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現地記者がレポート!「チェルシーとポチェッティーノ監督が円満な別れに辿り着いた理由」

Club Statement: Mauricio Pochettino」。チェルシーの公式サイトが、事実を伝える短い声明を配信しました。「チェルシーを代表して、マウリシオの今季の貢献に感謝の意を表したい。彼がスタンフォード・ブリッジに戻ってくるのをいつでも歓迎する。今後のコーチとしてのキャリアが、最高のものになるのを祈っている」。ポチェッティーノ監督は、退任となったようです。

メッセージは、共同SDのスチュワート&ウィンスタンリーの連名です。ステートメントには、指揮官の言葉も掲載されています。「このフットボールクラブの歴史の一部になる機会を与えてくれたオーナーグループとSDに感謝する。クラブは今、プレミアリーグとヨーロッパで今後数年間、前進し続けられるいいポジションにいる」。退任の理由が窺える表現はありません。

チェルシーの決断について、「独占記事」と銘打ってレポートした「テレグラフ」のマット・ロー記者は、「ウィンスタンリー、スチュワート、共同オーナーのベハダ・エグバリと2日間にわたり会談した後、双方の合意によりチェルシーを去った」と伝えています。ポチェッティーノ監督が退団という結末を受け入れたのは、火曜日の朝だったそうです。

先週から、共同オーナーと2人のSDとの会談を続けていた指揮官は、残り1年の契約を反故にする際の報酬を確認していたとのこと。話はスムーズにまとまり、両者にわだかまりはないようです。トゥヘル、ポッター、サルター、ランパード…新体制下で5人めの指揮官は、納得してクラブを去る初のマネージャーともいえます。

プレミアリーグ18勝9分11敗で、4位アストン・ヴィラと5ポイント差の6位。レンタルバックまで入れると15人を超える新戦力を詰め込んだフォアグラのようなチームを、よくぞ束ねたと称賛されるべきでしょう。若手の育成に定評があった指揮官には、うってつけのスカッドだったはずですが、埋められない溝はどこに生じたのでしょうか。

マット・ロー記者は、公式サイトのアナウンスを伝える記事の2時間前に、「マウリシオ・ポチェッティーノのチェルシー退団を決定づけた24時間協議の内幕」と題したインサイドレポートをリリースしています。経営ボードとマネージャーの間にあった深刻な哲学の相違が表面化したのは、2月上旬のセットプレーコーチを巡る議論だったといいます。

セットプレーのスペシャリストを否定したポチェッティーノ監督は、「われわれコーチングスタッフがすべてを管理する」と主張し、 「フットボールは選手のものであり、スペシャリストのものではない」といい続けたそうです。これに対して、専門家を積極的にアサインし、CKとFKに特化した部門を立ち上げようとしていたSDたちは、相容れないと判断したようです。

端的にいえば、ポチェッティーノ監督は「マネージャーが現場の全権を掌握すべき」と考えており、経営ボードとSDは「ヘッドコーチはチームを強化する組織の一員」と見做していたということ。シーズン前の目標だったCL出場権獲得を逃したことは、円満離婚の決定的な理由ではなかったのでしょう。

複数の関係者に取材したマット・ロー記者の見方が妥当だとすれば、早いタイミングで指揮官続投の可能性は潰えていたという話になります。であれば、次の問題は「名前が挙がっている候補者は、経営ボードの考え方を受け入れるのか」。彼らにビッグネームを招聘する気はなく、若手に絞っていると伝えられています。

ブライトンがアプローチしているイプスウィッチのマッケンナ、シュツットガルトのセバスティアン・ヘーネス、ジローナのミチェル、レスターのマレスカ。メディアが報じているターゲットは、30代後半から40代後半までの新進気鋭の監督ばかりで、ブレントフォードのトーマス・フランクの50歳が最高齢です。

チェルシーというブランドは魅力的ですが、野心溢れる指揮官たちは、複雑な組織をよしとするのか。SDと専門家が現場でアレコレいうようになったら、選手たちの信頼を得るのは難しそうです。1年前に、「試合に負けるとトッド・ベイリーが血相を変えてドレッシングルームにやってきて、長い説教を聞かされる」と報じられたクラブだけに、そんなことはないとはいえません。


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