンシブルズ」なのは納得ですが、ロビン・ファン・ペルシとローラン・コシールニーは入れていただきたかったですね。顔ぶれの多くはあまりに懐かしく、眺めているだけでもテンションが上がります。

【UEFA選定・ヴェンゲル監督のアーセナルベスト11】
GK/シーマン(1990~03年)
DF/ローレン(2000~06年)、キャンベル(2001~06年、2010年)
  アダムス(1983~02年)、アシュリー・コール(1998~06年)
MF/ヴィエラ(1996~05年)、ジウベルト・シウバ(2003~08年)
     ピレス(2000~06年)、リュングベリ(1998~07年)
FW/アンリ(1999~07年、2012年)、ベルカンプ(1996~06年)
サブ/レーマン(2003~08年、2011年)、コロ・トゥレ(2002~09年)
  セスク(2003~11年)、オーフェルマルス(元1997~00年)
  エジル(2013年~)、イアン・ライト(1991~98年)
  カヌ(1999~04年)

今季のプレミアリーグで優勝すれば、錚々たる顔ぶれのなかにアレクシス・サンチェス、コシールニー、サンティ・カソルラ、チェフなどの名前が刻まれるのでしょう。ヴェンゲル監督の素晴らしさのひとつとして、志向するサッカーの普遍性、常に美しくて決して古くはならないことも挙げたいと思います。さまざまなメディアやレジェンド、評論家がその足跡をリスペクトしている昨今ですが、ヴェンゲル監督は顔色を変えずにやり過ごしてしまうのでしょう。「何を騒いでいるんだ、プレミアリーグもチャンピオンズリーグも始まったばかりじゃないか」と。

「たとえそれに値するとしても、彼は称賛を好まないだろうね。歴史上、最高の監督のひとりだけれど」(レイ・パーラー)
「フットボールに歴史や記念日などは関係ない。求められるのはその日の結果だけだ」(プレミアリーグ6節・チェルシー戦の試合後会見にて、アーセン・ヴェンゲル)

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“あらためて見ると、素晴らしい!プレミアリーグ20年、アーセン・ヴェンゲルの足跡” への3件のフィードバック

  1. ミハル より:

    優勝しても優勝しなくても最後になる。
    そう思ってるので、今年の応援の気合はこれまで
    以上になっています。どうかグッドエンディングを
    迎えてほしい。選手もファンもそれを願ってるだろうし、
    こんなにも安定した成績を残す監督は他には居ない。

  2. what a hit より:

    私もなんとなく、今シーズンがヴェンゲルのアーセナルでのラストシーズンだというつもりで見ています。
    最近話題になったカソルラの契約延長の話がなかなか出てこないのも、指揮官が変わればまず最初にベテランから将来性のある若手への切り替えがあるからかな‥などと考えています。
    もしカソルラが延長するなら、その前にヴェンゲルの延長が決まっていそうです。

    それにしても改めてすごい業績ですね。いや、本当に今シーズンはPLとCLを願わずにいられません。

    でもトッテナムもリバプールも強いんですよねー。ユナイテッド、シティ、チェルシーは当たり前として笑

    —–
    ヴェンゲルさんほど過去の自身の功績に煩わされている監督はいないんじゃないですかね。いちリバプールファンの僕はずっとヴェンゲルのアーセナルを羨望の眼差しで見てきました。憎たらしいほど美しいパスサッカーで毎年4位以内に必ず入ってくるクラブを。
    4千万1ポンドでクラブが納得していたら、スアレスは今ガナーズのシャツを着ていたでしょう。選手にとっても魅力のあるクラブです。
    コツコツと土を耕し若い芽を育て、フランス流の優雅さの中に金のシャチホコをあしらったヴェンゲルのイングリッシュガーデンは、ファーガソンの育てたユナイテッド同様、プレミアリーグの宝だと思います。
    ガナーズファンのみなさん、今後数年だけ無冠で我慢してみてください、CL権獲れただけで狂喜乱舞できる体質に変わりますので。レッズファンの僕が言うのだから間違いないです。

  3. ヤンガナ大好き! より:

    ヴェンゲルさんのこれまでの業績を振り返って観てみると、決して派手ではないですがその素晴らしさを改めて実感できました。ファーガソンさんしかり、両リーダーとも、とにかくブレない一貫性と人身掌握術が特筆していると思います!

    最近、一部ファンからはリーグ優勝出来ていないことへの苛立ちが見られますが、ヴェンゲルさんでなければ今のガナーズのDNAは育たなかったと思っています!セスク、ベジェリン、そして今のイウォビ等が大抜擢されてチャンスをもらい、すくすく育つのを実感できるのはガナサポでないと味わえないワクワク感だと思います。イウォビはガナーズDNAのまさに申し子、今シーズンの彼のプレーを観る度にファンの夢が詰まっていることを実感します!

    MLBロサンゼルスエンジェルスのソーシア監督も18年の長期政権を継続中ですが、彼のチームも他チームにないスモールベースボール戦術を一貫して浸透させ、若手が育つ環境も抜群です。チームのディープなファンに成る程、若手が育つのを見ながら応援できることがこの上ない楽しみなんですよね!

    後、どれくらいヴェンゲルさん政権を見届けられるか分かりませんが、リーグ優勝で勇退できたら最高です!彼が幕を引くときに彼の気持ちを一番に理解できるのは、ファーガソンさん以外にはいないのではないかと思います!ライバルチームながらスパーズのポチェッティーノさんにも、長期政権を築いて欲しい資質を強く感じます。短絡的なものの見方が浸透する中、逆に長く続けることの尊さを原文やマコトさんの記事を通して改めて考えさせられました!

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